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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第七章 撤退禁止令

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第69話 帰ったら伝える言葉

その夜、《帰還灯》の本部を空にした。

 患者は町の診療所へ分散し、記録は三都市へ送った。俺たちは旧水道管理所を臨時拠点にする。

 教会は俺、リゼ、ティナ、フィン、ドーガ、アレクシスを神敵として指名した。

 明日の王国評議会で証言できなければ、布告だけが事実として残る。

 夜更け、地上の様子を見に出ると、リゼが水門の上に座っていた。

「見張りは交代の時間だぞ」

「あなたもです」

 隣へ座る。

 ラクトの街には、小さな青い灯が点々と残っていた。教会を恐れて消した家もある。それでも、全ては消えなかった。

「明日、評議会へ入る役は俺一人でいい」

「却下します」

「まだ理由を言ってない」

「自分だけ捕まれば皆は助かる、でしょう」

 読まれていた。

 リゼが俺の左手を取る。《広域撤収》を使った時の火傷痕がまだ残っている。

「全員を帰すと言う人が、自分だけ人数から外れるのは反則です」

「分かってる。でも、失うのが怖い」

「私も怖いです」

 盾騎士の手が、わずかに震えていた。

「だから約束してください。明日が終わったら、ここへ一緒に帰ると」

「約束する」

「帰ったら、あなたに伝えたい言葉があります」

 横顔は暗くて見えない。耳だけが赤かった。

 何の言葉か尋ねるほど、鈍くはない。

「俺にもある」

「今、言ってはいけません」

「どうして」

「帰る理由が一つ増えます」

 俺たちは手をつないだまま、灯を見た。

 明日、勝つために行くのではない。

 帰って、続きを言うために行く。

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