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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第七章 撤退禁止令

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第65話 スキルの届かない結界

もう一度です!」

 リゼが盾で扉を支えながら叫ぶ。

 俺は登録札を握り直した。

「《隊列撤収》!」

 青い光は生まれない。

 体内から魔力を引かれる感覚すらなかった。

 ドーガが床へ小さな赤晶片を置く。普段なら帰還灯に反応する石が、黒く濁った。

「結界じゃ。魔法を弾くんじゃない。外へ向かう流れだけ、地下へ吸っておる」

「最初から、俺たちを誘い込む罠だった?」

 フィンの顔が青ざめる。

「違う」

 俺は壁に刻まれた古い溝を見る。

 この設備は、俺たちのギルドができるよりはるか昔からある。教会は常に、ここから誰も逃がさないために使っていた。

 扉が大きくへこんだ。

 猶予は一分もない。

 救助対象は三十四人。うち九人は自力で歩けず、五人は治療途中。元来た排水路は狭く、担架が通らない。

 俺は能力欄を閉じた。

「計画を変える」

「他の帰還点を試さないのですか」

 リゼが聞く。

「ここにいる限り、全部同じだ。使えない道へ命を賭けない」

 フィンの地図を床へ広げる。

 旧礼拝堂、香炉庫、厨房、荷車門。最短路ではなく、担架が通れ、追手を分断できる道を探す。

「フィン、出口を決めろ。ドーガ、扉を遅らせる仕掛け。ティナ、歩ける者を増やしてくれ。リゼは最後尾」

「ユアンさんは?」

 ティナが尋ねる。

「人数を数える」

 俺は囚人たちを見る。

「転移はできない。今夜は、自分の足で帰る」

 隊列を四つに分ける。

 先頭が動き出した瞬間、監獄の扉が破られた。

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