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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第四章 冒険者ギルドとの戦い

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第32話 救助権剥奪

監査は三日続いた。

 帳簿、救助札、薬品棚、訓練記録。監査官は細かな不備を探し、見つからなければ同じ書類を角度を変えて調べた。

 最後に示された違反は二つ。

 資格停止中の俺が地下三層へ入ったこと。

 正式認可前にゴブリン討伐を行ったこと。

「どちらも救命上の緊急措置です」

 リゼが反論する。

「緊急性を認定するのは中央本部だ」

「認定を待っていれば、子どもたちは死んでいました」

「仮定の話だ」

 監査官は無表情のまま処分書を読み上げた。

 《帰還灯》の迷宮立入許可を無期限停止。救助依頼は中央本部を通し、指名された時のみ活動可能。

「それでは救助権の剥奪です」

「処分に不服なら、本部長へ上申せよ」

 仕組んだ本人へ訴えろということだ。

 監査官が帰ったあと、倉庫は静まり返った。

 加入したばかりの子どもたちは、不安そうに俺を見る。

「ギルド、なくなるの?」

 ミミが尋ねた。

「なくさない。地上の訓練と救護は続ける」

「でも迷宮へ行けないんだろ」

「行けるようにする方法を探す」

 俺は平静を装ったが、収入の八割は迷宮依頼だ。立入停止が一か月続けば、家賃も給金も払えない。

 マルコが商人仲間を連れて訪れた。

「共済金は預かり金だ。運営費へ勝手に回せんぞ」

「分かっています」

「その上で、支援会員を増やす。地上護衛と救命講習を商品にしろ」

「助かります」

「礼は、潰れずに返せ」

 夕方、中央本部の掲示板へ救助依頼が出た。

 西迷宮、行方不明二名。

 《帰還灯》は指名されていない。

 翌日、その二名は遺体で戻った。

 救助隊の出発が半日遅れたという。

 俺は掲示板の前で、拳を握りしめた。

「怒っているなら、怒ってください」

 隣にいたリゼが言った。

「冷静なふりをして、自分を責めるのはやめて」

「俺たちが行けたとは限らない」

「ええ。でも行く選択まで奪われました」

 その夜、迷宮都市の南区で地面が割れた。

 地下から、救難鐘より大きな音が鳴り響いた。

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