影、踊る
ヴェルメの匂いを辿って森を抜けると、少し離れた先に人間の住処らしき建物がいくつか見えた。
中には火の明かりも置かれており、遠目でも何が起きているかはよくわかる。あの少女の姿も確認できた。
いくぞ——、いくぞ……っ!
体が震える。心臓が内側から体を忙しく叩き続けることで、自分が怖がっているのを伝えてくる。
その警鐘を全て無視し、頭の中で巨大になった自分を思い浮かべた。森で変わったあの姿だ。
やり方なんてわからない。
ただあの時の記憶と光景を頼りに変われと、逃げようとする自分を追い立てる。
するとその必死さは、すぐに成果となって体に現れはじめた。
黒い霧のようなものが内側から湧き出て、あっという間に体全体を包みこんだ。
ああ、なんだ——意外と簡単にできるんだ。
変化する体の感覚と共にそんなことをぼんやりと考えた。
万一でも、絶対に我を失ったりしないように思考をただ一つのことに絞る。
ヴェルメを助ける。彼女を苦しめるものを除く。
いけ————、いけッ!
最後に己を奮い立たせ、騒ぎの中心へと一気に跳んだ。
——そしてヴェルメを見下ろしていた男の頭上を目がけて落ちた。
押さえつけて動けなくするつもりだったが、男は背中で折りたたんでいたらしい翼を広げてギリギリ空中へと逃れた。
そして今、眼前の敵を見据えて大きく吠えた。
広場の端に固まり、座っていた人間達は散り散りに逃げていく。
あの緑色の生物が何匹もいる。同じ緑でよく似た見た目だが、やたらと大きいのもいる。
——二十はいるか。森で戦った時よりも確実に数が多い。
「——なんだ、これは。赤い四つ目の魔物……?」
抑揚のない喋り方で周りの化け物ほどわかりやすくはないが、明らかな動揺が見られる。
マモノに……マゾク……と呼んでいたか。
この男にとって、今のこの姿は理解の及ばない存在ということなのだろう。
……見たことがないという意味ではこちらにとっても同じではあるが。
だってあまりに人間とそっくりすぎる。
それなのに頭に生えた角、背中にある翼、なにより漂う匂いがよく知る人間のそれと全く一致しない。
別物だ——まったく別種の生き物。
「キサマは魔物……か? いや、違う——こんな魔物がいるはずがない。ましてや魔族に牙を向ける魔物などは在りえないはずだ」
広くなった視界を全て上空にいる魔族の男へと注ぐ。
すぐ近くにいるバケモノ達には一瞥もくれず、消去すべき対象と見定める。
「ッ、チ……ッ!」
疑問で止まった思考をようやく切り替えたのか、魔族は戦闘態勢をとる。
「キサマは敵だ——それもとびきり危険な。今、必ずここで始末しなければならない——!」
"オマエなんか——倒してやるッ!"
正体不明の敵を排除するという目的が、明確に重なった。
「オーク! ゴブリン共! そいつを殺せッ!」
男の命令と同時に広場にいた魔物が一斉に飛びかかってきた。
"邪魔……だッ!"
