表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック九州戦国時代〜修羅の国の小大名に染まったら〜  作者: 逆川水府


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/127

第70話 結集、大友軍 九万人

1570年3月 立花城  筑紫ちくし俊介広門


 三月の中頃、大友の軍勢が集められた。

 北九州の覇者である宗麟が自ら手勢を率いて出立すると聞き、これには領内のほぼ全ての国衆がこぞって馳せ参じた。


 これに参戦しないという事はイコール大友に敵対心を抱いていると証明するようなものだ。何しろ今回はあれだけ大友と粘り強く戦い続けてきた秋月までが参戦している。


 空気を読めない脳筋国衆も今回ばかりは病欠で断るわけにはいかないと思ったようだ。


 そればかりかこれから向かう佐嘉城の周辺国衆までが来ているそうだ。

 来ていないのは波多くらいかな。


 臣従しに来たならば許すが、来なければ潰す。分かりやすい踏み絵というわけだ。


 俺も手勢を限界まで率いて向かった。

 その結果集まった軍勢はなんと九万。とてつもない大軍勢だ。関ケ原の戦いの東軍、家康よりも多い。もしかしたら今、日ノ本で一番強いかもしれない。

 そう思う人間も多いだろう。幕府もそう思うはずだ。


 この間、俺が豊後ぶんごに行ったときに官位を頂く事があったが、他にも多くの大友関係者が官位を貰っていたらしい。

 もしかしたら幕府なりの先行投資だったのかもしれない。ちょうど将軍義昭(よしあき)が信長に反発する頃だ。


 幕府もなかなかしたたかだが、こうやって傀儡で収まりきらない態度をするせいで信長から怪しまれるのだと思う。

 本願寺を見習え。決起する直前まで信長に素直で従順で、怪しまれる真似はしなかったぞ。義昭は裏切り者としては二流以下だな。


 そして、この大友九万の軍の弱点と言えば烏合の衆だってことと、大将の宗麟の力が未知数だってことだ。

 ……関ヶ原の石田三成に似てるよな。史実を知らなくたって嫌な予感がする。


 だが、まずはここに立てただけでも喜ぼう。このスタート地点に来るだけでも大変苦労があったのだ。


 実は宗麟から


『所領を引き継いだばかりで大変だろうから馳せ参じる必要はないよ。留守を守ってしっかり博多を復興してね。道雪も門司もじ城で留守番だよ』


 と俺に直筆の文を寄こしてくれたからだ。

 優しい! そして正しい!!


 平時であれば惚れておかしくないほどのお優しいお言葉。だが史実通りだと大変なことになるから甘えるわけにはいかなかった。

 俺は急いで義父殿に文をしたためた。


『新参の自分は宗麟様に忠義をお示ししたく存じます。ぜひとも御同行させて頂きたい。博多はしっかりと治めて、期待される税収を治めますので』


 そんな感じでしたため、直接文を渡すと角が立つので、義父殿から俺の意向を伝えてもらった。そして返事はやはり義父殿を通して返ってきた。


『俊介殿の忠義を嬉しく思う。だけど君のところ元立花の家臣がいっぱいいるんだって? 無理して反乱とか起きたらダメだからね。しっかり所領を引き締めるように』


 そんな感じの返事だ。宗麟は立花氏に二回も反乱されたから慎重になるのは理解できる。だけど、だけど参戦できないのはまずいのだ。

 そして宗麟の手紙とは別にもう一通の文が挟まっていた。


『義父です。毛利との戦の功により、貴殿が博多を得たことを妬んでいる者たちがいます。今回の戦は楽勝だろうから、余計な真似はせず自重してね。たまには功を他人に譲ることも大切だよ』


 ちくしょう、優しい! 正しい! ぐう音も出ねぇ!

 ちなみにこの文のやり取りだけで二週間以上かかっている。


 豊後は遠かった。宝満城を攻めていた越前入道とは一日で伝書を往復させていたのに……。


 もう兵を集め始めなければ戦に間に合わなかった。

 俺は覚悟して文をしたためた。


『どうしても宗麟様と御一緒したい気持ちが抑えきれず、先に兵を集めてしまいました。後方で大人しく待機しているのでぜひとも軍の隅っこに加えてください。反乱が起こる心配はありません。連れてきた立花の兵に宗麟様の御威光をお見せした方が反乱の芽を潰せると考えております』


 そんな風に返した。

 ……そしてその返事は!?


『仕方ないな。今回だけだぞ』


 許された……。


 危なかった。参戦すら許されずに運命の日を迎えるところだった。今までで一番緊張した。


 それから十日ほどたって、集められた大軍勢が集結した。

 呼ばれておもいたその場所は佐嘉城ではなく高良こうら山だ。


 そして今、なぜだか俺の隣には紹運がいて酒を飲んでいた。


義弟ぎけい殿は酒をたしなまぬのかな」


 そんな風に俺に話しかけてくる。


「嫌いではありませんが、戦なので断っております」


 何でこんな飲み会みたいになったかというと、宗麟が軍勢を高良山に集めて宴会を始めたからだ。

 たぶん狙いとしては自分の顔を国衆に知ってもらい領内を安定しようという事だと思う。


 分かるよ。顔合わせは大事だ。ずっと国衆の反乱に苦労していたからね。

 宗麟のそういう思考は実に外交的で長所だと思っている。実際、宗麟は後世でも外交上手で知られている。


 悪くないと思うよ。


 戦の前じゃなければな!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