激突編4
どうしたものか……銃が撃てない以上は格闘や斬撃で倒さなければいけない……
……ナイフは全く通らないからセクションに頼るしか無いんだけど
「吾輩の不可視の剣が当たらんのだ!」
「確かに振ってはいるけど……リーチが足りないんじゃありませんか!?」
……あ、そうだった
「吾輩もコレの長さは知らんのだ……日によって重さや形も違う……すまんな」
さっきも自分の武器で肩をケガしてたし
酷い時には取り出してすぐに手のひらをズタズタにした事もあった。
「ジャックのナイフは」
「ご覧の通りです」
「……ふむ、普通の武器じゃダメらしいな」
このナイフは特段強い物では無い、機械に突き刺せば自動的にハッキングをしてくれるナイフだ
……ただそれだけのナイフで、潜入や情報を奪って逃げるだけなら便利だけど……
「ジャック!何故そんななまくらを持ってきたんだ!不可思議相手には意味無い事ぐらい分かっておっただろう!」
「時間が無かったんです!」
「たわけ!一般職員みたいな言い訳をするでない!英雄職員だと言う事を忘れた訳ではあるまいな!?」
今は言い合いをしている場合では無いのが分からないの!?
「とりあえず、アレを捕獲せねばならん!」
透明な武器を横に振り、飛んできた死体を吹き飛ばす
「吾輩が常に守ってやる訳では無いぞ?」
「……守って貰わなくても大丈夫でしたし、かわす必要が無かったんですよ」
そんな事で不機嫌そうな顔しないでよ……もう!面倒なんだから!
「すいません、感謝はすべきでした」
「……まあ良い、してどうする」
死体を使った攻撃で調査員が殺されて、死体が増える
この循環は止める必要がある
「私が他の調査員を守ります、セクションはなんとか一人で始末して下さい」
「まぁ、それしか無いか……防御、できるのか?」
アーマーが壊れない限り、なんとかなる……よね?
「出来なくてもやってもらうぞ」
セクションはそう言うと、透明な武器を両手で持ち、不可思議向けて突撃していった
「わかりました!そっちも頑張って下さい!」
「皆さん!集まって下さい!」
飛んでくる死体を殴り飛ばしたり、体で受け止める
「ていやーッ!!」
セクションが不可思議の腕を切り捨てる
「いっギィ!痛い!」
「すまんがこれも人類の為だ!人類の為に死んでくれ!」
不可思議に身体を乗っ取られた男が声を上げている、腕を切られたんだから痛くて当然
しかし、彼はもう助けられない
「……彼を誰か知ってますか?」
後ろから、乗っ取られた男の事についての情報が飛んできた。
「私はここに真縅最優秀賞を彼に送る事を個人的にではあるが、約束する!」
こんな勲章に命より重い価値があるとは思えない
普段の私ならこんな事は言わないだろう……普段なら
私とセクションは生き残れるだろう
いや、私とセクションだけは、だけしか生き残れないだろう
さっきから守りきれてない
特に厄介なのは、内蔵や骨だ
アレらが無音で飛んできて次々と調査員達を殺していっている
調査員を守ろうと死体を破壊すれば細かくなり危険だ
では防御だけしていれば、そう考えたが、私のアーマーにぶつかった死体は見事に粉々になっていった。
一つ一つ捕まえないと、止められない
「セクション!早くして下さい!このままでは!このままでは!」
やはり博物館に一般調査員を連れてきたのは間違いだった!
「無茶を!言うで!ないわ!」
不可思議は人間の身体を使っているとは思えない動きで攻撃を躱している
「ぎゃあああ!」
上半身を後ろにずらして攻撃を躱した瞬間に、骨が折れる嫌な音がした
「済まない!済まない!」
不可思議に乗っ取られた男の背骨が折れたのだ
「ごろじで……いだい……」
不可思議の宿り先と言う事もあり、男はまだ生きていた
「もう少しだ!吾輩を信じろ!」
血に濡れて少しだけセクションの武器の形が映った
「リーチが分かれば貴様ごときにィ!」
……切った!顔が……真二つになった。
ちょっとまって
「セクション!ソレが斬れるなんてありえな」
瞬間、いきなり何も無かった空間から人が飛んできて、二つに斬れた不可思議の半分を何かに入れた。
メイド二人と、灰色の調査員!
「ぬかったか!」
視線を元に戻すと、セクションの顔に残り半分が引っ付いていた。
落ち着け、落ち着け、落ち着きなさい!
そして……急げ!
「セクション!今からそれを剥がします!」
「む?この体は良いぞ!さっきまでの体とはまるで違う!気に入ったぞ!」
早すぎる!浸透し乗っ取るまで1分はかかるハズなのに!
「ナオ、これどうすんだ」
「私が預りますので、ポケットに入れて下さい」
被害者01、灰色の調査員
ナオと呼ばれるメイド
この二人が何故ここにいるのか
いえ、今やるべきはセクションの救出と報告!「こちらジャック、非常事態につき増援……いえ、少数精鋭で来てください」
セクションの事で私が動きを止めているうちに、一般調査員を皆、死なせてしまった
「ええ、そうです!大至急です」
セクションぐらいの英雄、情報秘匿班班長ならすぐには見捨てられないだろうけど……絶対に処理されない保証は無い!
「貴女の事嫌いですけど……仲間は極力見捨てないって決めてるんです!」
上から増援が来る、……東縅が増援に来ない事だけを祈って……
「ぐッ……!何!?」
後ろから衝撃!?誰もいなかったと……
「申し訳ありませんが、ここで死んで下さい」
さっきのメイド!?
え、でも……うん、やっぱり灰色と一緒にいる
「ここまでそっくりな双子なんて、そうそういませんよ」
「ありがとうございます、私も貴女程のクズを知りません」
人をクズ扱い!しかも初対面で!
「ここよりさらに地下、貴方の実験場、アレについて知っていればクズ扱いも仕方ないのではありませんか?」
……どうやら、コイツは殺さないといけないみたい
「殺す、ですか……できるといいですね」
「さっきから心を読んでくるの気持ち悪いからやめてくれませんか?」
「読まれる方が悪いんですよ」
コイツ……ただのメイドじゃない!
あのブーツ……いや足の武器だけは気をつけないといけない
さっき衝撃を受けた部分の装甲が、かなり脆くなっている