最早こんな相手は問題にならない。
まとわりついた鬱陶しい蚊を払うように、ゴブリンと呼ばれた化け物を踏み潰し、嚙みちぎって放り投げる。
「——ッ!!」
今度は緑の巨体をした魔物が雄叫びを上げながら向かってくる。
巨体の魔物、オークはその体格に見合った大きな刃物を振り抜いてきた。
犬の体なんてその一振りで数匹まとめて断ち切ってしまえるだろう。
だけど、今の体にはその凶器すらも通らない。
首を狙って振り抜かれた巨大な刃物はこの体に当たった瞬間、まるで細い枝のようにあっさりと折れ、ガラクタと化した。
驚きの表情を見せるオークの顔を口の中にすっぽりと覆ってからその全身を持ち上げる。
頭に噛みついたままオークを左右に激しく振り回し、首を引きちぎる。
その勢いで高く放り投げられたオークの体はズンッと大きい音を立てて地面に落ちた。
跡には頭部を失い、ビクビクと痙攣するオークの死体が一つ。
——なんて理不尽なんだろう。
自分の力を他人事のように評価してしまう。
オークの圧倒的な力をそれ以上の理不尽で持って、いとも容易く捻じ伏せる。
生物同士の力関係というのはこんなにも簡単に覆ってしまうのか——
「おねえちゃん、待っててね。もう少しで縄、ほどけそうだからっ」
ヴェルメはもっとこの戦場から離れるために、倒れている少女の拘束を解こうと急いでいる。
多分あの人間がヴェルメの身内だろう。
「な……なんなの、あの魔物は……」
それはヴェルメへの問いのつもりだったのかもしれないが、それはひとり言のように口から漏れたきり、かき消えていく。
この場にいる全員が目の前の未知に目を奪われていた。
「……在りえない」
男は受け入れ難い現実を拒絶するように呟くと手を横に払う。
そして紫色に光る粒子がその手から振り撒かれ、地面に落ちた光の粒子はたちまち形を得ると大量のゴブリンとオークへと変わった。
魔物の湧いた前方を睨む。
やめろ——これ以上、こんなものを出すな。
森で怪物に変身した時は何かを考えてる余裕などなかったが、こうして改めて対峙することでハッキリと感じていることがあった。
コイツらは人を傷つける。——ヴェルメを傷つける。
状況からそう読み取れるということではなく、この魔物という生物自体がそういう存在なのだと感じ取っていた。
そして空中から見下ろしている翼の生えた男。
ヴェルメが口にしていた魔族という存在。
アイツをなんとかしないと、ここにいる人達は誰も助からない。
しかし目の前に湧いてきた魔物を放置することもできない。
すぐ後ろにはヴェルメもいる。
魔族の男に気を取られている間にヴェルメや他の人間に襲いかかるかもしれない。
そんなことは許さない。だから——
コイツらは……邪魔だ。
思考を調整し、巨大な尾をゆっくりと大きく横に動かしてから空中に跳び上がった。
村の広場全体を見渡せる程度に高く跳び、身体を半回転させながら尻尾を真下に向かって振り抜いた。
その瞬間、尾についたトゲが無数の凶器となって魔物に射出された。
小さな子どもの背丈半分ほどあるトゲ。その一つ一つが魔物の体を貫く。
撃ち抜くというよりは抉り飛ばすといった光景。
魔物の群れはその威力によって、瞬く間にカタチを失った。
土煙の後には地面ごと抉り、突き刺さった無数のトゲ。
二十はいた魔物が一瞬で消し飛んだ。森での戦いの再現だった。
ゴブリンはもちろん力と頑強さを持つオークですら、何の脅威にもならなかった。
だが。
後はアイツだけ——、!?
空中に目をやると今までそこにいた男の姿がない。
「あぶない——っ!」
ヴェルメが叫んだことで気づく。
いつのまにか真上から魔族が迫っていた。
手に握った黒い剣を、こっちに目がけて振り下ろす。
"ッ!!"
地面に着地していたその足で大きく飛び退く。
相手の攻撃に構わずそのまま男を嚙み殺すこともできたかもしれない。
しかし本能は反撃よりも後退を選んでいた。
……首がわずかに裂けている。
斬りつけられた首の横から血が流れていくのを感じていた。
「安心した。これが通らないなら、もう私に成す術はなかったところだ」
男の持っている得物は細い剣だった。
オークの怪力で振るった大きな刃物でも傷一つつかなかったのに、あの頼りなく見える細剣は容易くこの肌を切り裂いた。
「フム。魔物の血は紫と相場が決まっているのだが……」
男が黒い細剣を手放す。
その剣は地面に落ちることはなく男の影にトプンと沈んでいった。
「人間と同じ色をしているのだな。……意外にも」
"この——ッ!"
