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閑話 Hold my hand

教会でジェイドが勧誘を断られた後の話となっています。

これが9.5話、前回の話が9.7話という所でしょうか。

俺達の間に沈黙が流れる。しかし、それを解いたのも彼女だった。



「皆、部屋で待っててね。はぁ…。大体、突然やって来て何なんですか?貴方がたは。名乗りもせずに」


「す、すまん。俺はジェイド。怠惰の血族の長って事になってる」


「妙な言い回しですね…。その長様が何故私を必要とするのです?」


「そうだな。そこを説明すると、龍の民を統一する戦いの最中、君の姉が亡くなったーいや、俺が命を奪ってしまった。それによって傲慢の血族の長が居なくなってしまったんだ。俺達が調べたところに拠ると直系は君が最後の一人だった」


「要件は分かりました。ですが、私にその統一する戦いというものを手伝う義理はありません。私を捨てた一族の事ですから」



そう言われてしまうと何も言えない…。彼女の言い分が正し過ぎる。自分を捨てた家族の責任を取れ、だなんて誰だって嫌に決まってるよな。

ただ、こっちにも事情がある。なんとか納得して、長を継いでもらわないと。



「長を継ぐ、と言っても儀式に必要なだけなんだ。何かしなきゃいけないというわけじゃない」


「主よ、負けた龍の民の長はどうするんだ。伝え忘れてはいないか?」



あ、やば。カルラありがとう。一番大事な所を伝え忘れてた。



「ごめん、一つだけあった。負けた龍の民の長は勝った龍の民の長と婚姻関係になる」


「はい!?絶対嫌です!あり得ません!何故私が姉の責任を取って今初めて会った貴方と結婚しないといけないんですか!」


「それどころかここに居る全員、将来的に俺と結婚する可能性がある。しかも更に増えるかも」



男1人、女多数の重婚状態になる事を真剣な顔して伝えてみる。



「はいぃ!?じゃあ何ですか、貴方はそこの小さな子と結婚する気ですか!今すぐ騎士団に通報します!」


「そこは安心して!何もしてない!」


「そういう問題ではありません!」


「ま、将来的には何かあるかもしれねェけどなぁ?」



ソラがソアラに変わり、話に乗ってくる。

口角を上げて歯を見せ、完全に悪ふざけの顔だ。



「え…?小さな子が大人に変わった?もう、意味分かんない…突っ込み疲れた…」



バターン!



やばい!アスランが情報過多で倒れた!



「おい、しっかりしろ!起きろー!」



◇◇◇



「ん…ここは…」



目が覚めると私の部屋の天井だ。良かった、さっきまでのあれは夢だったんだ。



「お、目覚めたみたいだな。大丈夫か?」



夢で見たやばい人。あれは現実だったのか。

受け入れたくない。理解したくない。脳が理解を拒み、また私は気を失った。



「先ほどは二回もお恥ずかしい所をすみません…いや、よく考えてみれば貴方たちのせい…」


「そこは忘れよう。さっきは混乱させてすまなかった。もう一度、真剣に話させてくれないか?」


「…えぇ。聞きましょう」



それから私はジェイドと名乗る人から私の居場所を教えたのは他ならぬ姉であった事、何故私が形だけでも長にならないといけないのかを聞いた。



「…話は分かりました。形だけで良ければお手伝い出来なくもありません。ですが、婚姻というのは本来そう簡単に決まるものでは無いですよね。お互いを知る事が必要な筈です」



私の考えを述べた後、ジェイドさんがキラキラした目で私の手を両手で掴んで来る。びっくりした。



「そうだよな…俺も何かこの状況に慣らされてたけど、普通そういうもんだよな!」



自分から私に婚姻を迫っておきながら何故私の考えに同調してくるのだろう?

