95、ちりじりに
現れた魔族はこの前とどう違うのだろう?
不安を覚えながら俺は早速炎系の魔法を打ち付ける。
幾つもの炎の塊が吸い込まれるようにして魔族の中に入り込む……と思うと、次に起こったことというと、
「うわぁあああ」
俺達とは別の方向に先ほど打ち付けた炎が吸い込まれる。
よく見ると紙状になって攻撃を包み込み、それを他の場所に吐き出しているようだ。
そこで魔族の一部から剥がれ落ちたのだろう、紙状のものがこちらに向かってくる。
試しに炎を打ち込むとその紙は俺の炎を丸め込む……ものの、炎の威力が強くなったらしく、抱えきれずにそのまま燃え尽きて消えた。
強い魔力で押せば倒せるらしい、が、
「あれだけの量、全部に攻撃魔法は無理だ。だが、ちぎれた大きさによっては魔族はその存在を維持できない?」
俺の呟きに寿也が、
「となるとあれを粉々にするような何があれば後は砕いたもので、ひとつづつ人海戦術で倒していけばいいか」
「……となるとあれを砕くにはどうしたらいい? 攻撃しても吸収されて、それでこちらを攻撃してくるようだが……」
俺は呟いて考える。
その間にもクレア達も含めた攻撃を行うが吸収されているらしい。
ただ攻撃が反射だけなのは今のところ幸いだが……。
「魔法を吸収してから反射するまで、少しはタイムラグがあるみたいだ。その間に、内部で爆発を起こさせる……爆弾のようなものを飲み込ませるか? 俺の魔法で、そういったものはあったか?」
時間差のある魔法、それはどこにと思って俺は探していると、百合が、
「でも吐き出されたときに爆発されると困るし、それなら、試したいことがあるの」
「どんな?」
「水は気体になるときに体積が急激に膨張する。それを利用して破裂させられないかなって。水ならそこまで被害は出ないでしょうし、後は……私の能力で、光を電磁波として大きな概念でくくって……電子レンジの要領で水を温める」
「なるほど。理屈上はできそうだが魔力は足りるか? ……魔力回復系の魔法も探しておこう、ステータスは出しておいてくれ、それでこちらは様子見する。寿也は水を出してくれ」
「わかった」
といったよう話をして、寿也に大量の水を呼び出してもらう。
ただの水だったが今回は魔族は攻撃と認識したらしい。
それをぐるりと飲み込んで……そして、百合が能力を使う。
魔族の体が一気に膨れ上がる。
同時に百合の魔力が大幅に減少したために、俺は回復を行って、百合がさらに力を加えると、
ぼんっ
大きな音を立てて魔族が破裂した。
ちりじりになる魔族のかけらに向かって俺は、
「魔族のかけらに攻撃を加えてください!」
そう大きな声で指示を出し、俺も複数対象を狙える魔法を数度連発する。
それでそこそこ削れたかと思うと、その破片が集まり三分の一程度の大きさになった魔族に再復帰してしまう。
だが、再び同じように水をかけて吸収させて……。
「これで、最後だ」
俺が最後に残った小さな破片に炎の攻撃を加えて、突如現れた魔族を倒したのだった。
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