ある神官の成長日誌 〜ジュール編・そのに〜 12
レイブンとドラナは、顔の前で拳を構えた。そのまま、殴り合いに移行する。左拳の牽制拳を打ち、すぐに右拳の正拳を打つ。
牽制拳は弾かれ、正拳は避けられる。
「楽しいなぁ!!」
「ヒリヒリするぜぇっ!!」
戦士同士の本気の殴り合い。クリーンヒットはまだ無いが、小さなダメージが両者に蓄積していく。
「?!」
レイブンがグワっと笑った。ドラナが殴りながら、関節を極めに来たのだ。
「そうくるかぁ!!」
極められる前に外しながら、少し距離を取った。
「ほらほら、かかっておいで」
ドラナは、左拳を開いた。手のひらを上に向け、指を2~3回上に向かって曲げてやる。
「乗ってやる!!」
レイブンが駆けた。ドラナが迎え討つ。立ったままの関節の極めあいという、地味で高度な戦いが、繰り広げられている。
レイブンとドラナは、寝技の体制に移行していた。関節を狙い、筋を狙い、隙あらば頭突きを叩き込み、殴りあっている。
「楽しいねぇ!!」
肩関節を極められそうになりながら、ドラナが笑った。八重歯が、牙にしか見えない。
「オレも楽しいっ!! ヒリヒリするぜっ!」
逆に肘を極められそうになりながら、レイブンがグワっと笑った。
「楽しすぎて、あたしゃ、さっきから……ヌレヌレさっ!」
自分で言っていて、恥ずかしくなったらしい。ドラナの耳は、真っ赤になっていた。
「オレも同じだ。さっきから、立ちっぱなしだぜっ!」
レイブンは、あくまで平常運転だ。
レイブンが、ドラナの頬をつかんだ。そのまま、唇をぶつけていく。鼻が骨折しそうな勢いだ。
ドラナの目が、まん丸に開かれた。そのまま、ニヤリと笑う。
両手をレイブンの背中に回し、固く抱きついた。
レイブンの唇を舌でこじ開け、グイグイ押し込んで行く。
目を開けたままの激しいキス。愛の営みでは無く、相手を貪り食うような行為だ。




