第13話 スペシャライザー
「ファニファだと!?」
いきなりユカルドが叫んだのでびっくりした。
「え、えぇ…そうですが…」
「おそらく出来ないだろうが…彼女と話すことはできるかね?」
「本人の姿では出来ませんが…」
「出来るのか!?」
「はい…スキル発動「守護神現化」!」
発動させた途端、クリフェンの後ろにまるで透明な何かが見えるようになったかのようにスーと輪郭が浮き出て形を作り最終的には千手観音が出現した。
「千手観音モデルか…!」
「アクトが言ってたじゃないですか」
「千手観音モデルは最高レベルのレアリティを誇るからな、言われてもなかなか信じられないものだよ」
『クリフェン、クリフェン!どうしてあたいを呼び出したの?もうお話ししたくなった?』
「嬉しそうだな、ファニファ。だけど今回は少し違うんだよ。」
『んー?じゃあなにー?』
「とりあえず俺の前にいる人を見てみろ」
『この人どこかで…あっ!アクトだっけ?が倒れたときに駆け寄ってた人だ!』
「ファニファ…本当にファニファなのか?」
『あれ?どこかで会ったことあったっけ?』
「姿が変わってしまって分からないか…ユカルドだよ、ユカルド・ユーステリア」
『ユカルドって…あのあたいのことを見捨てたユカルドかぁぁぁ!』
ファニファの怒りに呼応するように(実際しているのだろうが)千手観音の手一本一本に武器が出現し握られていく
「落ち着け、ファニファ!ユカルドさんに敵意はないから!」
『むぅ…クリフェンが言うなら…』
「ありがとう、クリフェン君。アクト君のことはエフト先生に実際に来てもらい預けるとしよう」
「ユカルドさん、その手に持っているものは?」
「あぁこれかい?これはね、通信系統のスキルを誰でも発動できるように特殊な箱にスキルを入れたものだよ」
『なに言ってるのか分かんなーい』
「えっと…つまりどういうことですか?」
「まあそう言う反応になるよね、この箱を使えば遠くにいる相手とも会話できるって考えればいい」
「そんなもの今までなかったじゃないですか!」
『どーせユカルドが新しく作ったんでしょ』
「さすがはファニファだね、全くもってその通りつい昨日出来てBHF職員に配布したばかりだよ」
『ユカルドに褒められても嬉しくないんだよねー…』
「よく分かったね、さすがはファニファ」
『えへへ、クリフェンに褒められちゃった!』
嬉しくてぴょんぴょん跳ねたいのだろうが姿が千手観音なので跳ねられずちょっとムスッとしていて可愛かった。早く「核反映」使えるようになりたいな…
『随分と楽しそうですね、私も混ぜなさい』
「こらこらソフィア、もっと言い方ってものがあるでしょ」
『この声って…ソフィア姉!?』
『ファニファじゃないですか、久しぶりですね』
「アクト!?大丈夫か!?」
「おうクリフェン、腹痛のほうは大丈夫なのか?」
「最初の方はめっちゃ痛かったんだけどトイレに入った途端に意識がなくなってな」
「あれか、人数が増えるとぼっちになる呪いにでもかかっているのか…」
1人誰にも相手にされなくなったユカルドは寂しそうに呟いたが誰にも聞こえることはなかった……
『クリフェン、もうそろそろ良いのではないですか?』
訓練場に向かいながらソフィアはクリフェンに質問した
「なんのことですか?」
質問の意図が分からず聞き返したら答えを聞く前にファニファが答えてくれた
『そうだよクリフェン!そろそろ「核反映」が使えるくらいには熟練度も上がってるんじゃない?』
「ふむふむ…確かに新しい派生スキル「核反映」が増えているな」
「本当ですか!?…どうしたら「核反映」って使えるんだ?」
『簡単だよ!1回「守護神現化」の発動を解除してまた発動すれば「核反映」はパッシブスキルだから発動されるはずだよ!』
「なるほどな…スキル「守護神現化」解除!」
千手観音の周りに現れた霧が姿を覆い隠した
「からの…スキル発動、「守護神現化」!」
姿を覆い隠していた霧が晴れるとそこには例の空間で見たファニファがいた。
『おぉ!やっとこっち側でもこの姿になれた!』
『ファニファの姿をまた見ることができるとは…世の中何が起こるか分かりませんね』
