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アンダー・アース 終末姉弟渡界記  作者: 遁遁拍子
第3章 黒界・サンフランシスコ 白界・ニニギ(上)
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設定資料 M線=魔力について

 《魔石》

 黒界呼び:マギスリウム鉱石

 白界呼び:魔石


 黒界では、あらゆる生命を変異させる未知の放射線の源となる物質。

 白界では、魔法のエネルギー源となる魔力を放つ鉱石。

 外観は淡い紫色。アメジストよりも色が薄くやや濁っている。

 黒界の自然界からは産出しない。白界では全土の鉱山、特に南欧州から中東にかけて多く埋まっている。

 その主成分は魔素=Magislium(マギスリウム)と呼ばれる黒界には存在しない元素。


 《マギスリウム》

 黒界呼び:マギスリウム

 白界呼び:魔素

 魔石の構成物質。魔力を発生させる、黒界には存在しない元素。

 粒子放射線を放出する放射性同位体。半減期は通常50億年で最終的には安定な黒炭に壊変する。


 ※放射性同位体:原子核が不安定な元素で、放射線を出しながら安定な別の元素になる。


 単体だと固体で安定し、高い密度と硬度を誇る。融点は1500度。熱および電気伝導率が高い。磨くと光沢の美しい紫がかった水晶石になる。

 この元素は原子核が不安定な放射性同位体であり、半減期は50億年だが、《詠唱音波》と呼ばれる特殊音波にさらされると、その波長に応じて《魔力》と呼ばれる非可視の粒子放射線を放出して急激に変化する。

 放出するほど色は黒ずんでいき、やがて安定同位体に変化しきる(黒炭(炭素)になる)。


 《魔力の性質》

 マギスリウムは白界においてはほぼ無害であり《自然界に当たり前に存在する元素》。酸素と同じくらい白界のそこら中に存在している。

 そして、太陽光によって植物や人間がエネルギーを生み出すように、マギスリウムもその放つ魔力によって自然界のあらゆる物や生命に影響を及ぼしている。マギスリウムがある環境と、無い環境では、生態系そのものがまったく変わってくる。

 魔植物は、酸素と魔力を吸って成長し、魔物や魔人も酸素と魔力をエネルギーとして活動する。

 《魔力による他物質(原子)への影響》は多種多様すぎて未だにすべては把握されていないが、一部の研究機関では《七つの作用》に大別されある程度、体系化されている。

 黒界における生物の変異現象も、白界人の扱う魔法現象も、元をたどれば同じ《魔力による影響》である。


 《魔力による変異》

 マギスリウムが放射性元素として扱われる黒界において起こる現象。

 本来魔力がない環境で生まれた生物の遺伝子が、いきなり高濃度の魔力に晒された際に起こる。

 放射線を浴びた遺伝子はふつう《壊れる》だけだが、魔力を受けた遺伝子は《変異する》。

 この変異現象が、《魔物化》である。

 体が急激に適応変化することで、生物の状態は不安定になり、代謝が過剰になったり理性を無くしたりする。


 《魔法》

 魔力の影響によって発生する、白界における人間が支配可能な自然現象。

 人が《酸素》の反応として《火》を起こせるように、《魔素(マギスリウム)》の反応として《魔法》を起こす。

 マギスリウムは、常にあらゆる自然界の物質、元素に影響(原子干渉)を与え続けている。

 魔法とは

 ①魔力の影響をある特定物質や元素に対象を絞り、

 ②その作用の種類、強さや量を増減させることによって、

 ③特定の自然現象を誘発することを言う。


 この①と②が発生する条件は、マギスリウム=魔素に特定の《波》が当たったときである。

 魔素がどの対象に、どのくらいの強さで魔力を放ち、どんな現象をもたらすかは、《波》の周波数で決まる。

 古来から白界人は《波》を操る言葉を用いて意のままに魔法を起こしてきた。

 その波のことを彼らは《詠唱》と呼ぶ。


 《詠唱音波》

 これは学術的な呼称。白界ではたいてい、単に《詠唱》と呼ばれることが多い。

 魔力に特定元素への干渉を誘発させる音波。人間の他、一部の魔物は発声することが可能で、また魔道具のような人工的に詠唱音波を発生させる装置もある。

 詠唱音波を当てると魔石からは高濃度の魔力が放出される。また大気中の魔力にも音波は影響するが、低濃度かつ指向性が定まらないためそれをベースとして魔法を生むことは難しい。

