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閑話 とある症状

10話のラストシーンの儀式に至る少し前の話です。

ゼノとの戦いから2週間ほど経ったある日の事。

自分の部屋に戻った俺は眠りにつこうとしたが、最近悩まされていたあるものが抑えきれなくなり、ゼノの元を訪ねた。



「なんだお前、こんな夜に…なるほど、お前が何を言いたいか分かったぞ?付いて来な」



俺達は飛行魔法を使い、真っ暗な夜の中へ飛び出した。ゼノの斜め後ろの位置を保持しながら付いて行く。



「おい、何処向かってるんだよ!こっち余裕無いんだって!」


「もう直ぐだ、我慢しろ!」



そしてゼノは段々スピードを落とし、とある場所へ辿り着く。



「ここは…」


「山だ。ただのな」


「はぁ!?じゃあ何でこんなとこにー」



言いかけた俺の口をゼノが手で塞いでくる。



「話は最後まで聞け。ここは()()()ただの山だ。何か気付かないか?」


「え?…あれ、魔物の気配が一つもしないし、魔素が極端に薄くないか?」


「そういう事だ。ジェイド、お前アルバトロスの肉体に移ってから龍に戻って無いだろ?」


「なんで分かった?あいつは勝手に喋るからさ、俺からの喋りかけ方分からないんだよな」


「あの怠惰が…。お前の魔力の流れを見れば分かる。このままだと魔力が溜まり過ぎて死ぬぞ。早く溜まってる魔力を解放しろ」


「良いのか?この山の生態系とか…」


「心配するな。何度か濃密な魔力を当てた程度では魔物は生まれない。というより、その魔力を溜め込まれる方が問題だ」


「なんでだ?」


「はぁ…。アルバトロスの奴から聞いてないな?俺達龍が人の形を取ると、龍の時の魔力が肉体に凝縮される事になる。俺達龍の魔力量は人間や魔族、魔物と比べ物にならない。それを溜め込み過ぎると自分の魔力にやられるんだ。だから自分の住処(テリトリー)で元の姿に戻り、定期的に魔力を解放して、周りに栄養を行き渡らせる。それが俺達龍が住んでいる近くに魔物が多く発生する事に繋がる訳だ。魔力の解放…発散には他にも方法があるが、多忙でその為の時間も取れてなかったしなぁ。うん?」


「やめろよ。そういうの、にやつきながら言うの」


「ま、とりあえずここで爆発させていけ。どうせ後は忙しくなるんだ」


「言ってる意味が分かんねぇけどやるか…ところでどうやって爆発させるんだ?」


「今お前の魔力はどう感じる?」


「なんか重く…詰まってるような感じだ。肩にものしかかってる気がする」


「ならそれを取っ払うつもりでやれ。俺は離れておく」



ゼノにそう言われ、俺は身体を一度縮めて天に向かって身体と両腕を開く。すると、大爆発が起こった。

爆風が発生し、近くにあった木々は軋み、周りの木々も巻き込み葉を撒き散らして倒れていく。



「はーっ…。すっきりした!」


「馬鹿野郎!」



魔力を解放した俺の頭を後ろからゼノがぶっ叩いてくる。



「え!?いきなりなんだよ!」


「あんな濃厚な魔力当てんじゃねぇよ…。滾ってくるだろうが!」


「は、お前何言ってー」


「戦うぞ、今から!」


「待てって!おい!」



俺の言葉も聞かず、飛びかかってくるゼノに俺は為す術が無かった。



◇◇◇



「いてて…」


(わり)いな。だけどなお前のせいだぞ?あんな魔力ぶつけられて、戦いたくならねぇ奴は居ねぇな」



一戦交えた後、自宅に帰ってきた俺とゼノは先程の戦闘の感想を言い合っていた。すると俺達の後ろにジゼルがいつの間にか居た。



「ジェイドさん。こんな夜遅くに何処に行っていたんですか?この駄龍と」


「おいおい、この俺を駄龍とは随分だな?」


「黙りなさい。どうせあなたがジェイドさんを連れ出したのでしょう?」


「ちょっと待て。連れ出したのは確かに俺だが最初に俺のとこに来たのはこいつだぞ?」


「あら、そうですか。それは申し訳ありません。で、()()してたんですか?こんな時間に」


「最近魔力が溜まってたからさ、発散して来たんだよ」


「ふぅん…。()()()はしてないですよね?」


「ジゼルまで何言ってるんだ。してないよ、ちょっと戦いはあったけど…」



俺の家族の一人になってからというもの、やけにゼノとの距離感を気にするようになったジゼル。今やゼノも俺の家族なんだけどな…。



「なんか騒がしいと思ったら、ジェイドここで何してるの?明日朝早いんだから早く寝なよー?」


「ヘレン…。そうか、もうそんな時間か。明日は何処だっけ?」


「もう忘れたの?ジゼルさんの弟君が婚姻に反対してるから説得しに行くんでしょ?」


「うちの弟が申し訳ありません…」


「ジゼルさんが気にする事無いよ!ジェイドが弟君を納得させられないのが悪いんだから!」



おい、肩を何度も叩くな。ちゃんと痛いんだが。



「しょうがないだろ。『お前と姉さんの婚姻なんか誰が認めるか!』って煩かったんだよ」


「バルカンに認められずとも婚姻自体は龍の民を纏める為にするのですけどね」


「でもそれじゃ俺が納得いかない。家族になるんだからちゃんと認めて欲しいんだ。ネイル達の分も」


「それで儀式を遅らせてるんじゃ、統一させた意味が無いがな」


「ま、早急にしないといけないって訳でも無いしな。ゆっくり頑張るよ」


「いや、統一して29日以内に儀式を行わないとやり直しになるぞ」



ゼノが発言したそれは俺から余裕を奪った。嘘だろ?あんなに頑張ったのに!?



「まぁやり直しがあった事など今まで一度も無い」


「良かった〜」


「今まで統一された事が無いからな」


「よーし、早く寝て明日に備えよう!」


「ふははは!やはりお前は面白い…!」



そんな訳で、俺達はなんやかんやで日々忙しくしてます。また何かあったら教えるから気長に待っててくれ。またな!

この作品ではお久しぶりです。眞弥。です。

5月で完結して一年になるので番外編書いてみました。僕は主人公視点であまり書かないんですけど彼らを書くのは楽しいですね。

そろそろLost Fantasiaも決着が見えてきてるのでこっちも第二章(アフター?)を構想中です。

順調に行けば6月から始まります。応援よろしくお願いします!

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