不思議な人だと思い、私は思わず笑ってしまった。



「へ?何か俺、おかしな事言った?」


「ふふふ…はい。言いました。では明日お時間ありますか?貴方の事を知りたくなってきました」


「??あぁ、大丈夫だよ…」



◇◇◇



太陽が頭上にやって来る少し前。俺は1人で教会にやって来た。



「なんか緊張するな…こういうの久々だったし」


「あんなにたくさん女性を侍らせておいてデートはしないんですか?悪い人ですね。飽きられても知りませんよ?」


「わっ!?」



扉を開けようとしていた時に後ろから話しかけられたので、俺はつい声を上げてしまう。



「ふふふ…本当に面白い人。さぁ、行きましょうか」



アスラン…俺の魔力探知に引っ掛からなかったな。

もしや、相当の手練れ…?



「どこに連れて行ってくれるんですか?」


「ふふ、そこは任せてくれ。君を探している時に良い店を見つけた」


「楽しみにしてますね!」



俺達がやって来たのは教会から離れた所にあるケーキ屋さんである。前にも使った店の支店か何かかな?



「あらここは…」


「来たことあった?」


「いえ、前から気になってはいましたがどうも一人では入りづらく…」


「一人じゃないから心配ないさ。さ、入ってみようぜ」


「はい!」



◇◇◇



「う〜ん!とっても美味しかったです!ケーキ…初めて食べましたが良いものですね!これなら何度でも食べられます!」


「俺も同じ気持ちだが、気を付けた方がいい。たまにヘレン達と食べるけどその後は修業を増やしてる。美味しい代わりにな、体重が増えやすくなるんだ。よし、次は俺のとっておきの場所へ行こう…ん?」


「む〜…」


何故か頬を膨らませるアスラン。俺まずいこと言ったか…?



「私とデートしてるのに他の女性の名前出さないでください!」


「あ!」


『いい?ジェイド。君は明日なかなかに非常識な事をやってくるんだからアスランさんの機嫌損ねちゃ駄目だよ?あくまで優先事項は傲慢の龍の長を継ぐ事を受け入れてもらう!気をつけてね!』


