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偽りの令嬢

 あれから数日が過ぎ約束の日曜日がやってきた。フランソワーズはブルーのドレスを身に惑いブロンドの長い髪に白いリボンを着けている。

「フランソワーズ、いやクリスティーヌ。君はどこもからどう見ても令嬢だ。お母様の前では僕の教えた通りに言うんだよ。」


「はい、お母様、私はこのクリスチャンと結婚します。街で途方にくれていたとき助けてくださった優しい方てす。」

「そうだ。よく言えたね。」 

短期間で敬語も綺麗に使えるようになった。


クリスチャンは思った。これでなんとか母を誤魔化せるだろうと。


クリスチャンとフランソワーズは迎えに来た馬車に乗り込む。クリスチャンは黒のウィッグをつけている。  



どのくらい走っただろうか、馬車は大公家のお屋敷に到着した。敷地内は広く、邸宅がいくつも並んでいる。

「クリスチャン様はこんなお屋敷に住んでらしたのですか?!」

初めて見る光景に興奮気味のフランソワーズはクリスチャンに尋ねる。 

「住んでのは君だろう?数日間帰らないうちに忘れたのか?」


フランソワーズははっと我に帰る。そうだ今の私は街娘のフランソワーズではない。大公家の姫クリスティーヌなのだ。


馬車を降りると小間使いに案内され宮殿内を案内される。長く続く廊下、天井にはシャンデリア、フランソワーズはその全てに心踊らせる。


(素敵なお屋敷。こんなところ一度でいいから住んでみたいわ。) 

「あまりキョロキョロするな」

フランソワーズは耳元でクリスチャンに嗜められる。


応接間に案内され小間使いにはそこで待つように言われた。

ほどなくして先ほどの小間使いが大公妃を連れて戻ってきた。


「お母様、只今戻ってまいりました。」

クリスティーヌに扮したフランソワーズが立ち上がって挨拶する。教えたことは身についているようだ。

「クリスティーヌ。本当に心配したわ。良かったわ。これでハプスブルク家の皇太子様との婚約披露の舞踏会に出席できるわね。」


「婚約披露の舞踏会ですって?!」

フランソワーズが目を輝かせながら答える。


「クリスティーヌ」 

クリスチャンが小声で囁く。

(そうだったわ。)


「お母様、そのことですが、わたくし皇太子様とは結婚しません。ここにいるクリスチャンと結婚します。」


(フランソワーズよく言った。)

クリスチャンが隣で微笑む。


「そうであったか。それは本心なのですね、クリスティーヌ?」


「はい、お母様」

フランソワーズは再びはっきりとした口調で答える。


「私が聞いているのはそなたにではない。」

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