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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第七章 撤退禁止令

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第61話 撤退は反逆である

三都市災害から十日後。

 迷宮都市ラクトの全鐘楼が、同時に鳴った。

 祝いの鐘ではない。教会が異端を告げる、低く重い音だった。

 大通りの掲示板へ、白い法衣の司祭が布告を張り出す。

『魔物を前にして退く者は、人類の勝利を損なう反逆者である』

『撤退を勧め、これを助けた者も同罪とする』

 署名は大司祭オルデン。

 対象は《帰還灯》だけではなかった。

 教会の聖印を授かった騎士と冒険者は、撤退命令に従えば聖印を剥奪される。治癒院の利用、蘇生祈祷、教会墓地への埋葬も認めない。

 死んだ後まで脅す、よくできた命令だった。

「王国公認組織への命令権は、教会にはないはずです」

 リゼが布告をにらむ。

「法律上はな。だが、聖印を持つ冒険者は多い」

 聖印は身体能力を底上げし、高位の治癒を受けやすくする。上位を目指す者ほど、教会と縁を切れない。

 昼には、中央本部から使者が来た。

 救助登録者の名簿と、全帰還灯の設置場所を提出しろという。

「断る」

 俺は封書を返した。

「名簿は救うためのものだ。罰するために渡す気はない」

「拒絶すれば、異端を認めたことになるぞ」

「命を守ることが異端なら、呼び方は好きにしろ」

 使者は怒鳴らなかった。ただ、気の毒そうに俺を見た。

「明日から、この建物へ近づく者も反逆者だ」

 扉が閉まる。

 受付には、依頼票が四十七枚あった。

 翌朝、残っていたのは十一枚だった。

 《帰還灯》を潰すのに、兵はいらない。

 助けを求めることを罪にすればいい。

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