12 機内にて
藍色の海原を滑るように高度を上げていく。
全長28メートル。のっぺりした漆黒の巨体《M-2》は、黒連軍が誇る特殊戦用輸送機である。
「翼上の二名を回収しました。光学迷彩、使用可能です」
「了解。アクティブカモフラージュ、起動する」
外板がうごめくように光ると、空の風景に馴染むように、機体が“消失”した。
この《M-2》に搭載されるステルス技術は、完全な透明化とその状態を維持しながらの長距離航行を可能とする。
雲を抜け高度一万メートルほどまで到達した機体は、そこで安定飛行に入った。
「これでもう、この空域で我々を見つけられるヤツはいませんよ」
コクピットに乗るふたりのパイロットは背もたれに身を預けると、操縦桿を下げて振り向いた。
「電力にも余裕があるので、このまま迷彩状態で予定地に向かいます。カイダ中尉」
「……わかった。頼む」
操縦桿が自動で動き始め、これより機体はオートパイロットで飛行する。
アーマーを脱いだカイダは、コクピットの狭い天井に坊主頭を擦りながらうなずいた。
「早く来てくれて、本当に助かった。あと少しでも遅ければ俺たちは全滅していた」
「いえいえ、お礼ならエルフマン少尉に言ってください。迅速な出撃も、この機体を出せたのも、彼女が上に進言してくれたからです」
操縦士の返答に、彼はあの気楽な《ボルツ》の兵士を思い出した。
「もう安心ですよ。到着までゆっくり休んでください」
操縦士は、疲労の滲むカイダを見て、そう笑いかけてくれた。
「……あぁ。すまんな」カイダは仏頂面のまま感謝し、コクピットから出た。
「…………さて」
ひげの伸びてきた顎を揉みながらステップを降りて、貨物室に向かう。
8つの個室とハンガーからなり、最大30人の兵員と対魔力防護装甲を収容できるスペースがある。
外から入る際は必ず除染室を通り、帯電処理と超音波による洗浄を行う。カイダがステップを降りきった時、ちょうど扉が開いて、処理を終えた人影が出てきた。
細身な朱色のアーマー。ヘルメットを外すと、ブロンドの髪がふわりと広がる。
ヘルメットを小脇に敬礼する。
「素顔では初めましてですね。カイダ中尉」
覚めるような青い瞳に白い肌。北欧系のくっきりした目鼻立ち。
首から下の動作は間違いなく軍人なのだが、顔はまだ高校生くらいの少女に見える。
「あらためて、お会いできて光栄です」
「こちらこそ。来てくれて助かった。エルフマン少尉」
「どうも~」
カイダが差し出した手をニッコリ笑顔で握り返す。健康的な白い歯がよく見えた。
「いきなり聞くのもなんだが、君はいったい……いくつなんだ?」
「こう見えても、もう19なんですよ~」
まだ19歳なのか。カイダは顎を引く。
彼女が所属するのは黒連軍特殊作戦コマンド・対魔法士特殊分遣隊。
通称。
文字通り魔法使いに対抗する事を目的とし、専門的な訓練を積まされた精鋭部隊である。
「急なことだったので……非番の私ともう一人しか来れなかったんです」
「もう一人いたのか?」
「まあ一人というか、一機というか。今回はお役目なかったので、いまは寝てますよ」
ベスが指す先は、狭いハンガーになっていて、カイダたち兵士が脱いだアーマーたちが鎮座している。
奥は暗がりになっていて、よく見えなかったが、アーマーらしき影が佇んでいるのは確認できた。
「じゃ、お疲れ様で~す」
その間にするりと横を通り抜けていくベス。「ちょっと待ってくれ」カイダは、とっさに呼び止めた。
