絶景を見れた
中学2年生の6月15日の水曜日。
俺は両親の帰宅を待っていると電話が掛かってきて、出た。
父親だった。
「駿、仕事仲間に誘われて呑みに行くことになったから遅くなる。今野さん家に行って、晩飯をご馳走になってこい。良い誘いがあるかもな〜」
俺が返事する前に切られた。
俺は幼馴染の今野家に行くことにした。
「こんばんは〜。お邪魔しまぁす」
「こんばんは〜駿くんどうしたの?」
「父が夕食をご馳走してもらえって」
「あらそう。上がって上がって、澪菜も呼ぶから」
「すみません」
幼馴染の母親の背中に謝った。
俺はリビングに脚を踏み入れ、ダイニングチェアに腰を下ろす。
「駿!!なんで居んの?」
「父さんが夕食をご馳走してもらえっていうから」
「えぇー……駿と晩飯食べるなんて」
澪菜が嫌そうに顔を顰めながら、ダイニングチェアに腰を下ろす。
彼女の母親もダイニングチェアに腰を下ろし、いただきますを3人同時に言う。
彼女の母親が俺たちに話題を振っても、澪菜は二言三言だけで返事するだけで夕食を食べ進める。
俺は夕食をご馳走になり、帰ろうとして、彼女の母親が鳴り出したスマホに出て、すぐに呼び止められた。
「あっ、駿くん。まだ帰らないで。あの人が連れて行きたいとこがあるんですって」
俺は澪菜の父親が帰宅するまで待った。
「ただいま〜。おう、駿くん!!ミオ、出掛けるぞ!!」
澪菜の父親が夕食を食べ終え、俺たちを車に乗せ、発進させた。
助手席に座る澪菜が不機嫌な低い声で聞いた。
「パパ、何処行くの?」
「ほたる童謡公園だよ」
「知らないよ」
「絶景を観に行こう」
「ふぅ〜ん……」
俺は後部座席で静かに座っていた。
俺たちは長野県上伊那郡辰野町のほたる童謡公園に来た。
車を降り、俺と澪菜は彼女の父親に着いていく。
彼女の父親が立ち止まり、何が広がっているのか見る為に隣に立つ。
眼前には蛍の光りが広がって綺麗だった。
「うわぁ〜駿駿っ!!蛍だよ!!いっぱいの蛍だぁ、綺麗〜!!ねぇっ」
「おう……綺麗ぃ。こんなに蛍がいるなんて……」
俺は隣に立つ彼女の横顔を盗み見た。
美しくて、可愛かった。
時刻は20時15分を過ぎていた。
俺たちは20時50分までほたる童謡公園の飛び回る無数の蛍の光を眺めた。
帰りは彼女も後部座席に並んで座った。
「駿っ、凄かったね!!あんなにいっぱいの蛍を見れて興奮したぁっ!!」
「さっきのは凄かった。綺麗だった!!」
俺は帰宅して、風呂に入り、残りの宿題を終わらせ、ベッドで就寝した。




