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アメリアの陰謀

 「公女フランソワーズ・ド・コンティ」

バトラーがフランソワーズの到着を告げると大広間の貴族や貴婦人達が一気にフランソワーズへと視線を向ける。

フランソワーズはニコッと微笑むとお辞儀をする。

階段を降りると真っ直ぐ玉座に座る王妃マリーアントワネットの元へと向かう。

「陛下、本日はお招き頂き誠にありがとうございます。」

「貴女がコンティ大公妃の」

「はい、フランソワーズと申します。先日イギリスから戻って参りましたの。」

クリスチャンは隣でフランソワーズの姿を見て微笑んでいた。言葉使いもお辞儀も完璧にできている。

「お嬢さん、私と踊って頂けますか?」

1人の紳士がフランソワーズに声をかける。

「いえ、私と」

別の紳士からも誘われ狼狽えるフランソワーズ。

「すみません、彼女は僕と踊る約束ですので。」

クリスチャンが助け船を出す。


クリスチャンはフランソワーズの手を取り広間へと向かうと互いに組んで踊り出す。

フランソワーズはドレスの裾を踏むことなく軽やかなステップを踏む。

「フランソワーズ、今日の君のダンスは素晴らしいよ。」

クリスチャンが耳元で囁く。

「Merci, Monsieur.今日のわたくしはコッペリアですもの。」

フランソワーズは微笑む。

その様子をアントワネットが玉座から見ていた。

「コンティ大公妃」

「なんでしょう?王妃様」

「フランソワーズ、とても活き活きとしているわね。内向的な少女とお聞きしていたけど、きっとイギリスへの留学が素晴らしい体験になったのね。」 

「王妃様、内向的なのは長女のクリスティーヌでございます。フランソワーズは社交的でこういった華やかな場所を大変好んでおりますわ。」

アントワネットはフランソワーズを大公家の娘だと信じこんでいるようだ。


「フランソワーズ」

ダンスが終わるとフランソワーズはアントワネットに呼ばれる。

「はい、陛下。」

アントワネットの傍らには貴婦人とその娘であろう少女がいた。フランソワーズは少女に見覚えがあった。


「フランソワーズ、こちらわたくしの従姉妹とその娘アメリアよ。」

アメリアはフランソワーズにお辞儀をする。

「ごきげんよう、フランソワーズ」

「ごきげんよう、アメリア」

フランソワーズもお辞儀をする。

「フランソワーズはイギリスに留学して最近戻ってらしたのよ。」

アントワネットが付け足す。


その様子をクリスチャンは見ていた。

「You had been in England? So you must have visited London.」

アメリアは英語で話しかけるがフランソワーズは返答しない。



(しまった。イギリスの事は勉強したが英語は教えてない。)

「アメリア嬢、フランソワーズは少し緊張しております。」

クリスチャンがとっさに庇う。

「あら、どうして?イギリスにいたのなら英語の方がお話しやすいのではないかしら?それとも英語話せないの?そうよね、パリの下町で生きてる平民が留学なんでできるわけないわよね。それにこないだのオペラ座の仮面舞踏会も金持ちの貴族でも探そうと忍び込んだのかしら?まあ図々しいわ。」

アメリアは広間中に響き渡るような大声で話す。会場の貴族達がざわつきフランソワーズを平民の娘じゃないかと疑い始めた。


(もう終わりだ。)

クリスチャンがそう思ったときだった。


「Ameria, thank you for your kindness,but I feel comfortable to speak my native language here in Versailles.」

フランソワーズは流暢な英語で返す。

次回最終回です。

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