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私と陽斗が結婚の準備をしている間、ヘリオスも旅館の手入れをしているようだった。
私にはあんまり関心の無い、古臭い日本家屋だ。
しかし、陽斗は、興味と関心があるようだった、信じられない。
「地球の首脳達が訪れた、由緒ある旅館なんでしょう?」と陽斗。
「どうでもいいじゃない。やはりお城風の屋敷がいいかも。カーペットを敷き詰めて、バスルームは広々と、ま、別に、本当に使う訳じゃないけど」と私。
あんまり関心もないけど、と言う風を装いながら、本当は、凄く関心があった。
だって、陽斗と私が住む家なのよ、生まれて初めて、結婚して住む家。
この部屋では、こういうことやああいうことをして、あの部屋では……と思うじゃない。
それなのに、陽斗ときたら、ヘリオスを見ながら、「ああ、そういうことか」とか、「なるほど」と一々何かに納得している。
何なのよ~~、この世で一番関心があるのは、私じゃなかったわけ??
信じられない、何なのよ、結婚が決まるまでの話だったわけ??
「ヘレナ様、ヘリオス様の動きをよく見てくださいよ」と陽斗。
「これまでのような、一時的な仮の住まいを作っているわけじゃありませんよ」
だから、何なのよ~、私達には、関係ないじゃない~!!
「この村の地面の底から、白骨を丁寧に取り除いて、かなり離れた元墓地の場所に、丁寧に埋めています。ヘリオス様なら一瞬で片付くことを、かなりの時間と手間暇をかけて、丁寧に行っておられます」
「だから、何なのよ~~」
「ここは、ヘリオス様とレウコトエー様だけでなく、ヘレナ様と私の家にもなるのではないか、と思われるのですが」
「イヤよ! 古臭い温泉旅館なんて!」
えええ!! ヘリオスが勝手に作っている訳? 陽斗と私の家も?
ぜええったい、許さないんだから。
何よ~、私達って、すれ違い兄妹でしょ?
ヘリオスが、朝から夜の部を受け持って、私が夜から朝の部を受け持つ。
家族って感じじゃないもの。
私が、すれ違いの美しい兄に、恋したって、当然といえば当然の話でしょ?
今さら、家族ぶって、私と陽斗の家を作る~???
しかも、レウコトエーとの家を作るついでに??
ギク、いやなことを思い出してしまった。
レウコトエーって、自分が住んでいたお城の前で、見せしめみたいに、生き埋めにされたんだよね。
王様だった、お父さんに。それから、記憶が無い……
ああ、思い出してしまった。お城って、今でも無理なんだろうか??
「陽斗~」と私は、涙目で、死神を呼んだ。
「わかっております」と死神は答えた。
そして、ポンポンと私の頭をなでてくれた。ポンポンと。
「ま、いっか~」
「ヘレナ様が、納得なさるのが一番ですから」
「じゃ、結婚式は、物凄く派手にやろう。それこそ、どこかのお城でも借り切って」
「レウコトエー様の一族が住んでいたお城が、今も残っておりますが」
「……」
「レウコトエー様、つまり朱音様を招待できない、従って、ヘリオス様も招待できない、と瞬時にお考えになりましたね。素晴らしい連想能力です、ヘレナ様」
「褒めてないし……」
陽斗って、死神って、何でもわかってしまうんだ。
「そんなことはございませんが」
きっと、私よりも、何千年、何万年も年上なんだろうし。
「そんなことはございませんが」
ゴホンと陽斗は咳ばらいをした。
「私は、ヘリオス様のように、丁寧な仕事はできませんが」
死神は、美青年に似合わない、奇妙に禍々しい動きをした。
目の前に、巨大な建物が現れた。
キラキラと輝いている。
「これは何? 何?」と私は幼児のように尋ねた。




