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もう何回ぐらい、地球を回っただろうか。
死神、いや、陽斗は飽きてしまってないだろうか。
「ヘレナ様、本当にありがとうございます。私などを月の馬車に乗せていただいて。
私は、ずっと寒くて薄暗い場所におりまして、地理的に移動はいたしますが、ハッキリ言って、自分が今、地図上のどこにいるかということなんか、考えたこともありませんでした。
亡くなる予定の方の後をつけるようにして、移動しますので。
こうして、地球の周りを何周もさせて頂き、改めて、地球と言う星を見せていただき、う、う、その美しさに涙がこぼれます。
しかも、地球よりも太陽よりもお美しいヘレナ様とご一緒できるなんて、長い年月を生きておりますが、このような幸せが、我が身に降ってくるなんて、考えたこともありませんでした」
マジ心地よい、ことばの連なりが耳に入ってくる。うふふ。
しかも、相手は、超美形。おほほ。
初めて馬車に乗せた異性。う~~。
男なんて、欲望を満たすだけの道具と思ってきた。
馬車に乗せるなんて、とんでもない。
馬車が汚れてしまうわ。
「あの山下村というところは、おかしなところよね」と関係ない話をしてしまう。
だって、私、他人に話をしようなんて、思ったことなかったし、特に、男なんかに。
ひれ伏されるのに慣れてるし、男は同じようなことしか言わないし。
「サボテンから聞いたんだけど、白骨がたくさん埋まっていたんだって」
「ああ、そうでございましょうね」
「ええ?! 知ってるのお」と私は驚いた。世紀の秘密だと思っていたのに。
「はい。ヘレナ様の可愛いサボテンさん達のエネルギーで薄れてはいますが、死神もビックリの食人の村だったようですね」
「えええ!! ただの白骨じゃないのお?」
「はい。墓にしては、骨が重なり過ぎています。しかも、量が多過ぎる」
「うっわあ、お兄様は、どうして、こんな村を本拠地にしたのかしら」
「最終的に、廃村になったのかもしれません」
「ハイソンて、誰?」
「村の名前とも言えますね。村人が村を捨てたのか、人食いの祟りか」
「タタリ?」
「いやいや、失礼いたしました。祟りなどは、実際には無いものですし。
それにしても、今や、世界の中心地とも言えます。各国の首脳が訪れ、不老不死のフレームを欲しがって、結果として、世界に平和が訪れた」
「変な話よね、誰も死ななくなって、世界が平和になる」
「動物の中で、唯一人間だけが、生老病死を恐れていた。生物として当り前のことが、どうしても、受け入れられなかった」
「けど、私だって、イヤよ。老いたり病気になったり、死んだりするのは」
「私は、そういうことに付き合うのが、ずっと仕事でしたし」
「慣れてるわけ?」
「慣れはいたしませんね。人間の悩みや苦しみに付き合うのですから」
「私が老いたり、病気になったら、陽斗だって、イヤよね……」
「ヘレナ様なら、老いても病を得られても、お美しさに変わりは無いかと思われますが。私は、ずっとお付き合いいたします」
「ヘレナ~、幸せ~」とタイミング良く、サボテン達が口々にしゃべった。
口は見えないけど、なぜかしゃべれる、可愛いサボテン達。
けど、陽斗が構わなくても、私が構う。
老けるなんて、絶対に、イヤ!!
若く美しくなければ、ヘレナじゃないわ!