尻尾を大きく振り、再びトゲを飛ばした。
今度は二本のみだが先ほどの乱射と違い、確実に命を狩るため魔族の男に向かって正確に飛んでいく。
しかしトゲは男に当たらず村の粗雑な柵を破壊し、夜闇に消えてしまう。
次の瞬間、男は20mは離れた距離をあっという間に詰め、迫ってきた。
それに反応し、男に向かって爪で攻撃しようと腕を振り上げる。
「縛れ」
突然、黒くて平たい何かが手足に絡みついてくる。
ソレは自分の影から帯のように伸びてきていた。
"ッ……、……ッ!"
手足に絡んだソレの拘束力は凄まじく、ビクとも動かせない。
その影は首にも絡みついてきて、頭も自由が効かない。
振り上げていた前足も強制的に地面に下ろされ、まるで縫いつけられたようにその場から動くことができなくなってしまった。
「動けまい? 力だけで振り払えるような拘束ではない」
男は勝利を確信したのか余裕たっぷりといった様子で、ゆっくりと近づいてくる。
「誰が生み出したモノかは知らんが……たかが一匹の魔物如きが調子に乗ってくれたな」
力任せに引き千切ろうとするが、影から伸びた帯はビクともしない。
「キサマはなんだ? 独立して他の魔族を襲う魔物など在りえない。となれば誰かに命令されたとしか考えられん。まさか他の災魔の方々とは思えんが……」
そんな質問攻めをされたところで答えようがない。
気持ちとしては質問攻めをしたいのはこっちだと言うのに。
男は手を地面にかざす。
すると男の影が吸い込まれるように手の中に集まっていき、次第にそれは大きな鎌へとカタチを変えた。
怪物サイズに合わせて作られたようなその大鎌を男は首にひっかけ、断頭の準備を始める。
「……魔物に問うだけ無駄か。キサマの正体は気になるが……誰かが命令したのなら、いずれわかることだ。キサマを残す理由はないな」
先ほどの細剣でも肉体を裂く切れ味だった。
男がこの大鎌を引けば、それだけでこの頭は落ちるだろう。
鎌を持つ男の手に力がこめられる。
「や、やめて!!」
「ヴェルメ、近づいちゃダメ!」
体を押さえられながら、それでもヴェルメがこちらへ駆け寄ろうとする。
「魔族さん! その子を殺さないで!! ペンダントは渡すから! お願いだからその子を殺さないで!!」
「黙れ。誰の差し金かは知らぬが、魔物が我々に刃向かうなど許されることではない。キサマはここで始末を——」
そう言いかけたところで突然黙った。
しばらくの沈黙の後、男は別の疑問を口にした。
「いや……やはりおかしい。そもそもキサマの行動原理はなんだ? 先の小娘の話が事実ならキサマは小娘を助けに来たということだ。一体何故そんな真似をした?」
……やけに気にしてくるな、コイツ。
「小娘どころではない。村の者に危害を加えることさえなく……いや、加えないように立ち回りを意識していたのか?」
どうして驚く?
それがそんなに不思議なことなの……?
「……人間を助ける目的で? そんなバカなことが……」
だからッ、それの何が悪いッ!!