「ごめん!悪気はなかったんだ!」


「もう…せっかく楽しんでたのに!」



早足で歩いていくアスラン。前を歩いている数人の集団にぶつかってしまう。



「アスラン!前!」


「え?きゃっ!」


「大丈夫か?アスラン。すみません…」


「なんだ、いてぇな…。ん?アスランじゃないか。俺と結婚する気になったか?」


「ラウザー…。前にも言いましたが、私は貴方のような人と結婚する気はありません」


「だったら、あの教会は潰してこの村に居られなくするだけだ」


「おい、彼女は俺とデート中だ。邪魔するな」



ラウザーと呼ばれた男は俺をじろじろと見てくる。俺が人間じゃない事に気が付くと笑い飛ばす。



「アスラン…お前本気か?こんな奴のどこが良いってんだ。人間ですらないじゃないか」


「関係ありません。貴方よりずっと素敵な方です」


「悪い事は言わん。俺にしておけ」



なんだこいつ。さっきからずっと失礼だな。



「お前さ、初対面の人に失礼な態度取っちゃいけませんってママに習わなかったのか?」


「習ってないなぁ。ムカついた奴はぶっ飛ばせ…そう教わったさ!やれ!」



付き人らしき奴らが俺に向かってくる。だがこの程度、俺の相手じゃない。

まず1人目は振り抜いて来た腕を受け止め、その手首を捻りひっくり返してやる。



「え…?」


「単純な攻撃だな。読みやすい」



後は首に衝撃を与えて意識を奪う。

2人目は1人があっさり伸された事に驚いているようだったが実力差が分からないようで俺に向かってくる。

今度は逆に攻撃を躱して足を払い上から乗って関節を決める。



「流石に剣は抜かないか。ま、こんな事やってる時点で大差ないけど」


「いてててて!ぼ、坊っちゃあ〜ん…」


「この役立たずが!何をしている!」


「で?まだやるの?もう君しかやる人居ないみたいだけど」


「ちっ…今日はここまでにしてやる!覚えておけ!」



ラウザーは配下を連れて引き下がっていく。

今ので懲りて、もう関わってこないと楽なんだけどな…。



「怪我は無い?」


「は、はい。大丈夫です」


「今日はここまでにしておこうか?また明日会おう」


「そうですね。貴方のとっておきの場所というのも気になりますし」


「覚えててくれたのか、そいつは嬉しいな。じゃあ教会まで送るよ。危ないかもしれないからな」



◇◇◇



「って事があってさ。面倒くさい事にならないといいんだけど…」


「まー、なるんでしょ?」


「ジェイドの読み通りになるだろうな」


「間違いないかと」


「おにいさんはどうせたたかうことになるのです!」


「なるでしょうね…」


「ジェイド殿はどうやら、そういうタイプのようであるからな」



皆から総ツッコミ。俺はどう見られてんだ。



「それで?今日のデートは上手くいったのか?」


「カルラ。最後のトラブル以外は上手くいったよ。今の感じが続けば話も受け入れてくれると思う」


「ジェイド殿。アスラン殿は今まで我々の龍の民とは無縁の世界に居た。一族の我儘でな。それを引き戻そうとするのだ。あまり簡単に判断してはならぬぞ」


