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79、一度目の対決

 指定された場所は隣の町であるらしい。

 そこまではクレアの家の馬車で移動ということになった。

 材料は作りたいものを考えて、一通りそろえてある。


 ただ幾つか気になることがあるのだ。


「第一試合は、お任せコース勝負、か」


 俺が今朝になって突然“決められた”その料理内容に首をかしげる。

 だが、ある程度条件を飲むとこちらにも有利になる、とのことでそれを受け入れることになった。

 というわけで、それを受け入れて挑戦をすることになった。


 そんなこんなで馬車に揺られて進んでいく俺達。

 そういえばクレア達のいる街以外の町にはまだ行ったことはなかった。

 町ごとの特色はあるのだろうかと思ったが、いつも見ていた街並みとそこまで変化はなかった。


 それはいいとして広場に俺たちはやってくる。

 目の前には以前いたグズダに似た男たちが嫌な笑いを浮かべて立っている。

 その後ろの方に黙って真面目そうな料理人たちが蒼白な顔で立っている。


 この人たちを人質のようにとっているんだよなと俺は思いながら、


「それで、お任せコース勝負とはいったいどんなものなのでしょうか」

「……余裕が垣間見れるな。俺たちに勝つつもりか? この俺、カタス様に!」


 そう鼻息荒く叫ぶ彼。

 長い髪が揺れているひげを生やした男。

 服装も含めて料理人なんかどうか怪しいと俺は思っているとそこでにたりとカタスが嗤った。


「今回はおかず勝負だ」

「おかず?」

「そう、二品おかずを作り、競い合うのだ。そして両方が関連する物でなければならない」

「そう、ですか」

「そうだ」


 自信があるようにそう言い切ったカタス。

 勝利を確信するような何かがあるのだろうが、それはいったい何だろうと思っているとそこで、


「但し、“珍しい”物でないといけない。この世界で珍しい料理。それも条件の一つだ」

「それは俺たちに有利なのでは?」

「さあ、どうかな? お前たちはこの世界の“野菜”について、よく知っているようだからな。その調理は、お前たちが知られていないと思っているだけかもしれないぞ?」


 そう言いだした。

 それを聞きながら俺は、この世界で珍しい野菜などを料理する気なのだと俺は気づいた。

 確かに珍しい野菜を使えば彼にとって有利だ。


 対して……そういえば俺たちは、フリーマーケットで日本の食材などを売っていた気がする。

 もしもそれらを知っている人物だったなら、新鮮味が薄いかもしれない。

 逆にこちらにハンデになるなと俺が思っているとそこで、


「ではそろそろ、始めようか」


 そういったカタスが宣言する。

 クレアとサラは審査員として招かれているが、今日は大々的にやる気らしく、審査員が十人ほどいる。

 彼ら全員を納得させないといけないのは骨が折れそうだが、


「日常的に手軽に食べられそうなものを作ろう。それで関連していて珍しいものとなると……」

「豆腐関係はどうだ? フリーマーケットで好評だったし」


 寿也がそう案を出してそこで俺はあることを思いつく。


「豆腐、という字を書くから、という意味でゴマ豆腐と、豆腐料理の二品でどうだろう」

「あ、いいかも。豆腐料理は揚げ出し豆腐はどうかな?」


 そこで百合が、俺の提案に合わせて、そう提案したのだった。

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