7話 モノの価値
俺はエモンに人間社会での薬草と毒消草の価値とそれらは簡単に手に入れられることを説明した。
「それは誠か!?人間社会では薬草を5エーンと毒消草を10エーンで購入できるというのか!?」
「ああ、人間達は薬草と毒消草を栽培する技術を持っているから、人間社会でそれらは簡単に手に入る。魔物社会では事情がやはり異なるのか?」
「魔物は主に『攻』に特化した生物だ。それゆえ、『守』に長けたものを生み出すことは困難なのだ。作れたとしても人間社会で出回っている薬草や毒消草ほどの治癒性能はない。薬草と毒消草さえあれば助かった命もいくつもあったろうに・・・。」
モノの価値は場所によって大きく変わることがある。雨ばかり降る街では水の価値はあまりないが、砂漠ではその価値は急激に上昇する。正にそれと同じことが人間社会と魔物社会の間であるようだ。
「まさか、以前スタット城に魔物が襲撃したのは薬草と毒消草が原因か?」
「貴公は勘が鋭いな。正しくその通りだ。今は人間連合軍と魔王軍の戦況は拮抗し、多くの魔物達が傷つき、犠牲になっている。我はいち早く戦争を終わらせたいのだ。」
「そうか。つまり魔物達の真の目的は『人間界の侵略』ではなく、『戦争を早く終わらせ魔物界に平和をもたらす』ということなんだな?」
「ふむ、一部の魔物には『侵略』という思想を持つ者もいる。しかしその考えはあまりにも危険だと我は考えている。我らエモン軍としての真の目的は勿論『魔物達の平和』なのだ」。あまりにも戦争が多く難しい願いだとは思うのだがな・・・。」
エモンは拳を握り締め、眉をしかめていた。だが俺は少し安心した。魔物に味方はしたが、人間を皆殺しにするというのは心が痛むし、その考えはあまりにも危険すぎる。魔物も人間と同じく平和を求める優しさがあったのだ・・・これなら俺も魔物の世界でもやっていけそうだ。
「ありがとう、エモン。君の考えがわかって良かったよ。俺もエモンの意見に非常に同意している。ぜひ魔物界の平和のために貢献することをここに誓う。その証に薬草と毒消草をスタット城下町から大量に取り寄せよう。」
「それは非常にありがたい!よろしく頼む、エスウィンよ。」
エモンは深々と頭を下げ感謝の言葉とさらに支援金200万エーンを渡してくれた、凄い!スタット城下町の薬草と毒消草を売り切れにしてもまだ半分以上は残るであろう金額だ。その金額全てを報酬として俺達にくれるそうだ。
この魔王軍幹部エモンという男は大局的に物事を捉えることができ、人間である俺を信頼する懐の深さといい、かなりの傑物だ。人間界では魔物は全て悪と俺達は教えられてきたが、それは真実ではなかった。シェリーやエモンのような優しい魔物もたくさんいたのだ。
俺は早速今後の計画について話をした。
「俺とエリリンがスタット城下町に行くのは当然だが、もう1人つれて行きたい。シェリー、一緒に来てくれないか?」
「うん、賛成。ぜひシェリーさんも一緒に来てほしいな~」
俺はシェリーを誘った。いくら金を持っていても、俺とエリリンだけでは大量のアイテムは持ち運びできない上移動が大変だ。だがシェリーのパワーと飛行能力があれば持ち運びなど簡単にできるだろう。
「いいよ!私もちょっと人間の街がどんな風にできてるのか興味あったんだ!けど私で大丈夫?」
「ん、何がだ?」
「私って見るからに悪魔じゃない。だから人間達に魔物ってバレないかなーって思って・・・仮面とローブ着て変装した方がいいかな?」
「いや、君に変装は必要ない。羽を隠して、帽子かぶるだけで十分だ。エリリンの予備の服を借りるといい。」
そう言うとちょっと不満そうな顔をしながらもシェリーは納得してくれたようだ。俺達はシェリーの着替えのため玉座の間を去ろうとした。
「おい、貴様」
「はい?」
ヴィオレが鋭い眼光と高圧的な声で俺に話しかけてきた。・・・やっぱり俺かなり嫌われてるなぁ・・・。
「兄上やシェリーは貴様を気に入っているようだが、私は貴様を微塵も信用していない!どうせ薬草と毒消草を買うのを口実にスタット城に戻って、人間共にオークの大樹の場所を教えるつもりだろう?・・・だとしたらただではすまさんからな!」
「ちょっと、ヴィオレ!それ言いすぎよっ!」
シェリーとエモンはヴィオレをなだめてくれた。だがヴィオレの人間に対する憎しみは凄まじい。俺の想像以上に人間と魔物の負の歴史は深そうだ・・・。
シェリーの着替えはオークの大樹1階にある女子魔物更衣室で行われることとなった。エリリンが持っている人間の服は魔物には不慣れなようだったので、エリリンとシェリーが更衣室に入っていった。勿論俺はドアの前で待機させられることとなった。
女子の着替えは大体5分くらいか・・・
1分経った・・・俺は待機している。ただこうして待機しているだけというのは時間の無駄ではなかろうかと思う。もっと効率的に生きなくてはいけないと俺は思う。・・・とりあえずドアに耳を澄まそうか。
「わぁ!凄い!シェリーさん、おっぱい大きい!」
エリリンの声が聞こえた。どうやらシェリーの胸はでかいらしい。・・・よし!覗こう!
オークの大樹の全ての部屋は木で出来ている。ゆえに薄い壁もあるはずだ。その薄い木の壁をを狙う!・・・あった。音を立てずにこの壁を剣で削れば・・・
そこには絶景があった!
「こんなおっきいおっぱい見たの初めてです~」
「やだっ、あんまりジロジロ見ないでよ。照れるじゃない・・・。」
エリリンに大きい胸を褒められて、シェリーは必死に手で胸を隠そうとしている。だがかなりの大きさなので、指先から例の部分がチラチラと見えていた。・・・はぁ~生きてて良かった!!!俺は今何ものにも得がたい思い出を手に入れた!この記憶は深く刻みこんでおこう!!!
ずーっと見たいところだが、これ以上覗く、いや観察しているとバレるリスクも高まるので壁の穴を埋めて、さっと元いた場所へ戻った
「えへへ、ごめんなさーい。けどお兄ちゃんはおっぱい大きな女の子好きだと思うよ~」
「へー、そうなんだ。エスウィンはおっぱい大きい女の子が好みなんだ・・・そっか、そっか、てへへー」
「あ~、シェリーさん、赤くなってる~」
「こっ、このことは内緒よ!」
「は~い!」
おっ、エリリンとシェリーは更衣室から出てきたようだ。
結局バレて思い切り殴られてしまった・・・。




