未来のニュース
夜。
スマホが震えた。
ニュースアプリの通知。
『速報』
なんとなく開く。
『〇〇市で殺人事件』
最近よくあるニュースだ。
スクロールする。
『本日未明、〇〇市△△町の住宅で男性が刺され死亡』
住所が表示される。
手が止まる。
△△町。
俺の住んでいる町だ。
嫌な感じがして続きを読む。
『死亡したのは、この家に住む男性(32)』
心臓が、どくんと鳴る。
次の行。
住所。
番地。
部屋番号。
――俺の家だった。
「……は?」
思わず声が出る。
デマか。
こんな偶然あるわけない。
ニュースの時間を見る。
明日の午前3時。
未来の記事。
背筋が冷える。
時計を見る。
今は夜の11時。
まだ何も起きていない。
そのまま、記事をもう一度読む。
『遺体を発見したのは同居人』
指が止まる。
同居人?
俺は一人暮らしだ。
少し笑う。
「誤報だろ」
スマホを机に置く。
くだらない。
そう思ったとき。
背後で、床が軋んだ。
ぎし。
心臓が止まりそうになる。
ゆっくり振り向く。
暗い部屋。
誰もいない。
「……気のせいか」
ほっと息を吐く。
そのとき。
背後から、声がした。
「起きてたんだ」
知らない男の声だった。
首の後ろが冷える。
「……誰?」
振り向こうとする。
その瞬間。
腹に、冷たいものが刺さった。
息が詰まる。
男が耳元で囁く。
「静かにして」
「同居人なんだからさ」
視界が揺れる。
床に倒れる。
手からスマホが滑り落ちる。
画面が光る。
さっきのニュース記事。
『遺体を発見したのは同居人』
その下に。
続きが追加されていた。
『警察は、同居していた男を殺人容疑で逮捕した』
そこで、ようやく気づいた。
俺は。
この部屋で。
ずっと。
誰かと一緒に住んでいた。




