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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第四章 冒険者ギルドとの戦い

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第36話 《金獅子》の生き残り

「遅くなって、ごめんなさい」

 エマは杖をついたまま頭を下げた。

 俺は何を言えばいいか分からなかった。

 生きていることは知っていた。治癒院が面会を拒んでから、何度か手紙も送った。返事はなかった。

「足は?」

「歩ける。でも戦闘魔術は、まだ無理」

 ティナが椅子を用意し、慎重に脚を診た。

「表面は治っていますが、神経が圧迫されています。時間をかければ改善できます」

 エマの目が潤む。

「時間をかけてくれるの?」

「それが私の治療です」

 落ち着いてから、エマは革袋を机へ置いた。

 中には薄い水晶板がある。

「探索前、私はユアンの帳面を記録魔法で写していた。ガレスに無茶をさせないため、崩落の予測を後で見せようと思って」

 水晶へ魔力を流すと、俺の字が浮かんだ。

《第九層以降、外部振動あり。深部採掘との共振を疑う。撤退推奨》

 審問室で消えた探索帳の写しだ。

「どうして、今まで?」

「治癒院に本部の監視がいた。証言すれば治療費を打ち切る、あなたも故意の遺棄罪で牢へ入ると言われた」

 エマは両手を握った。

「怖かった。帰りたいと言えたのに、今度は真実を言えなかった」

「生きるために黙ったことを、俺は責められない」

「でも、もう黙らない」

 南区救助の記事を読み、杖をついて治癒院を抜けたという。

 水晶記録があれば、バルガスが審問資料を隠した証拠になる。

「もう一つある」

 エマが小さな金色の石を出した。

 《金獅子》が緊急時に使う共鳴石だ。仲間の石が近くにあれば光る。

「三日前から、弱く反応しているの」

 石は確かに点滅していた。

 方向は、南区に開いた新しい迷宮。

「ガレスたちの誰かが生きている?」

「分からない。でも、この反応は登録者の生命魔力にしか出ない」

 かつて崩れた迷宮と、南区の地下迷宮がつながった。

 そこに《金獅子》の生き残りがいる。

 俺は共鳴石を握った。

 助けたいのか、会うのが怖いのか。

 自分でも分からなかった。

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