番の告白
「フィオナ。今まで君には、俺の専属ガイドとして側にいてもらっていたけれど……俺が君をここまで大切に想い、誰にも渡したくないと感じていて…」
「は、はい」
首を傾げる私に、シリス様は意を決したように青い瞳を輝かせ、まっすぐな情熱を込めて呟いた。
「俺にとって、君は単なる『相性の良い専属ガイド』っていうわけではないんだ。……フィオナ、君は俺の『番』なんだよ」
「え……? ツガイ……ですか?」
思いもよらない言葉が耳に届き、私は思わず息を飲んだ。
「そうなんだ。最初は、ただ魂が強く引き寄せられるような不思議な感覚だった。けれど、君と過ごし、君の温もりに触れるうちに確信したんだ。運命によって引き合わされた、生涯たった一人だけの特別な存在……それが君なんだ」
「私が……シリス様の、番……」
「身勝手に聞こえるかもしれないけれど……俺は専属ガイドという関係だからじゃなく、一人の男として、運命の番として君を愛している。……フィオナ、急にこんなことを言って困らせてしまうかもしれないけれど、俺の気持ちを受け取ってほしいんだ」
真剣で、どこか切なさすら混ざった青い瞳で見つめられ、胸の奥がギュッと締め付けられる。
(シリス様が……私を、一人の女性として……?)
頭の中が真っ白になって、言葉がうまく出てこない。
一人で家にいた時、シリス様を思い出しては胸が苦しくなったり甘くモヤモヤしたりしていたけれど、それが本当に「恋」なのか、私にはまだハッキリとは分からずにいた。
そんな未熟で戸惑ってばかりの私に、学園中の憧れであるシリス様が、こんなにも真摯に「番」としての愛を伝えてくれている——。
「シリス様……。あ、あの……! 突然のことでびっくりしてしまって、うまく言葉にできなくてごめんなさい……っ」
「いいんだ。君を驚かせてしまうのは分かっていたから」
「私……シリス様を思い出すと胸がキュッとしたり、こうして近くにいるとドキドキしてしまって……この気持ちが何なのか、自分でもまだよく分かっていないんです。……でもっ」
私はキュッと自分の胸元を握りしめ、まっすぐにシリス様を見つめ返した。
「でも……シリス様が私をそんな風に大切に思ってくださっていることが、すごく嬉しいです。シリス様の特別でありたいって……そう思ってしまうんです。だから、私にできることなら……これからもシリス様の近くで、お支えさせてください……!」
まだ「恋」とハッキリ告げる勇気も自覚もないけれど、これが今私の言える一番素直な気持ちだった。
私の言葉を聞いたシリス様は、一瞬目を見開いた後、心底愛おしそうな笑みを浮かべた。
「……ありがとう、フィオナ。君のその素直な気持ちを聞けただけで、俺は十分幸せだよ。君が自分の気持ちがわかるまで、いくらでも待つからね」
そう言って、シリス様は私の手を優しく包み込み、引き寄せるようにそっと頭を撫でてくれた。
その手の温もりに、私の顔はきっと熟したリンゴみたいに真っ赤になっていたと思う。