「はい?」
「あ……いや。君は……パシパエの正体をどこまで知ってる」
キョトンとした顔で見つめ返され、一度咳払いしてから続ける。職務を超える発言だと分かってはいたが、今しか聞くチャンスはない。
自制心を振り切って続ける。
「彼女があれほど《魔法使い》に狙われていた理由は何なんだ。奴らの執念……明らかに、ただの同胞を連れ戻しに来ただけとは思えない」
旧イタリアの汚染領域で発見された“転移者”の少女の護送任務。カイダたちが最初に聞かされたのは、それだけだった。
妙だったのは、護衛対象一人に対し、1個中隊というやや過剰にも思える兵が投入されたことだ。
「奴らは《ポータル》まで開けてきた」
100人以上いた兵員は、少女を狙う追手の襲撃とともにどんどん数を減らし、いまや10人程度となった。
既に途方もない命が今回の任務で失われた。
カイダは無意識に拳を握る。
「なぜそこまで、あの少女を狙う? 上層部も、白界の奴らも……彼女の何がそんなに特別なんだ?」
話しているうちに、状況がひっ迫していた時は忘れていた、怒りがよみがえってきた。
「ご報告感謝します。カイダ隊長」
だがベスは一切揺れ動かない青い瞳を細めて、静かに微笑んでいた。
「説明はいずれ然るべき時にさせてもらいます」
「……それは」
「大丈夫ですよ。黒連軍の目的は一人でも多くの黒界人の命を守ること……上も下も、それだけは間違いなく同じです」
じゃあ俺たちの命は何なんだ。と言いたいのを、カイダは理性で抑えた。
いま、自分が踏み込めるのはここまでだと、彼女の目を見ればわかった。
「あ、そうだ」
張り詰めた空気を払うように少女が手を叩く。
「ターゲットと……あと例の姉弟ちゃんたち……後で私からも少しお話していいですか?」
「…………ああ……わかった……」
「どうも~♪」
愛想のいい笑顔とともに通路の暗闇に消えていく。
『君は今この場で最も無力だからだ』
残されたカイダの頭には、先ほど自分が少年に放った言葉が繰り返されていた。
※
意識を取り戻した少年、ジローがまず感じたのは、硬いクッションだった。
「……ここは……」
貨物室の簡易ベッドに彼は寝かされていた。
拘束はされておらず、枕元には新品のイヤホン型翻訳機が置かれている。杖やリュックなどの持ち物が何も無いことに少し不安を覚えた。
耳の奥が引っ張られるような鈍い痛みがする。
そう、思い出した。ここは輸送機の中だ。
床の小さな揺れ。おそらく既に発進している。耳の痛みは高度が上がっているからだろう。
「やばいっ! アキラが……置いてきちゃったッ!」
「いるわよ」
「えっ」
見ると、向かいのベッドで猫目の少し背が高い少女、アキラが座っていた。
疲れた顔をしている。
「どうやって? まさか、隊長が連れ戻してくれたの?」
「んー……まあ……説明するのめんどくさいわ……」
彼女は綺麗に洗われたショートの黒髪をくしゃりと撫でると、あくびをしながら寝転がった。
「まあ、あんたから貰った装置が役に立った」
ころんと背を向けて言う。
「フックガンが。そっか……そりゃあ、よかった」
ジローは呆然としていたが、やがて安堵のため息をついた。
「どれくらいたった?」
「……さぁ……」
「いまどこに向かってるの?」
「知りたいなら自分で聞きなさいよ」
少し不機嫌モードのようだった。
……というよりは、何か落ち込んでいるような感じがする。
「……ねえ」
「ん?」
「なんで私が、人を殺すのが嫌だったの」