「ノヴァ…。確かに言う通りだ。こっちの都合を押し付けてしまう以上、彼女の望みを最大限叶えてあげたい。明日聞いてくるよ」


「うむ。それが良いと思うぞ」


「後一つお願いが…」


「む?」



◇◇◇



翌日の朝。

教会までノヴァとレベッカを連れて向かう。他の皆には村で人手の居るものや農作業等を手伝ってもらい、時が来るまで待ってもらっている。



「成程な、我々がアスラン殿が不在の間教会の護衛をすると。確かに憂いは絶っておいた方が良いというもの。任されよ」


「親方様と組で行動するのは久方ぶりですね」


「ふふふ…」


「どうされました?」


「いや、お前に親方様と呼ばれるのもそう長くはないと思ってな。この統一戦が終われば憤怒の龍の長はお前になるだろう」


「…まだ私は長になれる程の実力では…」


「ならば自分が納得するだけの力をつければよい。孫だからという贔屓目ではないぞ。私はレベッカにそれだけの力があると睨んでいる」


「お祖父様…」


「お、着いたぞ」



扉を開けると幾人の子供達へ昔話を語るアスランの姿があった。



「そうして魔道具師の2人は夫婦となり、幸せに暮らしたのです。おしまい。あら、ジェイドさん。もうそんな時間でしたか」


「邪魔しちゃったか?」


「大丈夫ですよ。この子達はよく広場で遊んでいますから。今はたまたま昔話を聞きたいとの事で…そちらの方達は?」


「俺の仲間。こっちがノヴァで後ろの子がレベッカ。レベッカはノヴァの孫娘なんだ」


「ただいまご紹介に預かった、憤怒の血族の長ノヴァと言う。よろしく頼む」


「アスランです。こちらの教会に勤めています。よろしくお願いします」


「私はレベッカと言います。貴方と同じご主人様の妻候補の1人です。末永くよろしくどうぞ」


「…えっと。私はまだ結婚するとは言ってないのですけど…」


「?結婚したくないという事ですか?」


「そうは言ってません!…だって、すぐに結婚を承諾するような軽い女だと思われたくないし…」



何か言ってるけど後半は声が小さくてよく聞こえないな、と思ってたらレベッカが耳打ちしてきた。



「ご主人様、押せばいけますよ」


「ちょっとそこ!何言ってるの!」


「ふーん?ま、よく分かんないけど仲良くなれそうで良かった」


「ねー。おにいちゃんだれ?」



アスランと一緒に居た子供達のうち1人が声をかけてくる。



「ライラ。この人は私のお友達よ。ほら、自己紹介してみて?」


「わたしライラ。おねえちゃんといっしょにすんでるの」


「俺はジェイドだ。ライラか、良い名前だな。アスラン、教会って一緒に住めるものなのか?そういうイメージなかったけど」


「この子達だけ特別です。孤児院で預かれなかった子を私が預かってるんです」


「優しいんだな。でも悪い。危なくなる可能性があるから俺達は別行動だ」


「…?急に何故ですか?」


「多分昨日会ったラウザーがここに来る。あの子達を君への脅しとして使うんだろう。でもここに君と俺が居たら乗り込んでは来ない筈。だから護衛として2人を残して俺達は少し離れた所に移動する」


