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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第三章 赤晶鉱山救出戦

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第30話 攻略率一〇〇パーセント

赤晶鉱山の不正は、王国中へ知れ渡った。

 監督官ゼムと会社幹部は逃亡先で捕まり、入口の帰還点を壊した衛兵も逮捕された。帳簿には、中央冒険者本部の一部職員へ金が流れた記録も残っていた。

 本部長バルガスは「現場職員の独断」と発表した。

 誰も信じてはいない。それでも、彼を直接裁く証拠には足りなかった。

 俺たちにとって重要なのは、二十三人が証言台へ立てたことだ。

 バド班長も、ティナの治療で杖を使って歩けるまでになった。

「あの時、急いで運んでいたら二度と立てなかったでしょう」

 治癒院の医師がそう評価し、ティナは初めて公的な治療証明へ署名した。

 フィンの坑道地図は、再調査隊の標準図面になった。

 ドーガの加入で所属は五名となり、《帰還灯》は正式な小規模ギルドとして登録された。ただし中央本部の監督下に置かれ、迷宮立入許可は依頼ごとに必要だ。

「自由になったようで、首輪は残っとるな」

 ドーガが新しい看板を打ちながら言う。

「一歩ずつだ」

 そして、もう一つの数字が注目された。

 設立から受けた救助・討伐依頼、六件。

 達成、六件。

 依頼中の死者、ゼロ。

 迷宮新聞は大きな見出しをつけた。

《逃げてばかりの新設ギルド、攻略率一〇〇パーセント》

 好意的なのか皮肉なのか分からない。

 だが記事を読んだ下級冒険者が、少しずつ《生還共済》へ加入し始めた。

 開業から一か月後。

 ハンスたち十一人が、約束どおり加入試験へ来た。

 基礎体力、点呼、負傷者搬送、撤退合図。最後は模擬迷宮から全員で帰る課題だ。

 最初に入った時より、剣は少ししか上達していない。

 けれど、一人も見落とさなかった。

「全員合格」

 子どもたちが飛び上がる。

 俺は新しい所属札を配った。

「覚えておけ。攻略率一〇〇パーセントは、勝率じゃない」

 ハンスがうなずく。

「全員で帰った割合だろ」

「そうだ」

 軒先の青い灯が、以前より少し明るくなった。

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