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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第七章 撤退禁止令

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第63話 脱走者を治した罪

教会の布告から三日後、七人の兵士が裏口へ運び込まれた。

 全員、王都方面の巡礼路を守る聖堂兵だった。

 腕に火傷、背中に裂傷。隊長らしい男は、右脚の骨が見えていた。

「何があった」

「赤晶獣の群れです」

 付き添ってきた少女が答えた。

「司祭は、勝利するまで陣地を離れるなと。でも矢も治癒薬も尽きて……この人たちは負傷者を連れて退きました」

 つまり脱走扱いだ。

 ティナは事情を聞き終える前に、隊長の脚を固定していた。

「治療には二時間かかります。話はその後で」

 彼女の治癒は遅い。だからこそ、潰れた神経も千切れた筋も丁寧につなげられる。

 一時間が過ぎた頃、正面扉が破られた。

 白鎧の聖堂騎士が十二人。

「脱走兵を引き渡せ。治療者も、神敵幇助の罪で拘束する」

 リゼが盾へ手をかける。

 俺は人数と出口を数えた。ここで戦えば、寝台の負傷者が巻き込まれる。

「治療が終わるまで待て」

「異端者に交渉権はない」

 騎士がティナの腕をつかんだ。

 小柄な彼女は振りほどかず、俺を見た。

「あと十二分です」

 震えているのに、声だけは正確だった。

「そこまでは、誰にも触らせません」

 俺たちは負傷者の寝台を囲んだ。

 十二分間、騎士とにらみ合う。

 最後の包帯を巻き終えると、ティナは自分から両手を差し出した。

「この人たちには、移送中も添え木が必要です」

「ティナ」

「ここで争えば患者が傷つきます。大丈夫です」

 手枷が閉じる。

 七人の兵士とティナは、凱旋大聖堂ラクト支院の監獄へ連行された。

 騎士たちが去るまで、俺は動かなかった。

 扉が閉まった瞬間、フィンへ言う。

「聖堂の地下図面は」

「旧排水路までならあります」

 ドーガは工具袋を背負い、リゼは盾を取った。

「患者を置いてきた」

 俺は救助登録札を握る。

「全員、迎えに行く」

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