↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘリオスの末裔 ヘレナ  作者: まきの・えり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/11

11


「人間の世界で、デパートと呼ばれる建物でございます。ヘレナ様には、お城なんかよりも、もっと相応しい物かと存じます」


 外観は気に入った。

 キラキラ、ぴかぴかしている物は、昔から大好き。

 それだけでなく、何やかやと飾り立ててある。


「どうぞ、中にお入りくださいませ」


 私は、わくわくドキドキして、中に入った。

 外も大きいが、中はもっと大きくて、広い。


「ヘレナ様には必要ありませんが、一階は、化粧品売り場でございます。必要は無いけれど、興味はおありでしょう」


 陽斗は、滑るように、私をエスコートしていった。

 私は爪も美しいが、その爪を装飾するものは、珍しかった。


 食料品売り場には、驚くばかりの量の食べ物が、できたばかりの状態になっていた。

「お好きな物を、お召し上がりください。食べ物は、もはや、必要な物ではなく、楽しむためのものになってしまいましたが」


 衣料品売り場も面白かった。

 様々な民族衣装や、下着まで取り揃えてある。

「ヘレナ様がお好きな物をそろえてみました」


「わあ、きれい~。美しい~」

 宝飾品売り場には、いわゆるお宝がいっぱいだった。

「もう、誰も、着飾る必要はありませんが、たまには、自分を飾ってみたくなるかもしれません。ま、ヘレナ様には、必要ありませんが」


「わあ、朱音達が好きそう」

 温水プールの階も、海の階もあった。

 動物になって走り回れそうな、校庭みたいな階もある。


 そして、最後に、真っ赤なカーペットを敷き詰めた部屋に、お姫様が眠るような天蓋付きのベッドがあった。

「ステキ。こういう寝床が欲しかったの」

 皆が眠っている間に働いていた、自分の過去を思った。

 寝床なんて、必要なかった。


 なぜか、私は、陽斗にすがって、泣いていた。

「あなたも、ヘリオスといい勝負ね」と私は言った。

「自分達のことだけ考えればいいのに」


「ヘリオス様を見ていて、もっとよく考えなければならない、と教えられました。ジャーン」


 きゃ~~~と私は叫んだ。


 そこは、昔、私が落ちたサボテン畑に似ていた。

 一面のサボテン達。

 天井が太陽の光になっている。


「ヘレナ。綺麗~」

「ヘレナ、可愛い~」

「ヘレナ、幸せ~」


 陽斗と私は、サボテンになり、サボテン達に混じって、幸せになった。

 時はゆるやかに過ぎていき、今の幸せが、ゆるゆると続いていくようだった。


「ヘレナ様の幸せが、私の幸せ」と陽斗が言った。

 私に相応しい美しい男。

「私の幸せが、陽斗の幸せ」と私も言った。


 私は、なぜ泣いているのだろうか、悲しくもないのに、幸せなのに。


「う、いけない。私まで涙が出てきた」と陽斗も泣いていた。

「私は、かつて一度も泣いたことなど無かったのに」


「美しい、死神~」

「泣いた、死神~」

「幸せな死神~」とサボテン達は歌う。


「ヘリオス様は、朱音様に、家族をお作りになるのでしょう」


「私、もういいわ。結婚式も新居も」と私は言った。


 だって、もうこれ以上、何もいらないし。


「私もです」と陽斗が言った。


             了




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。