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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第四章 冒険者ギルドとの戦い

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第38話 救う相手は選ばない

「この箱は何だ?」

 俺が尋ねると、ガレスは壁へ寄りかかった。

「崩落後に見つけた。中央本部の調査隊が、迷宮深部で赤晶を掘っていた証拠だ」

 箱の中には、採掘道具と未登録の魔石。それに、危険度を偽装した依頼書が束で入っていた。

 持ち帰ればバルガスを追及できる。

 だが全部は運べない。

 《撤収》は、人が身につけた物と手に持つ物だけを帰す。箱ごと運べば魔力が足りなくなる。

「重要書類だけ分ける」

 フィンとエマが番号と封印を確認し、袋へ詰める。ドーガは箱の板を一枚外し、証拠の刻印部分だけを背負った。

 ガレスが俺を見る。

「証拠を優先して、俺を置いていけばいい。お前にはその権利がある」

「ない」

「俺はお前を見捨てた」

「だから俺も見捨てれば、同じことが二回起きるだけだ」

 リゼがガレスの腕を自分の肩へ回した。

「立てますか」

「女に担がれるほど――」

「なら置いていきます」

「……頼む」

 弱さを認めるたび、ガレスの鎧から何かが剥がれていくようだった。

 帰還を発動しようとした時、通路の奥で獣の声がした。

 旧第九層の魔物が集まってくる。

「帰還点までの距離が遠い。人数と荷物で発動に四十秒かかる」

「俺が残る」

 ガレスが折れた大剣を握った。

「話を聞いていなかったのか」

 俺は剣を下ろさせる。

「リゼ、前方。ドーガ、右壁を落として道を絞る。エマは灯り、ティナはガレスを診てくれ。フィン、四十秒数えろ」

 全員が動いた。

 誰か一人が残る前提ではない。

 盾と瓦礫で魔物を止め、四十秒を全員で作る。

「時間です!」

「《隊列撤収》!」

 青い光が石室を満たした。

 地上へ戻ったガレスは、南区の空をしばらく見上げていた。

「明るいな」

 それだけ言って、泣いた。

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