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8話 隠れみの術

俺達は薬草と毒消草を大量購入しに行くためオークの里を出発した。シェリーの羽でひとっ飛びすれば、すぐにでもスタット城下町に到着できるのだが、それをすると魔物が襲撃に来たと人間達に思われる恐れがある。そのため俺達は途中からはフィールドを歩いてスタット城下町を目指した。


以前は感じなかったが、いざ歩くとなるとオークの里からスタット城までの距離はかなりあるんだなと思った。地図を見ると、恐らくあと2時間くらい歩く必要があるのだろう・・・うーん、長いな。


「シェリーさん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・・?」


「ああ、俺も。」


「なぁに、エスウィン、エリリン?」


俺達はふと思った疑問をシェリーに投げかけることにした。


「わたし達って今魔物側にいるんですけど、一応みんな人間に見えるじゃないですか?じゃぁ魔物達が襲いかかってこないのかなぁって思って・・・。」


ふむ、俺が聞こうとしたことと全く同じコトをエリリンは質問してくれた。手間が省けてよかった。その疑問に対しシェリーは笑いながら答えた。


「ふふっ、それなら大丈夫よ!私にはほとばしる魔物オーラがあるから!」


み、見えねー!俺とエリリンは薄ら笑いを浮かべた。


「もう!ホントなんだから!あなた達人間には全く魔物オーラが見えないらしいけど、魔物達にはちゃんと通じるんだから!」


「そうなんすね~。だから魔物達はわたし達に襲い掛かってこないのか~。

けどわたし達って明らかに人間じゃないですか。わたし達は魔物から怪しまれないですかぁ?」


「うん、俺もそれを疑問に思ってた。」


「うーん、それもそうねぇ・・・じゃあこうしましょ!」


まず俺達三人は右からシェリー、俺、エリリンの順番に横に並んだ。次に俺は手錠をかけられた。そしてそのまま歩いた。これがシェリーの言う対策らしい・・・。


「おい、ちょっと待て!これじゃあまるで連行されてる犯罪者じゃないか!?」


「んー、だってこうすると魔物からは『人間が魔物である私に連行されてる』ように見えるから、魔物にはまず狙われないじゃない。」


「なるほど~、で人間からは『山賊等の犯罪者が連行されてる』ように見えるから、人間にも狙われないんですね!シェリーさん、あったま良い~」


「そう、これぞ私が今考えた『隠れみの術』よ!」


確かに、シェリーの言うとおり、この方法だと俺達は魔物にも人間にも狙われることはない、しかし・・・。


「これじゃ俺に対する風評被害が広まってしまうじゃないか!?」


そんな俺の問いかけは全くスルーされ、2人は話を続けた。


「罪状は何にしましょうか~、シェリーさん?」


「そうねー、『覗き罪で逮捕』っていうのはどうかしら?ねぇ、エスウィン・・・」


うっ、何も言い返せないぞ。やっぱり覗いたことをまだ怒っていた・・・反省しよう。そして今度からはバレないように覗こう・・・。


「いてっ!?どうして殴ったんだ?」


「いやぁ、また何か良からぬことを考えてたと思ったからかな・・・?」


シェリーの目は笑ってなかった・・・今度からは覗かないようにしよう。

しばらく歩いたが、魔物からは一切襲われることはなかった。時々シェリーに敬礼してさえいる。やはり魔物からはシェリーは魔物に見えて、人間を捕獲しているように見えるようだ。また、人間からも襲われることはなかった。が、俺はやたら冷ややかな視線を送られているようだ。ちらほら、変質者だの山賊だのと聞こえてくる・・・人間キライ!!!

どうせ手錠で繋がれてるし、無心で歩いた・・・そして、やっとスタット城に着いた!

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