ベルサイユに咲くシンデレラストーリー
最終回です。
貴族達はフランソワーズの英語に耳を傾ける。
「Spending in London was a wonderful experience, but I missed my home country. I attended the masquerade at the opera to sense the air of France.」
フランソワーズは続ける。
クリスチャンは知らなかったがフランソワーズはこんなこともあろうかとロバートに頼んで英語を猛特訓してもらったのだ。
「どうせそこの隣の教師にでも教わったのでしょ。そのたどたどしい英語。私貴女方のこと知ってるのよ。」
アメリアは焦って言い返す。
「ミスアメリア、その変で宜しいではありませんか。」
大広間へと続く階段の上に白軍服の紳士が現れる。金髪のロングヘアを一纏めにし、まさに絵本の王子様だ。王子様は階段を1段1段降りアメリアの前にやってくる。
「ミスアメリア、この娘さんは貴女の言うような平民の娘ではありませんよ。先ほどから見ておりましたが、彼女はマナーも挨拶もダンスも、そして英語も完璧です。貴族の教養が身に付いた立派な令嬢です。ミスアメリア、何のつもりか知りませんが、ありもしない噂話を流す貴女の方が教養が身に付いてないかもしれませよ。」
アメリアは悔しそうな顔をして去っていった。
王子様はアントワネットにお辞儀をする。
「本日はお招き頂きありがとうございます。陛下、いえ我が妹。」
王子様はアントワネット様の兄であり、クリスティーヌの婚約者であるハプスブルク家の一員、つまり正真正銘本物の王子様だったのだ。
「貴女がコンティ大公妃の公女ですね?申し遅れましたわたくしオーストリア女帝マリア・テレジアの4男フェルディナンドでございます。貴女がどのような方か知りたくて物陰から様子を見ておりました。貴女が婚約者で良かったです。宜しければ踊って頂けますか?」
フェルディナンドはフランソワーズに手を差し出す。フランソワーズは迷ってクリスチャンの方を見る。クリスチャンはただ微笑んで頷く。行っておいでと言うように。
フランソワーズはフェルディナンドの手を取り踊り出す。
「その後フランソワーズは王子様と結婚しいつまでもお城で幸せに暮らしました fin」
「ロバート、原稿が書けた。出版社に持って行ってくれ。」
「クリスティーヌ様ご自分で行けばいいじゃないですか。」
「僕はこれから荷造りがある。このアパートともお別れだからな。」
クリスチャン、いえクリスティーヌは小学校の教員を辞めイギリスの女学校に赴任することになった。今度は女性として採用試験を受けたのだ。フランスを立つ前にフランソワーズとの出来事を小説にした。平民の娘達に少しでも希望が持てるようにと。
「まさかクリスチャン先生が女だったなって。」
教え子のジョンが荷造りを手伝ってくれてる。
「クリスチャン先生、いえクリスティーヌ先生、女の名前に戻ったのに男装はやめないんですか?」
「ああ、次に行くのは女学校だからな。こっちのが受けがいい。」
クリスティーヌのアパートの前に馬車が止まった。馬車からピンクのドレスの少女が出てきた。フランソワーズであった。
「クリスチャン様、いえクリスティーヌ様パリを去るのですか?」
「ああ、イギリスに行くんだ。」
「待って下さい。私まだクリスティーヌ様に言ってないことがあります。私貴女がす」
クリスティーヌはフランソワーズの唇に人差し指を出す。
「ありがとう。君の気持ちは分かっている。でも君を幸せにするのは僕じゃない。分かるな?」
「はい。」
フランソワーズはクリスティーヌに餞別の白薔薇を渡すと馬車に乗り帰っていった。
クリスティーヌは馬車が見えなくなるまで見送っていた。
「フランソワーズ、どうかオーストリアでは幸せになってほしい。君みたいな少女でも幸せになれることを証明してほしい。」
FIN




