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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第三章 赤晶鉱山救出戦

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第25話 二つ目の灯

《《複数帰還点》を解放します》

 頭の中に、二つの灯が浮かんだ。

 一つは今作った西斜面の帰還点。もう一つは、地下の退避所に置いた青い灯石だ。

 正式な帰還紋を刻んでいない。ただの目印だったはずなのに、新しい技能はそこを仮帰還点として認識している。

「これなら地下へ直接戻れる」

「戻る必要があるのか?」

 ドーガが眉を上げた。

「俺が地下の全員を登録し直し、帰還方向を指定する必要がある。地上の灯は頼めるか」

「誰かが壊しに来たら?」

「その時は、灯より先に自分を守ってくれ」

「救助屋は面倒な注文をするな」

 悪態をつきながら、ドーガは大槌を構えた。

 俺は西斜面の灯を第一帰還点として固定し、地下の光を選ぶ。

「《転点》」

 青い光に包まれ、次の瞬間には退避所の床へ膝をついていた。

「ユアン!」

 リゼが駆け寄る。

 安堵した顔を見て、約束を守れたことにほっとした。

「地上に二つ目の灯を作った。全員帰せる」

 歓声が上がる。

 だが、先に手順を確認する。

 二十三人の救助札。ティナ、フィン、リゼ。バドの容体。所持品は命に必要な物だけに絞る。

「帳簿は?」

 リゼが胸元の防水袋を示す。

「持っています」

「では班ごとに登録する。帰還後はその場を離れず、ドーガの指示に従え」

 第一陣十二名。

 光が消えると、地下の人数が半分になる。再使用まで十二分。残った者は誰も焦らず、訓練どおり壁際で待った。

 二回目に十一名とフィン、ティナを送る。

 最後は俺とリゼだけになった。

 遠くで岩が砕ける。

 赤い光の向こうから、巨大な鉤爪が退避所の入口へ突き出た。

「鉱山主か」

 リゼが盾を構える。

「もう守る相手はいない。俺たちも帰るぞ」

「はい」

 ためらいのない返事だった。

 《撤収》を発動する。

 地上へ出た瞬間、第三坑道が内側から崩れた。

 二十三人全員。俺たち四人。ドーガ。

 欠員はない。

 ドーガが俺へ大きな手を差し出した。

「お前のところ、運搬士は募集しとるか?」

「戦えないぞ」

「だから聞いとる」

 俺はその手を握った。

 五人目の仲間が決まった。

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