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ふたつの、祈り

 私はずっと祈っていた。

 がんちゃんの倖せを。



 私には今その芽生えに気が付いた祈りがあった。

 私自身の幸せ。本当の望み。心の奥底にあった願い。




 ふたつの祈りを込めて私はスルドを奏でる。

 がんこへの応えに込めて解き放つ。




 単純な構造の打楽器から打ち放たれた音は、単純ゆえにひとの根源に届くのだろう。心音の鼓動と同調し聴くものを奮わせるのだろう。




 私たちの音で、私が、がんこが、家族が、観客が、メンバーが、幸せになる。

 それはたぶん、大仰でも不遜でもないはずだ。



 だってほら、見てよ。


 観客全員が笑顔じゃない。

 踊るダンサーも、奏でる奏者も笑顔じゃない。


 お父さんと、お母さんも笑顔だ。


 がんちゃんも笑っている。



 私も。きっと。


 拭わないままでいた流れる汗。

 それを上書きするように流れた目から溢れる雫にもまみれて。きっとくしゃくしゃの笑顔でスルドを叩いているはずだ。




 いつまでも、いつまでも続けば良いのに。




 そう思わせる、思える、幸せな時間が、ここには確かにあるのだから。


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