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マゾ・カード  作者: みぎゃー


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4/14

#4.世界の裏側の真相

挿絵(By みてみん)

覇神帝羅と花咲凛



「さぁて、もうチュートリアルは終わりかしらね。」


帝羅は見極の元を去り、夜の街を歩いた。

街のそこかしこでマゾのような男達もいるし、

マゾ達をカードとして使いそうな女達もいる。

しかしそのどれもがマゾ・カードプレイヤーでは無さそうだ。


「一体、どうやって対戦相手を見つければ良いのかしら。

 あの不能老人からもう少し聞き出しておくべきだったわ。」


そんな帝羅にぶつかって来た女子高生がいた。


「痛っ!あ、…す、すみません!!」


女子高生は特に何の変哲も無い普通の学生のように思えた。

しかし、ぶつかってカバンからはみ出したものの中に

帝羅はマゾ・カードを見つけた。


「ちょっと待って。あなた、もしかしてマゾ・カードプレイヤー?」


「え?あぁ、競技者(デュエリスト)の事ですか?

 えぇ、そうですよ。だけどまだ始めたばかりで、負け続きです(汗)」


帝羅は丁度良いと思った。

負け続きと言う事は勝ち星をあげるのに苦労が無さそうだ。


「ねぇ、私と勝負しない?」


「えぇー、本当は嫌だけど…断れないルールですからね、

 仕方ない、受けて立ちますよ。」


どうやらマゾ・カードバトルは誘われたら断ってはいけないらしい。


「ふふ、初めてのチュートリアル以外での勝負だわ。

 行きなさい、初手雑魚助!!」


「行け、マゾ蔵!!」


すると老人のマゾが飛び出して来た。


「あら、弱そうね。そもそもマゾとして性欲あるのかしら。」


「あの...相手のステータス確認しないんですか?」


帝羅は突然の質問にキョトンとした。


「え、何?そんな事が出来るの?」


「あれ?チュートリアルで言われませんでしたか?

 もしかして一週間のチュートリアル合宿、キャンセルしました?」


「え、一週間合宿!?

 何よそれ、1勝だけして、それで終わったわよ?」


「そこから旅立ちの訓示を頂いて、更に安定した旅立ちとする為に

 1週間の合宿を打診されたと思うのですが…。」


何と、帝羅が見極の言葉を遮り途中で出て来てしまったその後には

更に様々な事を学べるチュートリアルが存在していたのだ。


「嘘でしょ…?

 じゃあ今の私は1週間分の知識が抜け落ちたまま戦う、

 初心者も超ド初心者って事!?勝てるワケ無いじゃない!!」


「まぁ、実際には3日間で済むような内容でしたけど。

 それじゃあ、アタシに勝てたら仲間になってチュートリアル不足分まで

 色々とサポートしても良いですよ。

 ただしお姉さんが負けたらそのマゾを下さいね。」


「・・・勝負を申し込んでしまった以上は仕方ないわね。

 あなた、名前は?」


「花咲凛です。お姉さんのマゾ、攻撃150耐久250服従200ですか。

 まさに1勝するためのマゾって感じですね。」


「それじゃあ、あなたのマゾ蔵はどうなのよ、

 えっと…こうやって見るのかしら。」


帝羅は凛がやっていたのを真似て、マゾ蔵に手を翳した。


「何々、攻撃300耐久150服従300…え、嘘でしょ?

 何だか全体的に雑魚助よりも一枚上手じゃない!」


「まぁ、実際の戦いはステータスだけじゃありませんよ。

 だけどまだあまり信頼関係も出来てないような関係なら、

 奇跡なんて起こせそうにないですね。この勝負、頂きます。」


マゾ蔵は胃腸の調子が悪いらしく、常に黄色い痰を吐いていた。

そしてそれに当たりたくない一心の雑魚助は避け続けた。


「何よ、この最低な戦い。マゾバトルってこんなのばかりなの?」


「最初のうちは最低な戦い方しか出来ないんですよ。

 その内成長すればちゃんとしたバトルが出来るようになります。

 ただ、ウチのマゾ蔵はもう長くないかも知れないんですよね…。」


その時、マゾ蔵が吐いた痰に血が混じっていた。


「え、マゾ蔵!?どうしたの、もしかして調子悪い!?」


するとマゾ蔵は呼吸が出来ないのか苦しそうに顔面蒼白になり、

凛が救急車を呼びだして救助を求めた時には既に遅かった。


病院で、帝羅が凛に声をかける。


「…気の毒だったね。チュートリアルであんな老人掴まされてさ。」


「いえ、初心者に配られるマゾなんてあんなものですよ。

 帝羅さんの雑魚助だって、かなり弱いでしょう?