 そのため基本的に、「魔法には魔石が必須」というのが、魔法使いの常識である。

 人間なら誰でも発声できるというわけではなく、《詠唱語》と呼ばれる専用言語の発声法の習得が必要となる。

 詠唱語を習得していない白界人や、声帯の構造が白界人とは異なる黒界人には発することができない。が、白界と黒界の混血は話すことは出来る。

 《詠唱語》は、白界各地にある遺跡の壁画や書物から解読された今の文明では使われていない言語である。

 現行の白界人類よりも前に繁栄していた人類が造ったものだと考えられるが、その正体は未だ謎に包まれている。


 ※


 ・魔法発生の仕組み

 《魔法》は魔石(魔素)に《詠唱音波》で働きかけ、魔力を放出させるところから始まる。

 通常あらゆる物質に少しずつ影響するそれを、ある特定の元素のみに影響させることで、望んだ魔法(現象)を発生させる。


 魔法の規模の大きさは扱う《作用》の種類数と費やす魔力の多さに比例する。

 黒連軍の研究では、原理的には自然界のあらゆる現象は魔法によって再現可能であると言われている。


 ※


 《魔力作用》

 詠唱音波に反応した魔力が発生させる現象。

 白界において最も発達した科学力を誇るアザガトの国家研究室では、魔力には以下の《7つの作用》があると言われている。


 ①《物質結合作用》

 物質同士の原子や分子などの構成粒子へ干渉し、結合、分解、再構築を行う作用。

 主に土系の魔法や治癒魔法で使用される。


 ②《エネルギー励起(れいき)作用》

 物質内の電子に干渉し、高エネルギー状態へ励起する作用。これにより熱、光、振動などのエネルギーを物質に与える。

 主に火系統の魔法で使用される。


 ③《電磁操作作用》

 電子移動の誘導によって電場、磁場、電流などを制御する作用。

 主に電気系統の魔法で使用される。


 ④《力場操作作用》

 対象物の周囲に力場を形成し、運動量、慣性、圧力、応力を制御する作用。

 射出系の攻撃魔法のほとんどに使用される。

 ※この力場とは自然界における放射圧(光圧)に近い原理を持っているが、光や電磁波ではなく魔力そのものが運動量の伝達場となる(アザガトでは魔力場と呼ぶ)。

 魔力場は、光のように物にエネルギーを与えるのではなく、運動量だけを効率よく伝達する。

 そのため、押す、引く、持ち上げる。加速する、衝撃を受け止める、といった幅広い現象を起こすことが可能だと考えられる。


 ⑤《物質状態転移作用》

 物質内部のエネルギー状態を制御し、分子間距離を変化させる。それにより物質の状態(固体、液体、気体、プラズマなど)を変化させる作用。

 主に水系統の魔法で使用される。


 ⑥《情報干渉作用》

 生物の神経信号や記憶の回路パターン、また無機物の情報構造などへ干渉する作用。

 白界においては、使い道はまだあまり開拓されていない。そもそもこの作用の存在を知らない魔法使いも多い(遺伝子操作による改造手術や洗脳手術に利用できるっぽいがアザガトでは禁忌として封じられた)。