「この子達を囮に使う気ですか!?」


「そうじゃない。でもこうでもしないとあいつとの問題は解決しないよ。最悪を防ぐ為だ」



俺の話を聞いて不快感を露わにするアスラン。

それはその通りだと思う。俺も彼女達が自分の交渉に使われたりなんてしたら間違いなくキレる。



「………。分かりました。ですがあの子達に何か起きそうな気配があれば私はすぐに駆けつけますよ」


「勿論。その時は俺も一緒だ」



若干関係値が戻ってしまったような気もするが仕方ない。これは今後の為にもなるのだから。



◇◇◇



「レベッカねえちゃんむねちっさー!アスランねえちゃんのほうがおっきいぞ!」


「なんですって!子どもといえど、言って良い事と悪い事があるんですよ!待ちなさーい!」


「わ〜!にげろー!」


「おじいちゃんはどうしてそんなにふしぎな事ができるの?その大きなつのはなぁに?」


「ふふ…驚いたか?だが君たちも同じ事は出来なくても他にいろんな事が出来る。その可能性に満ち溢れているんだぞ?」


「おじーちゃんゆってることむずかしいー。よくわかんなーい」


「そうだな、私の話は難しいな。さて、一緒に遊ぶとしよう!」


「わーい!やったー!じゃあこんどはわたしたちがかくれるからおじいちゃん見つけてね!」


「では10数えるぞ?隠れるといい。…子どもの相手というものは懐かしいな」



レベッカとノヴァが教会の子供達と敷地内で遊んでいる。見学し始めて1時間ほど経つが変化は見られない。



「あ、あはは…全く、あの子達は何を言ってるんだか…。後で言っておかないとですね!一度戻りますか?」


「待って。来た」



まだ日中にも関わらず、明らかに野蛮そうな男達が教会の扉を乱雑に叩く。


「何かうるさいねー」


「アスランねえちゃんにとびらはしずかにたたくんだよって言われなかったのかなー」


「どれ、私が見てこよう。レベッカと一緒に居るんだぞ?」


「皆は私と一緒に居てね?」


「レベッカねえちゃんさみしいんだ?しょうがないなー。おれがいてあげる!」


「おれも!」「わたしもー!」


「ありがとね」



ノヴァが扉の錠を外すと乱暴に男達が入ってくる。



「どけ爺。おん?あいつらか?言ってたのは」


「待て、狼藉者ども。ここに何しに来た」


「あのガキどもを攫うんだよ。アスランとかいう女がラウザー?の求婚断ってるらしいじゃねぇか」


「俺達は金が貰えりゃ良いんだよ」


「邪魔すんじゃねぇ。老いぼれ」



ノヴァを無視して中庭に入ろうとする男達。そのうち1人の肩を掴み、床に叩きつける。



「いって!…は?」


「爺…。死にてぇらしいな」


「若造が…一刻も早くこの場から去れ。今なら許してやる」


「何言ってんだ?もういいわ、死ね!」



男の1人が拳を振り下ろす。しかしノヴァにとってこの程度の攻撃、避けるまでもない。その腕を掴んで扉に向けて男を簡単に投げ飛ばしてしまう。



「…え?あの人強くないですか?」


「あんなもんじゃないよ。俺が戦った時はもっと凄かった」


「……え?お仲間ですよね?」


「今はね。レベッカなんて俺の仲間の1人と本当に殺し合いになりかけたし」


「本当に仲間なんですよね!?私心配になってきたんですが!!」


「心配ないよ。その危ない戦闘止めたのもあのお爺ちゃん(ノヴァ)だし」


「えぇ…考えるだけ無駄って事ですか?」


「そうだね。皆やる事無茶苦茶だからね。気にしてたらきりないよ」


「…貴方も会ってひと言目で大分無茶苦茶な事を言ってきましたが」


「…。それは置いとこう!ほら、俺達が話してる間に片づけたみたいだ。向こうに戻ろう」



視線を向けると男達は残らず地面に倒れている。



「ふん。軟弱者共め」


「つ、つえぇ…」


「心身を鍛え出直してくることだな。レベッカ、私はこいつらを騎士団に引き渡してくる。この場は任せたぞ」


「はい。お任せください親方様」


「心配要らなかったみたいだな」


「ご主人様。えぇそれはもう全く。子供達はお祖父様の戦いに熱中していましたよ」


「アスランねえちゃん!さっきすごかったんだぜ!じーちゃんパンチでけん持ったあいつらたおしちゃった!」


「ぼくも、あんなふうになりたいな…」


「皆。この世界は自分の身は自分で守らないといけないわ。でもね、強い力を手にしたとしてもそれは誰かを傷付ける為に使うものではないの。生きる為、自分と大切な人を守る為に使うのよ。皆分かった?」


---はーい!---



長らく人間社会で生きてきた影響だろうか。彼女は他の龍の民とは考え方が違う。でもそれで良い。

そこが彼女の良い所だ。

俺の周り全員が戦いに肯定的で、誰かの生命を奪う事に何の抵抗もないんじゃ、いつか俺もきっとおかしくなる。

ヘレンだけじゃ皆を止められない時もあるだろう。彼女は俺の良心を風化させない人として、側に居てほしい。



「ありがとう」


「はい?私何もしてませんけど…」


「良いんだ。そのままで居てくれ」


「?…皆さんこの後はラウザーの所へ向かうのですか?」


「そうだな。君とこの場所に手出しさせないよう話をつけてくるよ」


「私もついて行っていいですか?元はと言えば私の問題ですし」


「問題はないけど…良いのか?もしかしたら戦闘になるかもしれないぞ?」


「私だけならまだしも彼はここに手を出しました。一言言ってやらないと気が済みません」



彼女は右手を固く握る。今すごく良い話してたと思ったんだが…?殴らないよね?大丈夫…?



