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外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第二章 帰るための冒険

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第20話 消された帰還点

赤晶鉱山は、迷宮都市ラクトから半日ほど北にある。

 魔力を蓄える赤い結晶を産出し、灯石や魔導具の材料を王国中へ送っている。坑道の一部が自然迷宮とつながっているため、採掘夫にも冒険者資格が必要だった。

 鉱山会社の監督官ゼムは、俺たちを歓迎しなかった。

「救助登録など、作業員を軟弱にするだけだ」

「現場から依頼がありました」

「誰が勝手に――」

 採掘夫たちの視線を受け、ゼムは言葉を飲み込んだ。

 結局、試験として一班二十三名の登録だけを許可された。

 俺たちは鉱山入口の石台へ《帰還点》を設置した。灯石を鉄枠に収め、鍵をかける。

「警備は?」

「会社の衛兵がいる。余計な心配だ」

 ゼムが鼻を鳴らす。

 坑道へ入ったのは俺、リゼ、ティナ、フィンの四人。二十三名の採掘夫へ救助札を配り、作業経路と集合場所を確認する。

 下層ほど空気が熱く、赤い結晶が脈のように壁で光っていた。

「振動、やっぱりあります」

 フィンが足を止める。

 俺にも分かった。一定間隔ではない。何か重いものが、さらに奥で動いている。

「今日はここまでだ。地上で図面と照らす」

 ゼムからは最深部まで調べるよう言われていたが、契約外だ。全員へ集合をかける。

 その時、坑道の奥で爆発が起きた。

 熱風が駆け抜け、灯りが一斉に消える。

「点呼!」

 返事が重なる。

 二十二名まで確認できた。班長のバドだけがいない。奥の作業区画から、彼らしい悲鳴が聞こえた。

 地図では、その先にも作業区画がある。

「リゼ、守りを。ティナは負傷者の確認。フィン、出口の状態を」

 俺は帰還紋を起動した。

 まず登録済みの二十三人を地上へ戻し、身軽になってから救助へ向かう。

 そのはずだった。

 青い線が伸びない。

《帰還点を検出できません》

「そんなはずはない」

 もう一度魔力を流す。

 反応は同じだ。

「ユアン?」

 リゼが俺の顔を見た。

「入口の帰還点が消えている」

「爆発で壊れたのですか?」

 入口は何層も上だ。今の爆発が届く場所ではない。

 鉄枠に入れ、鍵もかけた。偶然では壊れない。

 誰かが地上で、意図的に消した。

 暗闇の奥から、二度目の爆音が響いた。

 そして救難鐘が、三回鳴った。

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