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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第五章 王都救助競技会

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第46話 勇者の決闘申し込み

競技場事故から三日後。

 死者はゼロ。重傷者九名も、王都治癒院で安定した。

 《帰還灯》の実演を笑った新聞は、翌朝には《王都を救った撤収》と見出しを変えた。

 俺たちは王宮の客室で事情聴取を受けていた。

 魔力管の爆発は、整備不足と判明した。教会が競技場へ過剰な祝福を流し、古い管が耐えられなかったらしい。

 廊下へ出ると、アレクシスが待っていた。

「事故を収めた手腕は認める」

「素直だな」

「だが、お前の主張が正しいとは限らない」

 鉱山で何度も撤収したことを、彼はまだ自分の未熟さだと思っている。

「俺が魔力管を一撃で凍結していれば、避難は不要だった」

「爆発前に場所が分かればな」

「だから強さには、速さも判断も含まれる」

 筋は通っている。

 アレクシスは俺を嫌っているのではない。自分が強くなれば全員救えると、本気で信じている。

「決闘しろ」

「俺が君に勝てると思うか?」

「剣の勝負ではない。競技会の救助部門をやり直す。俺の討伐救助と、お前の撤収救助。どちらが多く救えるか競う」

 王立訓練迷宮に二十人の志願者を配置し、魔導人形が襲う中で安全地帯へ運ぶ。先に全員を救った方が勝ち。

「負傷者役に危険は?」

「防護結界をつける」

「途中で本当の危険が出たら、中止を俺が決める」

「構わん」

 条件を詰め、翌日に決まった。

 リゼは心配そうに俺を見る。

「受けるのですか?」

「あいつだけじゃない。強い者が一人いれば救助はいらないと思う人は多い。違いを見せる機会だ」

「勝つつもりですね」

「勝つ必要はない」

「え?」

「二十人が無事なら、俺たちの目的は達成だ」

 翌朝、再び競技場に人が集まった。

 今度は誰も、救助競技を余興とは呼ばなかった。

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