と考えていると、アキラの方から急に口を開いてきた。
「……なんで? なんでって……そりゃ……」
ジローは眉をひそめ、姉が初めて兵士を殺した瞬間を思い出してみた。
あの時、感じた罪悪感と、不安。
そして理屈が通らなかろうがなんだろうが、弟として絶対言わなければならないと思った、責任感。
一連の感情の流れがサッとよみがえる。
「……家族なんだから、当たり前のことでしょ」
それを単純な言葉にまとめ、キッパリ返す。「……そう、ね」しかし姉は、まだ心ここに在らずという顔でため息をつく。
「……何かあったの?」
その態度の意味を聞き出そうとしたとき、扉がノックされた。
「入るぞ」
一人の兵士が入ってきた。焦げ茶色の短髪に、凛々しい顔立ちの青年。
額に絆創膏を貼って、ぴっちりした黒のTシャツと迷彩柄のズボンを着ている。
「よう」
「……誰?」
「グレン・ウォーカーだよ」
「誰よ」
「なんでわかんねえんだよ、一緒にモールまで行ったろ」
「…………」
「……偉そうな若い兵士」
「「あぁ~~!」」
「声揃えて納得すんなガキども」
兵士の素顔を見るのは初めてだったので、ジローは少し感慨深く思った。
アーマーを着ていた頃の想像より、意外と整った欧米顔のグレンは、生真面目そうな濃い眉をしかめると、「出ろ」とふたりに指示した。
「隊長から話がある」
彼に連れられふたりは別室に移動した。そこは貨物室より少し広く、簡素な机がひとつと、両側に人数分の椅子が用意されていた。
片側にふたりが座り、もう片側には坊主頭の兵士と、書記官が座った。
姉弟の背後にはグレンともう一人の兵士が立つ。その腰のホルスターには麻酔銃が収められていた。
「まずは……閉じ込めるようなマネをしてすまなかった」
硬そうな皮膚に、鋭い目をした坊主頭の兵士。カイダは、無精髭に囲まれた口を開く。
「今後、君たち“協力者”の身の安全は、我々が保証する」
「……隊長さんって……もしかして日本人?」
その顔立ちにはどこか馴染みがある。グレンとは明らかに違う。目元の堀が浅くて、自分たちと同じだとすぐにわかった。
行儀よく座ったジローの質問に対し、カイダは口をつぐんだ。
「私のナイフと銃は?」
対して、片足を椅子に乗せたアキラが、負けず劣らず無愛想な顔でたずねる。
「……君たちの持ち物は汚染環境で長く使われていたものなので、いまはこちらで預かっている。予定地に着いたら返す」
「あのぉ……できれば杖は返してくれませんか? あれが無いと困るんだよね、その、歩くのが」
「…………」
地下で生まれ育った影響で、弟の方は片足が不自由だ。
部下から聞いた情報を思い出したカイダは、「では代わりの杖を用意しよう」と応じた。
「いまこの……飛行機? ってどこに向かってるのよ」
「我々の基地のひとつだ。オキナワという場所、知ってるか」
「ん?」知らない。アキラは猫目をひそめて隣を見る。「……ああ、うん」ジローがわりとすぐに答える。
「兵士さんたちはそこに住んでるの?」
「……いや……俺たちの拠点はまた別だ」
「じゃあ、いまから行くそこには誰がいるの?」
相変わらず、脳天気なようで的確。こちらの痛い所を突く質問をしてくる。
「……いまから行くのは……まあいわゆる、普段は使わない極秘基地だな」
「へえ~……」
はぐらかすカイダだったが、ジローは好奇心をそそられたようだった。
そこが、通常の基地には置けないような“危険物”を隔離する場所だとは言えない。