 ⑦《空間・位相干渉作用》

 物質の位置、距離、空間構造そのものへ干渉する最も未知な作用。

 現白界で扱える人間はおらず、旧文明の魔道具や、三大国の王族が持つ魔鍵眼(鍵の目)によってのみ発生する。



 ・《魔力の単位》

 黒界では、魔石の質量0.1mgあたりに含まれる魔力量の単位を1ディナミ(dynami)という。

 ちなみに魔石の1立法センチあたりの質量は2mg。これは火成岩や堆積岩といった鉱物に比べるとかなり軽い。


 ※以下は魔石の形の種類

 《原石》

 掘り起こしたそのままの形。研磨されておらず、ゴツゴツしている。この状態ではまだ魔力の摘出効率が悪い。

 貧しい地域や紛争地帯などではこれが用いられる。


 《タンブリング石》

 形状や大きさは不揃いだが角がなく表面が滑らかで、魔力摘出効率もよく、原石に比べて魔法や魔道具の材料として使いやすい。

 採掘現場から仕入れたものを加工業者がこの形にして、商人へ卸し、販売するもので、一般市民にも流通している。

 ダンブリングとは本来、石が河川に流される中で自然に研磨された状態であるが、これは研磨剤とともに石をドラムに入れて回すことで簡単に再現できる。


 《宝石》

 職人によって磨かれ、カットされた魔石。純粋に美しいため、高所得層に需要がある。後述の《装填石》が開発されるまでは最も魔力摘出効率が高い魔石だった。

 今では、権力者が自分の権威を示すために使ったりする。現に貴族の中には、実用度的には装填石のほうが上であるにもかかわらず、こちらの宝石を使い続けているものも多い。


 《装填石》

 オリュンテア王国軍で考案開発された、兵器や杖に取り付けるために専用加工された魔石。

 細長い円柱形に削られており、さらに先端が魔力抽出用の穴が空いた鉛製のキャップに覆われている。

 丸裸の時は全方向に放出されていた魔力をキャップで先端一方向だけに向かうようにしたことで、タンブリングや宝石よりもさらに魔力摘出の効率が高くなっている。

 また、大まかな形や大きさを統一したことで大量生産、持ち運びや収納が便利になった。




 《魔力》

 黒界呼び:《M線》

 白界呼び:《魔力》

 M線は略称。正式にはマギスリウム粒子放射線、という魔石から放出される不可視光線。他のあらゆる物質や元素に干渉し、変化させる性質を持つ。

 黒界生物を《変異》させる放射線。黒界には存在しない新元素《マギスリウム》によって生み出される。

 中性子線やガンマ線のような粒子放射線の一種ということがわかっている(もっとも近いのは中性子線。ただ性質は全く別物)。

 可視光線ではないので普通の場合、肉眼では見えない。


 科学のない白界では人間には見えない神や精霊の力《プネウマ》などと呼ばれて定着しており、大気の魔力が見えるのは古来からの“神”の血を引く者だけだと言われている。


 《魔力の毒性》

 魔力は、黒界においては人体に有害であり、放射線と同じく鉛や鉄を透過する透過力と、物質内の原子や分子を電離させる電離作用がある。

 魔力が既存の放射線と異なる点として、既存の放射線が人体の細胞内を通過するときに遺伝子を傷付けるとされているところ、魔力は遺伝子及びその周囲の細胞を破壊した後、全く別物に作り替えてしまうことがある。

 これが魔力の“毒”である。

 この細胞の変異が連鎖的に発生し、急激な細胞増殖を起こして全身の組織が変質した生体を“魔力体”と呼び、魔力体を持つ人や動物を“魔人”や“魔獣”と呼ぶ。


 ただ、白界の生物の細胞には遺伝的に魔力に耐性があり、強い魔力を浴びても遺伝子や細胞に変異が起こりにくい。


 なお黒界人も、《耐性手術》の研究を進め、現在では白界人ほどではないにせよある程度の耐性を得ることができるようになっている。

 ※《耐性手術》

 汚染域で活動する黒連軍の全兵士が受ける手術。レベル1~3までが存在する。

 黒界にも数種類いる、“魔力に耐性を持つ生物”の遺伝子から開発された防護遺伝子を身体に導入する。

 レベルが上がる事に保護される部位が増えていくが、後遺障害や手術自体の失敗リスクも増える。


 また、魔力は電磁波の特徴も持ち、電波を99パーセントに近いレベルで妨害する効果がある。

 そのためチャフなどよりも遥かに強力なレーダー・無線通信攪乱膜として利用可能で、魔力汚染領域において、黒連軍が従来の電波レーダーや無線通信が使えないのもこのため。

 なお魔力汚染物は現状、熱を加えることで除染する方策が取られている。異獣の死骸は高火力で焼却することで除染し、汚染域に捨てられる。

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