7話 ー朽ちた小屋ー
今日もいつも通り、フィニー師匠とファマイラス大森林にやってきた。
「今日は、いつもより奥に行ってみるか」
「奥ですか?」
ファマイラス大森林は、深くに行くほど、敵のランクが上がって危険になっていく、勇者のパーティでさえ、この森の中心には行けなかったらしい。
「奥といっても、C、Bランク程度の魔物だから大丈夫だ」
ちなみに、フィニー師匠は昔、Aランク冒険者として活躍していたらしい。
「さっそく、でたな」
大きな地響きとともに、10メートルはある森林の木の半分もの、単眼の巨人が木の影から出てきた。
(サイクロプスだ、Bランクの魔物だ…)
全身が固まる、逃げたくても動けない。
するとフィニー師匠が笑いながら。
「どうした、びびっているのか?」
さすが、フィニー師匠だ。
だが、これほどでかい相手を、どうやって相手にするんだ?
「聖なる光の魂よ、哀れな愚者を滅ぼせ【スピリット・レイ】」
フィニー師匠の杖から放たれた光は、閃光の速さで、サイクロプスの頭を消し飛ばし、
そのまま周辺の樹木も吹き飛ばし、昼でも暗い森に一筋の光の柱ができた。
「ま、こんなもんか、ちょっとやりすぎちゃったかもな」
「流石です、師匠!」
師匠はカッコつけたかったのだろう、一級魔法を使わなくても倒せたはずだ…
まあ実際、流石といわれてとても嬉しそうだ。
「次はフォレスティエンがやれ」
「次ですか?」
すると、フィニー師匠の魔術のせいでたくさんの魔物が集まってきた。
全部で二十体はいるだろう。
「フォレスティエン、これは多い、流石に一旦逃げるぞ」
そういうと、フィニー師匠は鬼ごっこをするかのように、楽しそうに逃げていた。
まあ、今俺がいなかったら、フィニー師匠のことだし、一掃できるだろう。
そうして数十分ほど逃げていると、
「フォレスティエン、ちょっと待て」
フィニー師匠に止められた。
「どうしたんですか?」
「あれを見ろ」
フィニー師匠の指が刺した方を見ると、朽ちてボロボロになった小屋があった。
小屋は、近づけば近づくほど悪臭が漂った。
「フォレスティエン、俺から放れるなよ」
小屋に入るとさらに臭いが強くなった。
小屋の中には、机が一つと椅子が二つあるだけで、奥に続く扉一つがあった。
扉に近づくほど、臭いが強くなる。
「フォレスティエン、お前は外で待ってろ」
フィニー師匠が、部屋に入る瞬間を、小屋の外から見ていた。
見えたのは、真っ黒な足だ。
何の足かは、考えなかった。
フィニー師匠は、あの小屋のことは、絶対に話さなかった。
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この日が、大きな分岐点だった。




