ゴミを食べる子供
ねえ、悪魔さん、毎晩きてくれるのはうれしいんだけど。ちょっと文句を言わせて?
ん?なんだ?
持ってきた食べ物のゴミをおいていかないでほしいのよ。
腕も腐った私だけど、身の回りを清潔にはしときたいわ。私は病人なんだから。
死を怖がらない女が、ポイ捨てを嫌うとはねえ。
逆よ。もうすぐ死ぬからこそ。身の回りはできるだけ綺麗にしておきたいわ。死体の周りにゴミだらけとか、許せないの
俺は悪魔だからよくわからないな。魂のない死体なんざ。そこらのゴミと一緒さ。
むう。相容れないわね。じゃあ、ってわけじゃないけど、今日はゴミの話にしましょうか。
現在から少し未来、かもしれない世界。ゴミを食べる子供が作られた。
そのとき、世界はゴミに溢れていた。食べもののゴミ、工業製品のゴミ、近くにいるだけで人が死んでいくゴミ。たくさんたくさんあった。それは地上の半分を埋め尽くすほどだった
未来の人たちは、地を埋め尽くすその大量の廃棄物を、どうにかして処理する良い方法がないかを考えた。
方法自体はたくさんあったわ。科学技術もかなり進んでいたしね。
だけど、どんなに革新的な技術があったとしても、ゴミは遅々として減らなかった。
だって処理する前の、捨てられたゴミに人の手を加えられるようにする段階で、すさまじい労力がかかっちゃうから。
リサイクルに利権をつくろうにも、人類はすでに他の惑星から資源を安価で取り寄せる術を持ってて、ビジネスにはなり得なかったわ。
そこで未来の人たちは、新しい生物を作り上げたの。
すべてのゴミを食べて自らの栄養とし、無害なもの……例えば土や鉄そのものとかに……変えて排泄する。そんな夢みたいな生物を。
リサイクルの機械とかロボットでは、メンテナンスに手間がかかるし、作業効率もあがらない。
ならばと、自分で自分を管理できて、増えることを目的する『生命体』を使うことにした。
生きるために必要な食事をごみにすれば、自分たちからゴミを無くしていってくれるだろうしね。
逆に、ゴミ以外は食べられないようにした。
生物自体は、人に害をもたらさないように、小さな鼠みたいな生物にされたわ。
結果は大成功。地上から、ゴミは減っていき、鼠は増えていった。地球は綺麗になっていった。、
だけど、想定外のことが起こった。
鼠がどんどん、人に似て進化していったの。それもすさまじいスピードでね。
人が捨てたゴミは、詰まるところ人間がたどってきた歴史や性質を内包してるわ。だから、そのゴミを食べる生き物は、急激な年月で人類の性質、原理、心をなぞっていった。
ただ、人間に反抗しないようにと、体は小さな子供のままだった。
人類が出すゴミは尽きなかったわ。発展していくと言うことは、過去のモノをを捨てていくことと同義だもの。
しばらくは、人間が捨てるゴミと、ゴミを食べる子供たち人口の均衡はとれていたわ。
だけど、やがてそれは崩れ始めた。元が鼠だった子供たちは、生きることと増えることに、とてもどん欲だったから。
そして増えすぎて飢餓に陥った子供たちは、人間たちを襲い始めた。
だって人間が死ねばそれは死体というゴミになって食べられるんだもの。
やがて暴力は暴力を呼び、大きな戦争になっていったわ。
知性も、武力も、人類が圧倒していたわ。……だけど戦争は、人類が劣勢に陥っていた。
なぜかって?
戦争をすると様々なゴミが捨てられるわ。ぼろぼろの兵器に焼け落ちる自然。
………そしておびただしい双方の死体というゴミ。
戦争が長引くほど、人類は不利になっていったわ。子供たちは自らの同胞の死体すらためらいなく食べて増えていくんですもの。
子供たちはまるでゴキブリのように、どうやっても滅ぼすことはできなかった。
資源も付き兵器もなくなり、追いつめられた人類は、『ゴミ』になる寸前子供たちに聞いたわ。
なんでお前たちは、生みの親である私たちを食べるのだって。
子供たちは、当たり前のように言ったわ。
「僕たちは、あなたたち人類が望んだとおりに育っただけだよ」
おしまい
これが因果応報ってオチなのかね?
さあ。物語を作った私にもわからないわ。
……でも一ついえるとしたら、この世界のあるもので完全に不要なものではないってことよ。
そうかねえ。魂のない死体なんて、ゴミの最たるものだとおもうがな。
それはあなたの見解だからそれでいいわ。悪魔だもんね。
……で、わかったかしら?
ん?なにがだ?
ゴミはしっかり持ち帰るか、ゴミ箱にいれなさいってこと!
えー。そんな教訓この話にはなかったぜ?
教訓以前の問題よ。悪魔であろうと子供だろうと、ゴミはしっかり処理しなさいよ!
へーへー。死にかけのくせに、まったくうるさい女の子だな
何か言った?
いーや?全然。じゃ、また次の夜にな。
あ!だから、ゴミをそこらへんにおいていくなー!
ちょっとわかりづらい文章ですね
精進します




