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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第四章 冒険者ギルドとの戦い

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第37話 「今さら助けてくれ」

共鳴石を頼りに、俺たちは南区迷宮へ入った。

 中央本部の許可はない。

 今さら一つ違反が増えても同じだとドーガは笑った。

 フィンの地図では、新迷宮の北端が、崩落した旧第九層へ接している。岩の隙間に、金獅子の紋を刻んだ金属片が落ちていた。

「最近動かした跡があります」

 細い通路を進むと、扉を打つ音が聞こえた。

 三回、三回、二回。

 《金獅子》の救難符号。

「ガレス!」

 返事はない。

 ドーガが扉の蝶番を外し、リゼと二人で引く。

 石室の奥に、一人の男が座っていた。

 金色だった鎧は黒く汚れ、大剣は半分に折れている。頬はこけ、左目に布を巻いていた。

「ユアン……?」

 ガレスだった。

 その顔に喜びはない。

「なぜ、お前が来た」

「救難信号を受けた」

「俺を笑いに来たのか。臆病者に助けられる英雄を見に」

 エマが前へ出る。

「ガレス、ロルフとセシルは?」

 沈黙で答えは分かった。

「最初の崩落は生き延びた。ケルベロスも倒した。だが奥へ進むほど通路が閉じた。食料が尽きて……二人は俺をここへ押し込み、外で魔物を止めた」

 ガレスの声がかすれる。

「俺が撤退を認めていれば、二人は生きていた」

 俺の中に、怒りがないわけではなかった。

 あの日の「あと少し」という声。審問室で浴びた視線。ガレスが拒んだせいで、俺は三人を帰せなかった。

「立てるか」

「今さら助けてくれと言えば、満足か?」

「満足はしない」

 俺は救助札を差し出した。

「でも、生きたいなら言え。俺はそのために来た」

 ガレスは札を見つめた。

「……帰りたい」

 以前なら絶対に口にしなかった言葉を、彼は絞り出した。

 青い線が、俺たちをつないだ。

 その時、ガレスの背後に積まれた箱へフィンの灯りが当たった。

 中央本部の封印と、赤晶鉱山と同じ搬出番号が刻まれていた。

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