「他にも拠点があるの?」
「ああ、黒連加盟国の城郭都市すべてに基地がある」
「ジョーカク都市……」
「黒界人を、異獣やM線から守るための街だ」
「へえ、そんな場所が世界中に……!」
「数はあまり無いがな」
「急に色々教えてくれるわね」
身を乗り出すジローに反し、アキラは膝を抱えたまま疑念の視線を返す。
「なんで?」
「……さっきも言ったが、我々はもう協力関係を結んだ。このくらいの情報を共有するのは当たり前だ」
「……ふうん……」
「無論、過去を水に流すというわけじゃない。だから特に仲良くする気はないが……利害が一致している限りは、こちらも協力は惜しまない」
少し釘を刺すようにカイダは言った。それは姉弟の後ろにいる部下たちへの意思表示でもあった。
「君らは白界人の父親を探していると言っていたが……」
彼は隣の書記官が持つディスプレイボードに目を落としながら、次の話題に入る。
「具体的に何者なんだ。それは」
「……僕たちもよく知らない。小さい頃にいなくなって、ずっと会ってないんだ。でも僕らのM線への耐性はたぶん父さん譲りだから、向こう側の人間で間違いない」
「そうか……母親の方は黒界人なのか?」
「そう、だと思う」
「まだ生きてるか?」
「いや……もう」
「……そうか。母親の身分を証明できるものは何かあるか?」
ディスプレイにサンプル画像を映しながら説明する。
姉弟は顔を見合せて、
「持ってるわけないでしょ」
「でも、住んでたシェルターには残ってるかも。血液検査とか健康診断は、定期的にしてから」
「シェルターの中はもうぜんぶ焼けてるわよ。あんたの爆弾で」
「あそっか」
「なるほど…………シェルターか」
旧時代のシェルター。黒連軍では国内のものは全滅したと思われていたが、密かにまだ存在したというわけだ。
ふたりが廃墟の日本で生き延びていた理由を得て、カイダは頷いた。
「まあ、どちらにせよ、基地に着けば検査をすることになるだろう。君たちの遺伝子情報を調べて、本当に黒界と白界の混血なのかがわかる」
彼は両手を机の上で組み合わせて、一呼吸置いた。
「君たちの身分は現状、かなり曖昧だ。黒連都市法は原則すべての黒界人に居住権を認めている……だが、混血については定められていない」
「半分白界人だったら住めないってこと?」
「いや、わからない。そもそもこの20年、そんな前例が無かったからな」
「……べつに関係ないわよ。私たちは父親を探しに、向こう側に行くんだし」
アキラがあっけらかんと言うと、「それは難しいだろうな」とカイダは否定した。
「民間人が白界に行く方法は、今のところこちら側には無い」
「魔法使いはあの光の柱で来たじゃない。あれを使ってこっちから行けないの」
「《ポータル》は向こう側特有の技術だ。我々には再現不可能だ」
カイダはそこから姉弟に《ポータル》――光の柱の正体を説明してくれた。
「20年前、最初の《ポータル》は白界側から開かれた。
それから連鎖するように世界中で無数に発生し、二つの世界を繋げていった」
その内容は、ジローの推測とおおかた合っていた。
「じゃあ、あの空の地球もその時に現れたの?」
ジローの質問に、「母さんたちは、そんなこと言ってなかったわよ」アキラも眉をひそめる。
そう、シェルターの大人たちは“第二の地球”のことも、“魔法使い”のことも、何も教えてくれなかった。
考えられるとすれば、シェルターの大人たちが隠していた?
でも何のために?
