第17話 予期せぬ訪問者
「迎撃システム1番の密度を上げろ!急げ!」
場所は例の如く「BHF」総本部
アクトたちがユカルドにより精神崩壊を食らっているのと同時刻…ユーステリア学園は何者かによる襲撃を受けていた
本来ならアンチヘテロジニアスシールドは許可を得たものにしか認識出来ない
バステルにはその「認識出来ない」ということを認識し襲撃するという信じ難い能力があるらしいが今回襲撃してきているのはバステルではない
見た目は人間…されどアンチヘテロジニアスシールドを認識でき、かつ通常の密度では破壊されかねない力を持っているのだ
その未知の脅威に直面し指示を飛ばしているのは「BHF」の副長たるエリウィンだ
「これ以上密度を上げればほかのところの密度が危険領域を下回ります!」
「くそっ!なんなんだ、あいつは…!おい、まだ所長とは連絡がつかないのか!」
「呼んだかね?」
「「「ユーフェイ所長!」」」
待ちに待った所長の到来に「BHF」全体が喜びをあらわにした
(そういえば今はユーフェイと名乗っていたな…最近ユカルドと呼ばれることが多かったから忘れていたよ)
などとユカルドは内心で思っていたがそんなことより今は緊急事態らしい…その状況を頼れる副長に聞くとしよう
「してエリウィン副長、状況の説明を頼む」
「え…所長は誰かに連れてこられたのではないのですか?」
このタイミングで来たのだ。エリウィンは当然誰かに状況を説明されて来たのだろうと思っていたが…
「たまたま帰ってきたところなのだよ…だから状況の説明を頼む」
「はっ!迎撃システム1番の認識の「拒絶」が通用せず、のみならずアンチヘテロジニアスシールドを破壊しようとする者が現れ現在はその対処中ですが…」
「もう持ちそうにないか…それにやはりその名前は長いな、以後『結界』と呼ぶように」
「『結界』…ですか、了解しました。全員聞いたな!アンチヘテロジニアスシールドを以後『結界』と呼称する!」
「「「「はっ!」」」」
「それで所長…どうすればよろしいのでしょうか」
「まずはその襲撃者を見せてくれ」
「はっ!主モニターに表示します」
エリウィンの指示が飛び「BHF」総本部に設置されている1番大きなモニター(主モニターである)に襲撃者の姿が表示された
「なっ…!こいつは…!」
「ユーフェイ所長?こいつが何者かご存知なのですか!?」
「あいつと直接会ってくる。『結界』の密度を元に戻しバステルの監視を再開せよ」
「しかし所長!それでは危険過ぎます!」
所長からの唐突な指示に動揺を隠しながらエリウィンは詰め寄った
「相手は密度を高めた『結界』ですら突破しそうなほどの力の持ち主です!」
「だからなんだというのだ?大丈夫、少し話をするだけだ」
「しかし…!」
納得できず未だに詰め寄ろうとしたが言葉を飲み込んだ…いや飲み込まざるを得なかった。所長の有無を言わせぬ目を見てしまったから…
「では頼むぞ、エリウィン副長」
そう言い残してユーフェイ所長は「BHF」を出て行った…旧知の友に会うために…奴が自分の…いや「彼ら」の味方かどうかを見極めるために
時間は戻り訓練場での実戦訓練終了後
ユカルドは何かを察したように「少し総本部に戻る」とだけ告げていなくなってしまい残されたのはアクト、クリフェン、セレス、シャドウ、ボリダー先生、エザールでありアクト、クリフェン、エザールはユカルドの魔法のせいで、セレスは3人もの精神を同時に“治癒”したために疲れて座ったまま動けなかった
「戦った3人は精神崩壊で過去の後悔や罪を無理矢理思い出さされてその名の通り精神を崩壊寸前まで追いやられた…」
ギシュルは座り込んだ4人の状況を口に出すことで考えていた
「それをセレちゃんがスキルを使って助けたけど1年生が3人にスキルを同時使用しそれが精神に干渉できるスキルだったことにはかなり驚かされたけど…」
様々な分野に精通しているギシュルはその知識量ゆえに驚くことがほとんどないのだ
「これほどの才能…スキルは魔法の下位互換だということを考慮したとしても世界屈指の魔操師になるだろうな…予言のときは近いということか…」
「その予言について教えてもらえませんか?ボリダー先生?」
「…!」
背後を取られた。このアタシが…まさかこの子も予言の…!?
「えぇ、わかったわ。その予言って言うのは……」
「なぁアクト、シャドウのやつどこ行ったんだ?」
「パッシブスキル「存在操作」…とか言ったか?あのスキルの鍛錬でもしてるんじゃない?」
「そういえばギシュルさんだったかしら?が学園長にパッシブスキルって言い方はやめたらとか言ってたけどあれってどういう意味かしら」
「そういえばボリダーさんもいつの間にかいなくなってるしよぉ…」
うーんと4人とも首をひねっていたが全員揃って疲れていたのでそのまま思考放棄し手を投げ出して寝転んだ
「にしてもエザールさ…やっぱお前の再生力異常だわ」
「そういってるアクトのギリアスもなかなかにエグいけどな」
「てめぇも充分異常だよクソガキが…伝説級装備もなければ俺たちみたいな特化技能もねぇくせにやるじゃねぇか」
「クリフェン」
「あ?」
クリフェンがいきなり自分の名前を言い出したので怪訝に思ったエザールだったが…
「俺の名前はクソガキじゃなくてクリフェンだ」
「んで俺の名前はアクトな、お前のこと1回殺してんだから忘れるなよ?」
「…あぁそうだな、そうだったな」
アクトとクリフェンは笑い、エザールはまるで眩しいものを見るように目を細めていた
「やっぱり男って単純ね…たった1回一緒に戦っただけでもう仲良しさんか…」
少し羨ましそうにセレスは呟いた
「それでボリダー先生、予言について教えてもらえますか?」
「その前に質問させてちょうだい。あなた…『前世』の記憶はある?」
「前世…ですか…記憶はありませんが自分の中で何かが騒いではいますがそれと関係あるますか?」
「なっ…!?」
ギシュルは驚愕した。それはつまり『前世』を押さえ込んでいるという意味で…
「その騒いでいるのがなんて言っているのか分かる!?」
「え、えぇ…なんか「早く変われ」だの「せめてここから出してくれ」だの言っていますが…」
「その騒いでいるのと会話は!?できる!?」
「なんでそんなに興奮しているのか分かりかねますが…出来ますよ、いつも黙らせてますが」
「ならそれの名前を聞いてちょうだい!」
「面倒ですね…そのあとになったらちゃんと予言について教えてくださいよ?」
シャドウは少し顔を伏せぶつぶつと独り言を…いや彼の中にいる「誰か」と会話をしているのだ
「聞いてきました。これの名前は「ムサシ」だそうです。」
「ムサシ!?そこにいるの!?」
「うおっ!いきなり叫ばないでくださいよ…ってこれもうるさくなったな…なんでだろ?」
「ムサシは…アタシ達の仲間よ…いや仲間『だった』というべきかしらね」




