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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第六章 三都市大避難

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第51話 大氾濫の予兆


 王都地下の鐘が鳴った翌朝、ラクトから緊急遠話が入った。

「東部三都市の迷宮が、同時に膨張しています」

 水晶に映るフィンは、徹夜らしく目の下が黒い。

 河川都市ベルナ、農業都市メルド、砦都市ハルク。

 三都市は大河セイルに沿って並び、それぞれ小規模迷宮を抱えている。過去の記録では、魔物が外へあふれる大氾濫は百年に一度だった。

「今回は三つ同時です。最短で十二日後」

「根拠は?」

「迷宮の拡張率、赤晶の発光周期、周辺魔物の移動。それと王都事故の日から、三つの迷宮へ教会の魔力が一度に流れました」

 競技場の祝福が魔力管を逆流し、地下帰還網を通って東部へ届いた。

 偶発的な事故か、誰かが意図したのかは分からない。

「王国へ報告したか」

「中央本部は一か月以内に調査すると」

「十二日後なのに?」

 アレクシスが立ち上がった。

「俺が騎士団を動かす」

 王太子も地図を広げる。

「王命で調査を前倒しする。ただし住民避難には各領主の同意が要る」

 俺たちは王都から直接東部へ向かった。ラクトの仲間も移動式帰還灯を載せた隊商で合流する。

 ベルナへ着いたのは三日後。

 迷宮入口から、黒い霧が漏れていた。森では弱い魔物が、何かから逃げるように街道へ出ている。

 フィンの予測は正しい。

 城館で三都市の領主を集め、避難計画を示した。

「住民を大氾濫前に川向こうへ移し、戦える者だけ交代で防衛するべきです」

 ハルク伯が机を叩いた。

「町を空にすれば、隣領が占領する! 敵も見えぬうちから逃げろというのか!」

 教会司祭が続く。

「聖印を持つ者が戦えば、必ず勝利します」

 三都市を救う前に、逃げることを恥じる心と戦わなければならなかった。

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