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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第六章 三都市大避難

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第56話 河岸の撤退戦

魔物の主群は、ハルクからベルナへ向かっていた。

 大河セイルを渡れば、避難中の住民と仮設村へ届く。

 アレクシスが騎士団を率い、河岸に防衛線を敷いた。

「第一隊、三十分で交代!」

 俺の指示に、古参騎士が顔をしかめる。

「戦えるうちは戦わせろ」

「疲労を自覚した時には遅い。三十分で必ず下げます」

 魔物の第一波が来た。

 アレクシスの雷が川面を走り、先頭を焼く。騎士が槍壁で受け、弓兵が後列を崩した。

 三十分後、まだ全員戦える顔をしている。

 撤退笛を鳴らした。

「早い!」

「第二隊、前へ。第一隊は水分と装備点検!」

 不満を言いながら下がった兵士の盾は、留め具が半分切れていた。あと一撃受ければ外れていただろう。

 交代を重ねる。

 負傷者はティナの救護所へ。軽傷でも戦線へ戻す前に診る。戻れない者は帰還灯で河原へ送る。

 四時間後、敵の数は減らない。

 だがこちらの隊列も崩れていない。

「妙な戦い方だ」

 交代で戻ったアレクシスが水を飲む。

「勇者まで三十分で下げるとは思わなかった」

「君の雷は強い。だから魔力切れで突然止まる方が困る」

「正論なのが腹立たしい」

 彼は笑い、次の交代時刻を確認した。

 夕暮れ、魔物は上流へ進路を変えた。

 そこにはベルナの最後の避難列がいる。

 リゼの隊が護衛していた。

「全隊、上流へ移動! 河岸は最低限だけ残せ!」

 今度は戦線そのものを撤退させる。

 勝っている場所へ執着せず、守る人がいる場所へ動くために。

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