セシルの日記
初の閑話!
……わかり辛くて、ごめんなさい。
黒34 晴れ
今日、ミラさんにノートを貰った。せっかくなので、思考の整理に使おうと思う。
黒35 晴れ
今日は、ヤマンバ……いや、ミラさんと修行をした。教えられたのは、極めて異質な剣だった。
彼女は一体何者なのだろう。ツノと尻尾と鱗以外の外見は人間と変わらないようだが、獣人なのだろうか。
しかし、もっと驚くべきはその現実離れした力だろう。あの破壊力には恐ろしいものがある。
しかも、今日教えられた剣はその驚異的な力を前提としたものだった。
……つまり、彼女だけでなく彼女にそれを教えたものも同様の力を持つと考えられる。(彼女が本当に7歳であればだが)
彼女の家系に伝わる剣なのか、それとも突然変異の人々の間で伝えられた剣なのか……
獣人に、そのような力を持つ者はいるのだろうか?彼女の謎は一層深まっていった。
魔法を使えることは言わないことにした。手札は隠したい。信用できると思えるやつにしか、明かせない。そんなやつ出来るとは思えないけど。
黒36 晴れ
今日は、ミラさんと森へ行った。
緑の多い、素晴らしい景色の森だった。ミラさんは、歩き慣れているようだった。また、誰でも知っている常識を知らなかった。このことから、彼女は、昔からここにいたと考えられる。
つまり、ここに、彼女と同じ力を持つ人が一人かそれ以上いたことになる。王都のものは、それを知ればどのような反応を示すのだろうか?
途中で出会った熊、『おそらく血牙熊』を素手で締め上げ始めた時は本当に驚いた。
魔法も何も使わずに!だ。たくましすぎる。一体何なのだろう。
軽いノリ、恐怖する様子もまるでなく……絶対上位者ドラゴンのような態度だった。むしろ僕が恐怖した。
しかも、解体の手つきが手馴れていて、背筋が凍った。早くこのピンクヤマンバから逃げなければ!
黒37 晴れのち土砂降り
今日、僕はとんでも無いことをしてしまった。ミラさんと喧嘩したのだ。いや、口論というべきだろうか?
王都に行こうと誘われて、咄嗟に忌まわしき過去を思い出してしまったのだ。お姫……いや、ここには何も書かないでおこう。僕のプライドに関わる。
それにしても、今日は迂闊だった。身の危険が凄まじい。そもそも女性には優しくしろと学んだのに。
出来た干し肉を持って、明日謝ろう。
黒38 快晴
今日は、ミラさんと再び森へ行った。
日差しが強かったが、森の中はそうでもなかった。昨日の雨で道がひどくぬかるんでおり、顔面から転んだミラさんがひどくショックを受けていた。何をやっているんだろう。
途中の泉で顔を洗ったら、「イーッヒッヒ」と笑う不審な鳥に遭遇した。ミラさんが拾ったキノコを与えたら、嬉しそうに帰っていった。
森は嫌な過去があったが、あの森と違って薄暗くない。森が好きだったので、少し楽しんでしまった。
しかしそのあと道にあらわれた熊をミラさんが拳ひとつで打ち破るという事件が発生したので、そんな気分は吹き飛んでしまった。回収した熊肉を持って、ミラさんが途方に暮れていた。僕も少し呆然とした。
黒39 曇り
今日の雲行きは非常に怪しかった。しかも、沼のような嫌な匂いがする。不愉快だ。
今日はミラさんに頼まれて、ずっと家の掃除をしていた。割と綺麗だった。掃除はすぐに終わった。
それからミラさんと多少雑談をした。少し慣れてきてしまった自分が嫌だ。
ミラさんを多少は怖いと思っているのに、馬鹿だ、とも思ってしまう。警戒心が薄くなったのだ。心配だ。
……しかし、それも心配だが、それよりも明日の天気の方が心配である。
あの時みたいな、嫌な匂いがどんどん強くなっている。あいつが来そうで、怖い。
来たら殺してやる。来たら殺してやる。来たら殺してやる。来たら殺してやる。絶対に殺さなければ。
来たら殺してやりたいのに、何故か体が震えた。
明日、雨が降らなければいい。嫌な胸騒ぎがした。
黒40 雨