「————ッ!!」
咆哮が響き渡る。
大気が悲鳴を上げるかのように揺れ、まばらに建てられた家々を灯す火も大きく揺らめく。
それをキッカケに一時的に止まっていた男の殺意が再び宿る。
「やはりオマエは危険だ。あまりに得体が知れん——もはや正体などどうでもいい」
大鎌を引き、首を断ちにかかる。
「死ねッ」
だが男が首を落とすより早く、村の外からゴウと風を切る音と共に男に向かって飛んでくるものがあった。
「……ッ!?」
それは先ほど男を狙って放ったもの。
避けられ、どこかに飛んでいったはずのトゲが再度、男の命を狩るために戻ってきたのだ。
狙ってやったわけではない。
ただ怒りのままに叫んだら、それに呼ばれるように帰ってきただけ。
男は鎌を放し、とっさに身を捻るも躱しきれず片腕を吹き飛ばされた。
「……なん、だとッ」
男がよろめくと同時に身体を動かす。
束縛していた影の力が緩まったのを見逃さなかった。
「——ッ!!」
巨大な手を容赦なく振るった。
魔族の男を赤い爪で真横から引き裂き、全身をバラバラにした。
首から上だけが元の形を残したまま地面に落ちた。
「————キサマは……一体……」
首だけとなった男は目をギョロリと動かし、こちらをジッと見据える。
まるで死ぬ前に出来るだけその姿を目に焼き付けようとするように。
——終わった。
遠巻きに自分を見ているヴェルメや他の人間達を見た。
どうやらみんな無事そうであることを確認すると、やりたかった事をやれたという感覚が安心感をもたらした。
「……私が、敗れたのか。勇者共が消えたと思えば、こんな異常な存在が現れるとはな」
首だけの状態にも関わらず男は口を開く。
人間に似た姿でも正体は魔族という怪物故だろう。
「消えるのか。……とはいえ、このままただで消えるわけにはいかんな」
そう口にするや否や男の首がある地面から突然影が伸びて、男の片方の眼球を抉り取った。
"ッ!?"
男の異様な行動に再び警戒で身を固める。
しかし伸びた影は抉り取った眼球と一緒に地面に沈んでいった。
「名もわからぬ魔物よ……私を殺して終わり、などと思うな。このような行いは我が主たるシャトゥン様を、そして我ら魔族を敵に回すということだ……」
「シャトゥン……」
その名前に聞き覚えがあるのかヴェルメの身内と思われる少女は青ざめる。
男の顔は炭のようになり、ボロボロと少しずつ崩れていく。
「人間を助ける魔物……キサマのような異分子がどこから湧いたのか。どうにせよ我らはキサマを見逃さんぞ。同じ魔性の身で我らに仇なしたこと、後悔するがいい————……」
そう言い残した男はやがて完全に崩れ去り、跡形もなくなった。
* * *
——拘束から解かれた少女はただ呆然と呟く。
「信じ……られない。魔族を倒した、の……? あの、魔物が?」
あまりに現実感がなさすぎた。
少女だけでなく、遠巻きに窺う村人全員が自分の見ている光景を信じられずにいた。
「……あの子、また……助けてくれた」
「ダメだよ、ヴェルメ! 近づくんじゃないっ あの怪物を刺激でもしたら……!」
黒い魔物に近づこうとしたヴェルメを村のおばあさんが止める。
「っ、ちがう……違うの! あの子は——」
するとあの魔物は村を飛び出し、そのまま森の方へと走っていってしまった。
「っ、待って——!」
「ヴェルメ、だめよ!」
制止も聞かずにヴェルメが魔物を追って走り出した。
あわてて妹を追いかけようと少女も走り出す。
「リーベ、あぶないよ!」
「……ヴェルメを連れ戻さないと。みんなは怪我をした人達を集めておいて。帰ってきたら私が治すから」
ヴェルメの姉——リーベは妹を連れ戻す為、急いでその後を追った。
——妹の後を追いながら、リーベはあの黒い魔物のことを考える。
……あの魔物は村の人間をまったく襲わなかった。それどころか巻きこまないよう気にかけているふうにさえ見えた。
これは考えすぎなのか? しかし森でヴェルメを助けたのは間違いなくあの魔物だ。
