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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第六章 三都市大避難

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第53話 三つの町、一つの帰還点

大規模な《連鎖撤収》には、魔力を受け止める主帰還点が必要だ。

 現在の俺に維持できる主点は一つだけ。

 三都市の距離は、それぞれ馬で半日。どこへ置いても、残る二都市は範囲外になる。

「ベルナは人口千二百。メルドは八百。ハルクは五百」

 作戦会議で、王国軍の将軍が数字を並べた。

「最大人数のベルナを優先すべきだ」

「迷宮の膨張が最も激しいのはハルクです」

 フィンが反論する。

「危険度ならハルク、救える数ならベルナか」

 誰かが選ばなければならない。

 視線が俺へ集まる。

 《撤収》を持つ者が決めろということだ。

 前世でも、救助の優先順位は必要だった。生存可能性、緊急性、必要人数。感情だけで全員へ向かえば、全員を失う。

 それでも、地図の上の数字が人の顔に見えた。

「主帰還点は、三都市の中には置きません」

「ではどこへ?」

「中間の河原です。三都市から小型灯をつなぐ」

「範囲が足りないと言っただろう」

「今のままなら」

 俺はドーガを見る。

 彼は待っていたように、布を外した。

 台車へ積まれているのは、赤晶鉱山で回収した古い中継器と、六基の移動式帰還灯。

「帰還点を固定された場所だと思うから一つしか置けん。灯同士で魔力を渡し、道を伸ばす」

「実験もしていない装置だぞ」

「だから今から試します」

 将軍が反対しかけ、アレクシスが口を開いた。

「失敗した場合、俺が各都市の退路を守る。それでも歩いて避難させる」

 勇者の保証に、会議が動いた。

 選ばないというのは、決断しないことではない。

 三つとも選べる仕組みを作るため、残り九日を使う。

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