日常
「起きろ!いつまで寝てるんだ!もう訓練始まるぞ!」
いつも自分の一声で朝が始まった。
起こされたのはこの国―ユグドラシル王国騎士団沈丁花団の団長の七人である。沈丁花団は『妖の武具』と呼ばれる武具できている。妖の武具とは作られてから100年ほどの年月が経ち、その武具に魂が宿った武具のことを指す。例外を除き妖の武具は死なない。だから諸外国からは死なない騎士団として恐れられている。
だが、人らしいところもある。寝なくても生きていけるが、惰眠を娯楽として捉えている。だから、朝に弱い妖の武具もある。
まさにそれが沈丁花団の団長たち、虹玉七刀だ。
「まだ、時間あるだろ〜もうちょっと寝かせろよ…」と起きてきたのは赤い髪の毛が印象的な虹玉七刀の虹玉緋刀だ。この妖刀は七つの大罪色欲を司っていて、魔法の緋組の組長でもある。
「おは…っふぷっっっww」
「な、なんだよ。人の顔を見て急に吹き出すとか。」
「緋刀、気づいてるか?寝癖がひどいぞ。ちなみに訓練が始まるまであと5分だぞ。」
頭を触り、うわぁーと悲鳴を上げながら洗面所に駆け込む虹玉緋刀。橙の瞳をきらめかせ入れ違いに起きてくるのは、虹玉七刀の虹玉橙刀だ。七つの大罪の傲慢を司っていて、剣や刀の橙団の組長も務めている。
「おはよう。橙刀」
「おはよう。ワタクシは寝癖なんかついてないわよ」
「そうだね橙刀。でも練習、すぐ始まぞ。寝癖ついてなくても、この寝坊ギリギリまで寝る癖は治そうな。」
「…………っ!!!!」
顔を赤くして黙り込む橙刀。
そのあとのっそりと起きてくるのは全身黒い服を着て、黒い髪の毛。全身黒だからこそ白い肌が映える妖刀。虹玉七刀の七つの大罪のうち嫉妬を司る虹玉黒刀だ。
短刀や、手裏剣などを扱う黒組の組長も務めている。
「おはよう、黒刀」
「…おはよう。」
寝ぼけ眼で挨拶する黒刀。低血圧だから朝に弱いのだ。魂の存在に血圧なんてあるのかというところには触れないでほしい。本人はあると信じている。
“ぐおおぉ〜〜〜〜〜”
お腹に怪獣を飼っているような音をさせて起きてきたのはまだ8、9歳くらいの女の子。こんな見た目をしていても、れっきときた団長だ。虹玉七刀の虹玉金刀それが、彼女の名前だ。七つの大罪の暴食を司っている。可愛らしい顔立ちをしているけれども、斧や槌の金組の組長だ。ちなみに、妖の武具は、何も食べなくても生きていける。
「朝ごはんー!!!」
「金刀…おはようくらいは言おうよ…あと、もう訓練始まるよ…」
「そうですよ、金刀、挨拶しましょう。」といい起きてくるのは高身長で、がっしりとした体つきをしている蒼髪碧眼の男。髪の毛が自慢らしく、長い髪の毛を一つに括っている。虹玉七刀のこの男の名前は虹玉蒼刀だ。七つの大罪の憤怒を宿していて、盾の蒼組の組長もしている。
「蒼刀。注意していい姿見せようとしても、遅刻ギリギリだよ…」
「ふわぁぁ〜おはよ。」
と起きてきた10代後半のような見た目をしている男は、眼帯をしていて、紫の髪と瞳を持つ男だ。こちらも虹玉七刀で、この者は虹玉紫刀だ。七つの大罪の強欲を司っていて、槍の紫組の組長でもある。
「紫刀おはよう。すぐに出ないと遅刻するよ?」
「わかった〜」と紫刀は、気の抜けたような返事をする。
「紫刀、おはようございます。金刀、大丈夫ですか?沈丁花団の訓練が始まるまで、残り1分ですよ。」蒼刀は大皿に朝ごはんがてんこ盛りになっている金刀を心配そうに見ながら言う。
「もう時間だ。私行ってきます。」
蒼刀は、走って訓練場に向かう。それに続き朝ごはんの皿を持ちながら走って訓練場に行く金刀。続々と、緋刀、黒刀、橙刀、紫刀、が走り去る。
「「「「「いってきます!」」」」」
その後、一向に起きてこないもう一人の団長を起こしに向かう。遅刻は確定だが、起こさなければいけない。
「おーきーろー!!!!」
「やだ。だるい。起きるのめんどくさい。一緒に寝ようよ。」
と、ぼやいているのは、虹玉七刀の虹玉翠刀。七つの大罪の怠惰を宿しているため、団長なのに遅刻常習犯だ。そして、弓の翠組の組長でもある。
「そうか…じゃあ夜、一人で訓練して睡眠時間が短くなるのと、今から訓練に行って夜しっかり寝るか、どっちがいい?」
うーんと翠刀は考え始める。寝る時間がどっちが長くなるか計算しているらしい。
「計算めんどくさくなったから、行く。」
「うん。いってらっしゃい。」
翠刀は歩いて訓練場に歩いて行く。
「ふう。」
全員を起こしたこの者は、虹玉七刀の八振り目の妖刀。虹玉律刀だ。自由気ままな団長たちをまとめる影の団長である。ただ、沈丁花団の団長しか存在を知らない。律刀は、事務作業や、潜入調査などを一人で行っている。
「さて、重要な任務はきてるかな」と、ひとりごとをこぼしながら、どの任務が優先順位が高いか、選んでゆく。
「これは他の騎士団でも大丈夫。これは、まずいな。」
ぶつぶつとなにかを呟きながら任務受注の判子を押す律刀。
訓練が終わった夜。団長の八人は集まって明日の任務のことについて話し合っていた。
「なるほどな。これは酷い。これは全組出るべきだと思うが皆はどうだ?」
「緋刀もそう思いますか。私も全組出るべきだと思います。」と、蒼刀。
「…これは全員じゃないと逆に負ける。
ボクも…全組出るべきだと思う…。」
「ワタクシも賛成よ。まあ、橙組が出るから、勝てるでしょう。」
「全組でるのはだるいけど、たしかにこれは全組でないと負けるな。ふぁー、頭使ったら眠くなってきた。」
「きぃも全組出るのに賛成。でも、考えるとお腹空いてきた。」
「翠刀、金刀、もうちょっと団長の自覚を持てよ。おれも賛成〜まあ、作戦は考えておくから、安心しとけ〜」
みんな自由だなぁと思いながら全組出動に賛成なのを確認した律刀。
「もしものために、自分は留守番しておくが大丈夫か?」
「「「「「「「もちろん」」」」」」」
「よかった。頑張ってきてくれ。」
律刀は微笑んで言った。