◇◇◇



「何故だぁ!騎士団に引き渡されただと!?では奴らはこちらに向かっているという事か!?」


「は、はい…」


「…迎え撃つぞ。ただし、アスランは絶対に殺すな。可能なら捕縛し俺の元へ連れてこい」


「はっ!」



部下に指示を出し、ラウザーが部屋に1人になる。




「お前こそ俺の結婚相手に相応しい…」



さーて、なんか言ってますなぁ。

もう俺達準備ばっちりなんだよね。既に全員でこの館を包囲し終えている。

見張りは1人になった所を狙って眠らせてある。

さっき散らした部下達も今ごろカルラやレベッカ達が無力化しているだろう。



-ジェイド、こちらはいつでも行けるぞ-


-ご主人様。既に屋敷の殆どは戦えない者と目標だけになりました-


-ジェイド殿。既に突入の準備は出来ておる-


-よーし。皆も良いか!?-


--はい!--



「ソラは何しますか?」


「ソラ。今からあんまり良くない事が起きるからソアラに代われる?」


「むー…。わかったのです」


「ンだよ。呼んだか?」


「見せるのは教育に良くないからな。そのまま一緒に行動くれ」


「へ〜ェ。お優しい事で」


「よし、始めよう。お、ラウザーのやつ部下がかなり減ってる事に気付いたか?」


「衛兵!何処に居る!」


「ラウザー様!」


「呼んでるのは俺だ!何故俺の呼び掛けにすぐ応じない!」


「外の見張りが居ません!それに他の者もどんどん姿を消しています!」


「なんだと!?まさか、奴ら既にこの近くにいるのか…?」



大当たり〜。とか言っちゃってね。言ってないけど。

さぁ、行きますか。



-皆、行動開始!-


-任せて!-


-了解した-


-承知しました-


-お任せを-


-承った!-


「このまま俺はおめェと一緒にアイツのとこ行く、と。楽しませてもらおうじゃねぇの」


「私も居ます!」


「レイラの妹か。…皮肉なこったな」


「急に何の話ですか?」


「追放されたお前の方が傲慢の龍の長としての適性が高いからだよ。お前、傲慢の龍の固有能力持ってンだろ」


「!!」



彼女の表情が変わる。確かにレイラの能力は傲慢の龍らしくはなかったな。



「…何故分かるのです?今まで誰にも話した事は無いというのに」


「ま、俺も事情ありでよ。一個言うとしたら…分かるんだわ。この眼で」


「眼で、ですか…?もしや魔眼でしょうか?」


「そいつは知ってンだな」


「自分の力を調べる時に少しだけ。詳細は分かりません」


「二人とも。話してるとこ悪いけど、ラウザーが部屋で一人になった。今がチャンスだ」


「よし、行くか」


「行きましょう!」



◇◇◇



「誰か居ないのか!居たら返事をしろ!…奴らは一体何処から来る気だ!」


「上から」


「は?」



屋根を破って俺とソアラ、アスランが突入してくる。

アスランは戦い慣れていないので俺が抱きかかえている形だ。



「ななな…なんて奴らだ!」


「お褒めの言葉どーも。さ、アスラン降りられる?」


「あ、はい。ありがとうございます。よいしょっと」


「貴様ら…なんて事を!騎士団に言えば処罰は免れんぞ!」


「は?お前の言い分じゃないだろ。お前、教会に何送り込んできたと思ってるんだ。子供達を使ってアスランを脅そうとした奴が」


「それは…!お前が俺との婚姻を承諾しないからだぞ!」


「何故貴方のような自分が絶対に正しいと思っているような人と結婚しなくてはならないのですか。私は自分に不利益があっても他の人を思える優しい人と一緒に居たいです」


「ジェイド…随分思われてンじゃねぇのよ」



ソアラ、からかわないの。有り難い事ですよ。



「私は私に何があろうと貴方だけとは結婚しません!既に相手も居ますので!」



アスランが俺に抱きついてくるので、俺もその腰に手を回す。



「そんな馬鹿な…俺はお前がこの村に来た時から好きだっただけなのに…」


「はい?貴方こそ馬鹿なんですか?ならもっとやり方があったでしょうが。そういう人だから嫌いなんですよ」


「ああ…うあぁぁあ!!!」



なんだ!ラウザーの様子が変わったぞ!?



「出やがったな、龍の因子!」


「許サネェ!!!!」



ソアラが目の色を変えて飛び出す。初めて聞くものだ。



「え、何それ?」


「この世界の種族の大抵は持ってるモンだ。この世界の成り立ちに関わるからな。普段は何も起こしやしねぇが、ああやって精神が揺らぐと干渉して暴走を引き起こす!」


「どうやって止めるんだ!」


「治し方は分からねぇが止め方は知ってる!ぶん殴って意識を奪っちまえばいい!」



随分力技なことで…。



「ソアラさん、そのまま突っ込んでください!私が支援します!自分を信じて!」


「たりめぇよ!俺は自信の塊だわ!」



おぉ〜。顔面にまっすぐ行ってぶっ飛ばしてる。

完全に気絶してるな。うーん、俺の出番無し!



