ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 13
息継ぎのために、2人が離れた。大きく息を吸い、再び唇を重ねようとしたドラナのオデコを、レイブンが手のひらで押さえた。
「ストップ! ストップだ、ドラナ!」
「てめえ! オンナのあたしに、ここまでさせといて、いまさら日和るのかっ!!」
激昂するドラナの頭を、レイブンが軽くポンポンした。
「地面でやる趣味は無い。場所変えるぞ」
ドラナはグワッと笑った。レイブンを引き起こし、腕を抱えて歩き出した。
「よし! あたしの部屋に行くぞ!!」
そんな肉食獣達を見て、観戦者が歓声を上げた。
「やった!! ドラナの姉さんが、やったぞ!」
「灰色熊を仕留めた!!」
「さすがの灰色熊も、ドラナの姉さんにかかれば、シロクマになっちまうな!」
「シロクマ!! 上手いこというじゃねーか!!」
「どっからどうみても、獲物を巣に引きずり込む、肉食獣にしかみえねー!!」
「獲物が、灰色熊ってのが、最高に笑えるぜ!!」
盛り上がる観戦者を余所に、パーティメンバーの3人は……冷めていた。
「バルナス様。あの場合、どちらが獲物なのてすか?」
ジュールの問に、バルナスが答えた。
「レイブンが獲物に……見えるんだろうね。周りから見れば」
「でも……レイブン様ですよ?」
ジュールは乾いた笑いを浮かべた。
「レイブン……だからなぁ……」
バルナスは天を仰いだ。
「あの灰色熊……いつか、後ろから短刀で刺されるぞ」
ガロンの声に、2人がうんうんと頷いていた。
「でも……短刀、刺さりますか?」
「相手が、ドラナ姉さんクラスじゃないと……刺さらない気がする……」
「レイブンだからのー」
3人は、大きなため息をついた。
「あの肉食獣たち、暫くは……部屋から出てこないだろうねえ?」
ごきゅ。
「そう……思います」
ごきゅ。
バルナスは、ジュールと手を繋いだ。
「部屋に……戻ろうか?」
「は……い……」
2人の顔は、真っ赤だった。




