10話 ー岐路ー
馬車の揺れで目が覚めた。
何があったかは、しっかりと覚えている。
馬車には、俺とワルナーさんがいて、フィニー師匠が馬を引いてくれていた。
「フィニー師匠、ありがとうございます」
フィニー師匠が、驚くように振り返った。
「フォレスティエン、起きたのか、大丈夫か?」
「はい、何とか」
「そうか、それならよかった」
沈黙が流れる。
何を話せばいいのか、お互いわかっていない。
「フォレスティエン、これを」
そういって、フィニー師匠は、一枚の紙をくれた。
「これは、お前の父の横に落ちていたものだ」
そこには、父の筆跡で文字が書いてあった。
ーーー
(手紙)
カーラウトへ
お前は今頃、フィニー師匠のもとで、魔術の修行をしているところだろう。
直接会って、話せるかわからないので、これを残す。
まず、もし村に戻ってきてしまったのなら、今すぐ中心都市に住んでる、ルアラ・フォレスティエンという人の家に訪ねて欲しい、おそらく助けになる。
そして、これだけは約束してくれ、俺の仇を取ったりして、魔族と戦うのはやめてくれ、
お前には、お前の人生がある、復讐なんかに人生を無駄にしてほしくない。
そしてなにより、カーラウトは、俺の大事な息子だ、危険な目に遭ってほしくない。
最後に、おそらくだが、お母さんは亡くなってしまった。
すまない、部屋を覗く度胸がなく、曖昧になってしまっている。
本当に生まれてきてくれて、ありがとうな。
息子が大好きな父、シビドより
ーーー
「う…………うわぁぁっ…うあっぁぁ」
俺は、泣いた、両親が亡くなってしまった悲しみ、何もできなかった悔しさ。
俺が泣いていると、フィニー師匠が、俺を横に座らせて、優しく頭を撫でてくれた。
いつのまにか、また寝てしまった。
ーーー
数日が経った。
俺とフィニー師匠は、もうすぐ中心都市アキラスに到着する。
ワルナーさんは、途中の村に、親戚がいたのでお別れをした。
「フォレスティエン、見えてたぞ」
それは、今まで住んでいた村とは、比べ物にならない大きさだった。
街の城壁は、サイクロプスの2倍はあり中が、ほとんど見えなかったが、
唯一、お城だけは見えた。
門に着くと。
「次のやつ、こい」
門には、兵士が数人いて、怪しいものがいないか、一組ずつチェックしていた。
「今回は、この国に何のご用で?」
「村が魔族に襲われたので、この子の親戚のところに」
「なるほど、それは気の毒だった。通っていいぞ」
入るとすぐに、馬車を止める、駐車場みたいな場所があったので、馬車を停めた。
正直、見張りが数人しかいないので、少し心配ではあるが大丈夫だろう。
「まだまだ時間がある、腹が減ってるだろ、ご飯を食べに行こう」
そういって、近くにあった店に入った。
席に案内され、注文を終えると、フィニー師匠は真剣な顔で、
「フォレスティエンは、どうするつもりなんだ?」
「何がですか?」
「手紙のことだ」
おそらく、復讐の話をしているんだろう。
「俺の弟子にも、今まで、親が魔族に殺されたりして復讐をするために、
魔族討伐隊に入ったり、国の騎士団に入ったりするやつを、少なからず見てきた。
俺は、フォレスティエンが決めたことを、手伝えることは手伝いたい。」
「少し、考えさせてください」
30分は考えただろうか。
とっくに食事は済んでいるし、フィニー師匠は黙って待っててくれた。
「決めました。」
「俺は…」