そして村では魔族と戦った。多分、村の人間を——いや、ヴェルメを守るために。
味方とは言えないまでも敵ではないのかも……そう考えるのは能天気すぎるだろうか。
「——確か、こっちの方に……」
森の入り口に近づくとヴェルメの姿が見えた。
樹木の陰でしゃがみこんでいるようだ。
「ヴェルメ!? だいじょう——ぶ……」
「! おねえちゃん……」
ヴェルメは無事だ。驚いた表情でリーベを見上げている。
その点は安心したリーベだったが妹の傍でちょこんと座って、こちらを見ている一匹の獣に気を取られた。
……動物。しかし、こんな姿の獣などこの辺の森で見たことはなかった。
その姿をまじまじと観察する。
「おねえちゃん、あの……この子は……」
「! ヴェルメ、まさか……この獣って……」
ヴェルメの態度に自然と状況を察してしまう。
妹とそれに寄り添うように座っている獣を見て、それ以上は言葉を上手く紡ぐことができなかった。
* * *
——そうして妹を連れて村に戻ってきた。
「リーベ! ヴェルメ! 無事でよかったよ……! 何もなかったかい?」
中年の男女が二人、リーベ達に駆け寄る。
「大丈夫よ、アーダおばさん。心配かけてごめんなさい。二人も怪我してない?」
「ああ、見ての通りさ。俺達は夫婦そろって無事だったよ。……すまない、リーベ。お前とヴェルメが危険だったのに動けず、ただ震えてることしかできなかったっ」
「そんなこと言わないで、クルトおじさん。もし二人に何かさせてたら、私は本当に後悔してた。……これ以上、誰にも死んでほしくないもの」
広場の方を見ながら口にする。
ヴェルメを森に逃がした後、数人の村人がみんなを守ろうと立ち向かったのだが魔族の男が呼び出したオークによって殺されてしまった。
「……ああ。後であいつらの墓をつくってやらんとな」
中年の夫婦も悲しそうに広場を見つめていた。
「誰か、死んじゃったの……?」
その言葉に夫婦はハっとするが、リーベは妹の頭に手を乗せ、優しく話す。
「……後で話すわ。それより、ヴェルメは先に家に戻っててくれる? 私はみんなに怪我がないか確認してから帰るから」
「……ん、」
ヴェルメは小さく頷く。
そして近くで大人しくしていた獣においでと呼びかけ、家に戻っていった。
「……本当にすまない。ヴェルメの前で話すことじゃなかったな」
「最初に切り出したのは私よ。……気にしないで。この小さい村で人の死なんて隠せるものじゃないもの。それにあの子は賢いから何も言わなくたってすぐに気づくわ」
クルトがそうだな、と口にする。
そして少し間を置いた後、アーダがふとリーベに質問をした。
「ねえ、リーベ? ずっと気になってはいたんだけど……さっきヴェルメが連れていった生き物は何なの?」
そう問われ、リーベの心臓が一瞬跳ねる。
「えっ? あ、あー……あれね?」
「あれって獣……よね? あんな獣、この辺で見た覚えはないけれど……」
「う、うん。森でヴェルメが見つけたみたいなの。なんだかヴェルメに懐いてたみたいだから、あの子も気に入っちゃって……」
「大丈夫なの? 獣にも凶暴なのはいるし——」
「おばさん達も今、見たでしょ? 私も見たけど大人しくていい子よ。私の家で面倒を見るから心配しないで。とにかく、後は私に任せて二人はもう休んで」
半ば強引に二人を家に帰した後、リーベは深く溜め息をついた。
疲労感が凄まじい。今夜はあまりに色々な事がありすぎた。
今すぐ頭からベッドに飛びこんで深く眠ってしまいたかったが、まずは怪我人を見るのが先決と考えた。
村で唯一魔法を扱える自分だからこそやらなければ。
「……頭の中、ぐちゃぐちゃ」
ヴェルメのこと。ペンダントのこと。魔族のこと。
魔族を殺した黒い魔物のこと。ヴェルメの傍にいるあの獣のこと。
頭の中に竜巻ができて脳みそをグルグル回されている気分だった。
とても考えをまとめられる気がしない。
リーベはとにかく今は少しでも思考をクリアにするため、一度の深呼吸を置いた後、皆の怪我の治療に急いだ。