 競技人口の増加に伴って、良いマゾは初心者には配られない。

 アタシ達に配られるマゾなんてゴミみたいなものです。」


「ゴミって…、マゾとは言え人間でしょう?」


「マゾ・カードゲームの主催団体が何をやってるのか、知らないんですね」


「どういう事?凛は何かを知っているの?」


「アタシのお兄ちゃんが、主催団体の運営側だったんです。

 団体は自分達に従順な軍隊を作ろうとしていました。

 そしてその選別に漏れたどうしようも無いクズを初心者に回し、

 表向きは慈善事業として給付金等を受け取っています。」


「な、何なのよ、それは…。それじゃあまるで、

 運営側は悪の組織みたいじゃない…。

 チャンピオンになれば世界の全てを我が物に出来るのでしょう?

 難しい事だと思うけれど、夢があるじゃない。」


「団体が目論んでいるのは…覇神財閥の解体です。」


「え!?」


「帝羅さんも知らないはずが無いでしょう?

 今や国のあらゆる産業に関わっている覇神財閥を。

 あの一族を潰す軍隊を作ろうと言うのが、団体の狙いです。」


「……あの、私….覇神財閥の跡取りよ…。」


「え!?

 帝羅さんが、覇神財閥のご令嬢ですか!?

 じゃ、じゃあ、あの伝説の覇神零の娘と言う事ですか!?」


「覇神零は母だけど…そんなに凄かったの?

 確かにかなり強いマゾを持っていたと言う事を先日知ったけれど。」


「どうしてご自身の家の事をご存知ないんですか!?

 覇神零は団体を内部から崩壊させようと奮闘して、

 その結果彼女自身がマゾに堕とされてしまい、輪姦されました。

 その際に生まれたのがおそらく、帝羅さん…。」


「!!!!!?????」


帝羅はここで凛の声が一切聞こえなくなった。

全ての感覚が遮断されてしまい、まるで空中を漂っている感覚になった。


現世とは違う空間に突然飛ばされたような虚脱感と非現実感。

その中でただひたすらに無感情なまま、ぼーっと浮かんでいた。


「・・・さん!帝羅さん!!大丈夫ですか、目を覚まして!!」


そこには凛の顔があった。


「あ・・・私ったら、何を・・・?」


「帝羅さん、突然意識を失ってしまって、声をかけてもゆすっても

 全然起きないんですから、本当に心配しましたよ。

 そりゃもちろん知らなかったなら相当な衝撃でしょうけど、

 残されたこちらの身にもなって下さいよ、もう!」


「ご、ごめんなさい…。

 しかし、まさかそんな…と言う事は、父親は私の本当の父親では無い?」


「えぇ、おそらくそうなのでしょうね。

 そこでもう二度とマゾ・カードバトルを出来ない呪いを掛けられて、

 それ以来、覇神零は表舞台から姿を消したと言われています。」


「そうだったのね、お母様…。」


「帝羅さん、突然こんな話をして驚かせてしまって本当にごめんなさい。

 アタシ、まさか帝羅さんが覇神財閥の娘だなんて知らなくて。」


「いえ、それは凛にはわからない事だもの。

 取り乱してしまってごめんなさいね。

 それで、凛は何故競技者に?」


「覇神財閥を壊されてしまえば、この国は団体の手に落ちます。

 そうなってしまえばもう、この国は終わりです。

 何せ団体は何の倫理観も哲学も持っていません。

 ただ従順なマゾ奴隷を作り、女をメス奴隷と呼び、

 自分達の都合の良いようにこの国を蹂躙するつもりです。

 アタシはそれを止めたかった。そして、その為には競技者として

 マゾ・バトルで勝ち上がり成りあがりたかった。

 だけど現実は、初心者に配られるマゾなんてゴミだったんです。」


「・・・・。」


二人はただ、夜の街で立ちすくんでいた。

やがて雨が降り始めた時、雑魚助が言った。


「あの、傘をお持ちしましょうか?

 だけど僕はお金を持っていないので、その、

 そこら辺から盗んで来ないと…あぁ、自分の非力が呪わしい。」


帝羅は真剣な顔で雑魚助に向き合い言った。


「雑魚助。貴方はどこまで強くなれるの?

 最後まで貴方でとは言わないわ。ただ、代わりのマゾが見つかるまで

 貴方の最大値まで調教して、より強力なマゾを見つけますわ。」


雑魚助はこれからどんな調教をされるのかを妄想して興奮し熱を放ち、

落ちて来る雨がその身に当たる度にまるで熱く焼けた石のように

ジュ―ッと雨を蒸発させて水蒸気に変えてしまっているのだった。

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