「いや……アレはこの20年間で少しずつ現れたモノだ」
カイダが答える。
「その姿ははじめは薄く小さく、次第に、濃く大きくなってきた。君らの親が地上にいた頃は、まだ観測できてなかったんだろう」
「なにそれ……」
副官がまた画像を見せたきた。ここ20年の“第二の地球”の像の変化だった。
たしかに、少しずつ濃くなって来ている。
「とは言っても、アレは物理的には存在しない虚像だ。二つの世界は実体としては繋がっておらず、ポータルを通じてのみ移動できる」
カイダはあえてそう強調した。
「アレが存在していることでの、地上への影響はないんですか?」
「……ああ。今のところはな」
「魔法使いが現れたのは?」
ジローがぐいぐいと身を乗り出して尋ねる。
「存在が正式に公表されたのは、ここ10年ほどでのことだ。
それまでは、光の柱が別世界に繋がっていることも、各地の噂程度でしかなかった……そんなことを調べる余裕もなかったからな。当時の人類には」
それからしばらくの間、姉弟と軍人たちの会話は続いた。
姉弟は今後の自分たちの処遇についての説明を受け、
最後に、パシパエに会わせて欲しいと頼んだ。
が、カイダは却下した。
「彼女とはもう関わるべきじゃない。忘れろ。その方が、君たち本来の目的を果たすためにも良いだろう」
「あの子をどうする気よ。あんたら」
「……それも、知るべきじゃない」
パシパエに関するカイダの態度は頑なだった。
ふたりはグレンに連れられ、部屋を出る。ジローは代わりの杖を貰った。
窓の前に通りかかり、そこから外の景色が見えた。
「うわ……」
思わずため息をもらした。機体のはるか下になだらかな白い雲の床がある。反対に、頭上は深い藍色がかった空間が続いている。
「すごい……! ほら、見て!」
確かに凄まじい光景だが、アキラの感情はそれほど動かなかった
『そうか……ニコロは、駄目だったか』
ベスに救助され、機内に運び込まれた時のことを思い出していた。ニコロのナンバーが書かれたアーマーの欠片を、カイダたちに渡した。
それが彼の唯一の遺品だった。
カイダは淡々とうなずき、直属の部下だったグレンは絶句していた。
『……伍長……』
あれから胸には鬱屈とした思いがずっと残っている。
「勝手に止まんなよ」
グレンが、後ろから刺すような声をかける。アキラはそれが別の責める意味を持って聞こえた。
「さっさと歩け」
貨物室の前まで来ると、通路の壁に寄りかかるようにして、一人の女性が待っていた。
「あ、きたきたあ!」
金髪、青い瞳。キャラ物のワッペンがたくさん付いた白い軍用ジャケットを着ている。
「待ちくたびれたよ~」読んでいたコミック本を閉じて、あくびをしながら近づいてきた。
「一巻まるまる読み終わっちゃった」
「なんだアンタ?」
見覚えのない待ち人に、警戒心をあらわにしたグレンが一歩前に出る。
「もしかして、ベスさん?」
「嬉しい。名前覚えてたくれたんだ~」
15、6歳ほどに見えるベスは、そんなグレンの横を素通りにし、姉弟に馴れ馴れしく肩を組んできた。
ふたりの背中に、ひとつずつ、柔らかい感触が押し付けられる。
鼻先でふわりと揺れる金髪から甘い匂いがした。
「ふたりとお話ししたかったんだ~」
「話?」
「なんであんたとっ……」
弟はキョトンとしているが、アキラは姉の義務感ですぐに引き離した。
「だって、仲良くなれそうな気がするし……もっと知りたいんだ~。ふたりのこと」
と目を細めるベス。一見、屈託のない笑顔に見えるが、これにはどこか裏があるとアキラは確信していた。
「私たちは別にそんな気ないんだけど」
「そういわずにさ~。特別に、パシパエちゃんにも合わせてあげるよ?」
「ホント??」
困惑から一転し、ジローがパッと顔を明るくする。
「おい何言ってんだよ。勝手なこと」
グレンが高圧的な声をかける。するとベスは綺麗な青い瞳を細めて彼を見上げた。
「おたくの隊長の許可はもらってますよ」
「なに?」
「心配ならあなたもついてきます?」
グレンの胸を人差し指でつついて、内心を見透かしたように提案する。彼は一瞬たじろいだが、「じ、上等だァ」と顎を引いた。
「俺は隊長からふたりの監視を頼まれてる。責任があるんだ」
「よっし、決まりね~。じゃあみんなで行きましょーう」
ベスに先導され、姉弟と若い兵士は通路の奥に歩いていく。
取り残された窓の外には穏やかな雲の床が続いている。
だがその後方では、大きな雲が縦長に膨らんできており、灰色に染まりながら《M-2》との距離を詰めつつあった。




