↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れスキル《撤収》しかない転生者、全員生還の冒険者ギルドを作る ~「逃げたら負け」の異世界ですが、命を持ち帰る俺たちが攻略率一位です~  作者: kaiくん
第二章 帰るための冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/71

第13話 暗闇が怖い斥候フィン

翌朝、倉庫の扉の下に一枚の地図が差し込まれていた。

 《帰還灯》周辺の路地図だ。

 井戸、治癒院、火災時に塞がりやすい細道。荷車が通れる幅まで、正確に書かれている。

「誰がこんなものを?」

 裏返すと、小さな文字があった。

《昨日、治癒師の方が加入したと聞きました。負傷者を運ぶなら、この道が最短です》

 その下に、フィン・クレイという署名。

 冒険者名簿で調べると、十六歳の銅級斥候だった。所属歴三つ、いずれも一週間以内に脱退。備考欄には《暗所恐怖のため迷宮任務不適》とある。

 俺たちは地図に記された住所を訪ねた。

 フィンは、市場の片隅で案内図を売っていた。くせのある茶髪に、眠そうな灰色の目。俺たちを見ると、地図の束で顔を隠した。

「地図をくれたのは君か?」

「勝手なことをして、すみません」

「礼を言いに来た。それと、うちで働かないか」

 地図の束が下がり、驚いた顔が現れた。

「名簿、見たんですよね。僕は地下へ入ると震えて動けなくなります」

「地上の仕事だけでも助かる」

「それでは斥候じゃありません」

 フィンは悔しそうに唇を噛んだ。

「僕は罠も足跡も見つけられる。地図だって誰より正確に描ける。でも暗くなると、壁が近づいてくる気がして……みんなを遅らせるんです」

 リゼが市場の人混みを示した。

「今、ここから出口を三つ挙げられますか?」

「北門、大通り、魚屋の裏の荷捌き路です。火事なら大通りは屋台で詰まるので、北門か荷捌き路」

「十分な能力です」

 俺も続ける。

「恐怖を感じない斥候より、危険を早く感じる斥候の方が救助には向いている。怖くなった時点で教えてくれ。それを撤退の情報にする」

「怖いと言ったら、止まってくれるんですか?」

「理由を一緒に確認する。異常がなくても、無理はさせない」

 フィンは長い間、俺たちを見ていた。

「一つ、条件があります」

「言ってくれ」

「最初は、入口が見えるところまでで」

「そこから始めよう」

 フィンはその場で荷物をまとめた。

 加入者二号。

 これで四人。正式認可まで、あと一人になった。

---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。