「なんかいつもより調子良かったな。アスラン、あんたが能力使ったのか?」


「はい。人に使うのは初めてでしたが…。上手く行って良かったです!」


「実戦は初かい。大したもんだ、まったく…」



◇◇◇



「本っ当に申し訳ない!うちの馬鹿息子が…」


「いや、うちもお宅の屋根を一部壊してしまいましてね。なので今回はお互い何も無かったという事に…?」


「願っても無いお言葉!私の居ない間にこのような事態になっていたとは思いもせず…」


「じゃあ俺達は退散しますね?」


「はい!この度は申し訳ありませんでした!!」



こうして俺達はこの村を後にした。

俺とアスランは約束が残っていたので皆には先に帰ってもらうよう伝えておく。



「全くこの馬鹿息子が…騎士団を呼ばれ、地下の()()を見られていたらどうするつもりだったのだ。お前の首が飛ぶだけでは済まされんぞ?」


「申し訳ございません父上!昔から目をつけていた上物でしたので、つい…」


「確かにあれ程の女を手放したのは痛手だな。だがあの男、他にもかなりの上物を引き連れていた。奴の居住地を探せ。確認でき次第、攫うのも一案だ」


「な〜るほどね。奴等の取引相手の一件をこんな僻地で見つけるとはな。しかもこのリストを見る限り、あんたらかなりの古参か」



彼等が声のする方を振り向くと、先ほどソラとして帰った筈のソアラが綴じられた紙の束を持っている。



「貴様、何故それを!返せ!」


「おっと。渡さねぇな。本当なら俺が手を下したいんだが…」


「待たれよ」


「憤怒のおやっさんか。じゃ、後頼んでいいか?こっちは黙って抜けてきたんでな」


「無論。その身体はソラ殿のものだ、そんな輩の血で汚す事はない」


「貴方達随分悪趣味ですね。()()()()()地下にあるなんて。いくつかは楽にさせておきました」


「世の中にはそういうのを好む変わり者も居るという事だ。我々は需要に応えて居るだけに過ぎん」


「ただの仲介者が大きく出ましたね。こうしてばれた以上、貴方達はお役御免でしょうに」


「たわけた事を。お前等を殺せば何も無かったも同然よ!」


「させるか」


「何…?は、速すぎる…」


「そうだな。随分早い退場な事だ」



斃れるラウザーの父親。



「父上!いや待て、俺がこき使われる事も無くなる?…女!この顔面の借り、お前で返させてもらうぞ!」


「親子揃って馬鹿ですか。よくこのような取引続けてこれましたね」


「そんなクナイで何が出来る!うあっ!な、なんだ…?」



地面を見ると自分の近くが泥沼と化している。腰まで浸かってしまい、身動きが取れないラウザー。



「こんなクナイで何が出来ると聞きましたね。お答えしましょう。これには強力な麻痺毒が塗布してあり、かすり傷でも受ければ数時間は動けなくなるでしょう。貴方でも言ってる意味、分かりますか?」


「や、やめろ…やめてくれぇぇぇ!」



◇◇◇



「わぁ、綺麗…」


「だよな。夕暮れ時にこの山の頂上から見る村の景色が最高に良くてな。本当は昨日ここに連れてきて、話をしようと思ったんだが…」


「私から先に言っちゃいましたね」


「改めて俺からも言わせてくれ。長を継いで、俺と結婚してほしい」


「はい、勿論です!私戦ったりはできませんが、できる限りサポートしますね!後それと…」


「どうした?」


「貴方以外と結婚する気はありませんので、よろしくお願いしますね!」


「これは大役任されたな。頑張るよ」


「私、傲慢ですから!」

なんか色々新要素出してしまいました。

お久しぶりです、眞弥。です。

こちらの更新はなんと2年ぶりです。

本編では10話で完結させたいという目標とストーリーの進め方の関係で一切描写する事なくアスランは仲間になっていましたね。

最後に出てきた関係上、ほぼモブでしたのでこの話ではヒロインを意識して書いてみました。

本来は昨年投稿予定だったのですが多忙につき全く筆が進まず…。(Lost Fantasiaも放置状態だったので…)

今回この話の執筆にあたって過去投稿話を見直しました。一部に修正も入れてます。

2章(アフター?)の更新は不透明になってますが、いずれは書きたいと思っています。

twitter(Xとは言いません)で報告すると思いますのでお待ちください!

閲覧ありがとうございます。

感想、誤字脱字等の報告よければお願いします。

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