46、測定-2
こうして魔力測定は終了した。
後は体力などを測定していくのみである、そうなのだが。
次に指さされたそれを見て俺は、少し、いや、かなり何か思うようなものがあった。
そこにあったのは、等身大のハムスターがカラカラと音を立てて回すような円状の……。
「……これの中に入って走るのでしょうか」
「はい」
測定員が冷静に答えているのを聞きながら、俺は寿也や百合を見ると、いってらっしゃ~い、というかのように二人そろって手を振っている。
俺にまずやらせるのか……と思いながらとりあえず中に入って、走り始める。
カラカラカラカラ
なかなかいい音がする。
だがこのむなしい感じは何なのだろうか?
……この走っている分だけ筋肉がついて理想のムキムキが手に入ると思えば……がんばるしかない?
そう衝撃の事実に気づいた俺は、全力で走り出した。
ガラガラガラガラ
いつにないスピードで走り出す俺。
じりじりといったような何かが焼けつくような音がした気がするが、おそらくは気のせいだろう。
そう思って俺が走っていると、
「やめてください、分かりました。あなたの体力は分かりましたからぁああああ」
そう測定員が悲鳴を上げたのだった。
なぜか止められてしまった俺だが、この後、百合と寿也も同じような行動をとり、測定員は涙目になっていた。
それからほかの能力も全て測定を終わらせて、げっそりとした測定員達に、
「終わりました。これから“ギルドカード”の作成に移ります」
そういわれて部屋から追い出されるようにされてしまった。
なんでだろうと俺が思っているとそこで、ようやくサラとクレアがここにいることに気づいた。
だが二人とも青い顔をして棒立ちになっている。
どうしたのだろうと俺が思っていると、クレアが、
「な、なんですか今のは」
「え?」
「やはり異世界人は色々とおかしいです。……“魔族”と戦えるだけあります」
「え、えっと?」
俺はそう答えることしかできなかったが……どうやら異常なものを叩き出しているようだった。
これはあれだ。
ラノベにある、『俺、何かやっちゃいましたか?』というあれである。
だがこの感覚の差異はこの世界で日常生活をしていく上では、あまりよろしくない。
そう考えた俺はクレアに、
「この世界の平均的な能力は、どの程度なのか教えてもらえないでしょうか」
「……分かりました。では……下の階で待っている間にお話しします」
クレアが震えるような声そういったのだった。
下の階にやってきた俺たちは、飲み物を注文しながらクレアの話を聞くことに。
そして聞いていた俺たちは、だんだんにその意味が分かってきた。
「俺たちの能力、高すぎじゃないか。というか“魔族”との戦闘の時に体力魔力の表示は俺たちの方でもしたはずですが」
そう俺が聞くとサラが、
「他人の能力を見ている余裕はありません。そしてクレア様はこう見えても、天賦の才を持つといわれるくらい魔力の量が多いのですよ? この私だって魔力体力ともに……くぅ、これだから異世界人は」
クレアが俺たちにそう言ってくる。
俺は現状認識を改めなければ、そう思っているとそこで、
「ほう、兄ちゃんたち異世界人なのか。……異世界の料理を何か教えてくれないか? そうしたら飲み物のお代は無料にするぞ」
そう、ギルドに併設されている喫茶店の店主? に言われたのだった。
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