日記-2
18、
やかんの口から、湯気が立ちのぼる。膨らんだり、しぼんだりしながら、ゆらめく。
まるで、やわらかな質感があるように思えた。温かさも持ち合わせている。柔らかそうで、あたたかい。
布団とすこし似ていると思った。
19、
ふろ水の清浄剤を入れた。塩素のにおいがした。プールと同じにおいがする、と思った。
20、
早朝。外から射す光が青白かった。街がまだしんとしているのもあって、夢のなかにいるようだった。
21、
日の出前。東の空から、明るい光がじわじわと広がっていく。中天には、深い青がすこし残っていた。
夜と朝の気配が、どちらもあった。きれいな空だった。
22、
ビルの屋上にある貯水槽が、朝日を背負っている。細くたなびく、雲の切れ間。目がくらむほどまばゆい太陽が、見え隠れしていた。
23、
窓のそばに寄る。外のにおいがした。すき間風が、入ってきているようだ。
24、
チョコレートを食べた。カカオの苦みと芳ばしさが、鼻を抜けていく。砂糖の甘さが身に沁みる。心が癒やされた。
チョコがゆっくりと溶けて、やわらかい食感になっていくのも心地よかった。
25、
スマホを一日中触っていた。空を見ても、外の空気を吸っても、感動しなかった。感覚も感性も、にぶるのかもしれない。
26、
明け方。新月。星は見えなかった。夜空は、黒っぽい青空みたいに感じられた。
街は、静寂につつまれている。人工の白い明かりが、ぼんやりと辺りを照らしていた。
静かで穏やかな光景だった。ほっとする、と思った。
27、
夜明けの空が、うつくしいグラデーションに染まっている。
地平線に近いところはオレンジ色。空の中ほどに近づくにつれ、クリーム色、緑がかった水色と変わっていく。中天は群青色だった。
雲ひとつない空だった。
28、
早朝。街が、弱く白い光で照らされていた。
29、
朝の光のなかに、街路灯の光が溶け込んでいる。夜を照らすための白くまぶしい光が、弱々しい朝日につつまれていた。
30、
昼ごろ。日差しがベランダを焼く。灰色のアスファルトが、白く輝く。その上に、格子状の手すりが、黒い影を伸ばしていた。
31、
昼ごろ。窓を開けた。暖かい、昼間の匂いがした。
32、
深夜。窓を開けた。風が冷たかった。雨の気配がした。ここ数日は、春みたいに暖かかった。それだけに、夜の寒さが堪えた。
33、
カンカン。雨粒がなにかを叩く音がした。