「なあアクト、お前はソフィアさんの姿をこっち側に顕現させたり出来ないのか?」
「やろうとはしてるんだけどな…なんか魔力量が足りないらしい」
「お前は魔力量を増やす訓練かな?」
「かもな!」
『早く魔力量を増やしなさい…はぁ、ファニファは顕現できたのですから私も早く顕現したいです』
『あたいも早くソフィア姉の姿見たい!』
「訓練と言えば…そういえば今日ってユカルドさんが実戦訓練やるとか言ってなかったっけ!?」
『「『!?』」』
アクトが思い出したように叫び全員叩かれたようにユカルドを探すが姿が見つからない
『仕方ない…少し探すので待ちなさい……はぁ、今度は隠蔽魔法まで使って…』
「ねえファニファさん…ちょっと聞きたいんだけど」
『んー?君だれー?』
「そういえばまだ自己紹介してなかったね。俺はアクト、クリフェンの親友をしてやってる!」
「おいアクト!?その言い方だと親友だと思ってるのが俺だけみたいになってるけど違うよな!?違うよな!?」
「冗談だからそんな慌てんなよ!なんか罪悪感が出てくるだろ?」
「マジでビビるからそんな冗談二度と言うんじゃねぇぇぇぇぇ!」
「ごめんごめんって」
『クリフェンたちって仲良いんだねー』
『ちょっとうるさいので黙りなさい』
「『「はい、ごめんなさい」』」
お姉さん的な存在に敵うはずもなく3人とも素直に黙ることにした。
ソフィアは昔から妹的な存在のファニファに加えアクトとクリフェンという弟的な存在が増えたことに少し嬉しく感じながらもどんどん逃げ方が上達していくユカルドを探すことに集中するのであった……
「おい、『再生』のエザールはどこ行った」
「はっ、どうやらユーステリア学園なるものに捕まったようです」
ディザニアス山に存在する洞窟の奥に城と言っても差し支えないほど巨大な建物があった。
だがおかしいところが一点、その建物は巨大すぎるのである。そのディザニアス山の大きさを優に超えるレベルで
「せっかく『叛逆の杯』に認められたから側近にしてやったのにあっさり捕まりやがって」
「仕方のないこと……エザールの特化技能は『再生』……力でねじ伏せる事……速度で離脱する事……体力でゴリ押す事……全て等しく不可能……」
「さすがは『頭脳』のロクリアだ!まったくあいつの特化技能は面倒だな!がっはっは!」
「おいおいうるさいし暑苦しいぞ、脳みそまで筋肉で出来てる『攻撃』のボルテノ君?」
「あ“ぁ”?んだと逃げ足の早い『速度』のヴォロシティーさんよぉ!」
「貴様らギルドマスターの前であるぞ、やるならあとでやりたまえ!」
「ディフェス……ボルテノとヴォロシティーを注意するために……ギルマスに背を向けてる……」
「は…!も、申し訳ないのでありますデモンディア様!」
「構わん、お前のやったことは正しい」
「ありがとうございます!その寛大さに改めて忠誠を…!」
ここはギルド「コフィン」の本拠地の玉座の間…
そこにはギルドの長たるデモンディアと彼の側近たる“スペシャライザー”が集まっていた
「今後の方針について何か考えはあるか?“スペシャライザー”よ」
「相手の戦力……未知数……エザールの特化技能は戦闘向けってわけじゃないけど……『叛逆の杯』に認められたってことは……並の敵には負けないはず……よって今は動かず戦力を整えた方がいい……と思う」
「確かに一理あるな…次は…『攻撃』のボルテノだ、何かあるか?」
「こっちが整えてる時間は向こうも整えられるってことだ!なら今のうちに潰しておくのがいいと思うぜ…思います!」
「お前らしい考えだな、次は『速度』のヴォロシティー」
「はっ!ロクリアの考えに賛成で今は自陣の戦力を整えるのがよいかと」
「なるほど、最後になったが『防御』のディフェス、どうだ?」
「自分もロクリアの考えに賛成であります。こちらで戦力を整えている間はヴォロシティーに偵察してもらい向こうも偵察を出しているようならボルテノで対抗、発見が遅れ自陣に攻め込まれた場合でも自分が食い止め、ボルテノが…ということもできるのではと考えるのであります」
「全員の考えはよく理解した。ロクリアの考えを採用する、準備せよ」
「「「「はっ!」」」」




