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指名された王様

 悪魔ってことはいろんな人をたぶらかしてきたんだよね。あなたは


 人聞きが悪いな。悪魔を呼ぶのはいつも人間だし、悪魔に願うのもいつも人間さ。

 ま、そういう風に誘導しちゃったりも勿論するがね。


 そーゆーのは、屁理屈っていうんじゃないかしら。


 屁理屈は馬鹿にはできないさ。理屈を通せば無理が通る。人間の王様だってよくやってたよ。


 王様とかも悪魔に願ったりするの?


 勿論、人間の手に余る願いほど、俺たちに頼み込んでくるものだ。


 ふーん、じゃあ今日は、人の手に余る王様の話にしましょうか。王様と、それを決める剣の話を。










 ある国に、神から遣わされた聖なる剣があった。


 伝説によれば、それは一振りで海を割り、大地を崩すことができたそうだわ。


 その剣は石の台座に刺さっており、そこから剣を抜いたモノは王として永遠に認められるという神の掟があったの。


 でも当然みたいに、それを抜ける人間はいなかったわ。屈強な男も、正しい心を持つ王族もね。


 誰もがあきらめて、その剣をほったらかしていたわ。結局その国は他の国と同じような王政で回っていたの。


 そんなとき、とあるサーカスが剣の前の広場で公演をしにきた。

 なかなか大きなサーカス団で、おっきなテントを張ってたくさんの楽しいパフォーマンスをしていたわ。象やキリンもいて国の殆んどの人が見にきていた。


 その休憩中、サーカスのお猿さんが、剣に興味を示した。そして、それを引っこ抜こうとした。


 みていた人は誰も止めなかったわ。だって王族も、戦士も、英雄もそれが抜けなかったんだもの。勇者どころか人ですらない猿が、聖剣に選ばれるはずがないってね。


 だけど、お猿さんは、その剣をあっけなく引っこ抜いてしまった。


 その日から、国は大騒ぎ。何せ、人ですらないお猿さんが王様として選ばれたんだもの。


 神様を信じる人はその意味をこじつけようと必死になり、王族たちはお猿さんを殺そうとしたわ。


 サーカス団は皆殺されたわ。何も知らない旅芸人は、一夜のうちに滅ぼされた。


 だけど、殺されそうになったお猿さんは、その剣を一振りするだけで、刺客たちを肉塊にできたわ。


 国は割れかけた。だって巨大な力と、権力を保証されたのが、言葉の通じない獣だったんだもの。


 収拾のつかない国に、一人の神官を名乗る男が現れて言ったわ。


 「実はこの猿は、天の遣わせた御使いである」


 ってな感じでね。


 勿論これは嘘、でも神官はその嘘で国をまとめた。


 彼は、お猿さんの言葉を神託として聞く振りをして、好き勝手に支配したわ。


 お猿さんは護衛という建前で、餌を与えられ、ご機嫌をとられつつ、軟禁された。勿論お猿さんから剣は取り上げられたわ。


 神官は神託という建前で王族を優遇し、法律を作り、贅をつくした。


 国民たちも、半ば詐欺だとわかっていたけど、猿なんかに支配されるよりはと、それを受け入れてたわ。


 何とか国が落ち着いてきたとき、隣の大国が侵略してきた。


 大国の武力はすさまじく、兵隊たちは次々と死んでいったわ。


 国民たちは神官に縋り、神官はお猿さんに縋ったわ。何せ王様のお猿さんには、一振りで山を砕ける剣がつかえるんだもの。


 お猿さんには、贅沢な献上品と、美女たち、そしてたくさんの嘆願と祈りが捧げられた。

 それらとともに、聖なる剣はお猿さんの手は戻ったわ。


 夜が明ける頃、その国は滅びたわ。一匹の猿がよくわからず振った王の剣によって。


 被害を被った大国は、多数の犠牲を払って猿を殺し、その拍子で剣は折れたわ。


 神の加護の元、猿と欺瞞によって治められた国は、なくなった。



 おしまい。










 なあ、ちょっとわからないんだが。


 ん?なに?


 その剣は結局何で猿に抜けたんだ?いつその説明がでてくるか待っていたんだが。考えてあるんだろう?


 ……あんまり重要じゃないんだけどね。


 王の剣の広場の前に、サーカスのおっきなテントがたてられて沢山の人がみにきていたわよね?

 

 ああ。そう言ってたな。


 ……あの剣は、広場に一定の重さの重量が乗ると、抜ける仕組みだったの。

 そう、例えば侵略されて王の剣を使うしかなくなり、全国民が最後の希望でそこに集まったり、絶対的なカリスマを持つ人が、それを抜こうとしたりしたときにね。


 なんだ。つまり猿が剣を抜けたのは、単なる偶然だったってことか。


 そ。神様だって、絶対じゃないわ。配置したものがねらい通りに動かすことなんて全能でも難しいものよ。長い年月の間なら尚更ね。


 なんかもやもやした終わりかただったな。次はすかっとするやつ頼むぜ


 ええわかったわ。……じゃあ、また次の夜に。

書く度にクオリティがさがっていく気がする

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